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気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

お知らせ

次の記事は、4月4日(火)の予定です。 http://widemonitor.websozai.jp/calendar1920/page/photo/wide1920_20170302.jpg

キリストと姦通をした女/マックス・ベックマン

末永照和(監修)『20世紀の美術』(9) 新即物主義とはいかなる絵画か。 1920年代から30年代初頭のドイツにおける、克明な形態描写と社会批判的なシニシズム[冷笑主義]を特徴とするリアリズム絵画の総称。…グループとしてのまとまりはなく、それぞれの…

他人に危害を及ぼさない限り、何をしても良いのか?

加藤尚武『現代倫理学入門』(25) 今回は、自由主義の原則の第3番目、「③他人に危害を及ぼさない限り」についてである。 この条件は、「他者危害の原則」とも呼ばれる。自由主義の原理の中心部分であり、アトミズム[個人主義]と功利主義の性格の強い規…

ふしだらな結合 カリフォルニアン・イデオロギー

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(9) カリフォルニアン・イデオロギー 東浩紀は1970年代から80年代にわたるハッカー文化の中に二面性を見出し、「ハッカーたちは、プログラミングのような専門技術の習得に大きな価値を置くが、同時にその技術は大衆と…

アブダクション

木下清一郎『心の起源』(6) 今回から、第2章 心の原点をたずねる である。どういう内容か。 循環を止めねば先へ進めない 生物体は要請する なぜ神経系のみに心の座を求めるのか 記憶の成立 生物的情報から自発的行動へ 負の記憶・空白の記憶・正の記憶 …

指揮者フルトヴェングラーとトスカニーニ

岡田暁生『音楽の聴き方』(18) 演奏家を信じない作曲家たち ストラヴィンスキー(1882-1971)は演奏家の解釈を信用せず、「通訳(traduttore)は、いつも裏切り者(traditore)である」と言っていた(通訳はいつも裏切り者である 参照)。シェーンベルグ(1874-…

主張の妥当性の判断に、「文脈主義」の考え方を適用する

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(11) いま文脈主義の考え方を取り上げている。文脈主義とは何であったか。(前々回および前回の記事参照ください) 文脈主義とは、あることを知っているかどうか、ある主張が妥当かどうか、といったことについての判…

平等(3) 「福利の平等批判」の批判、「アファーマティブ・アクション批判」の批判

平野・亀本・服部『法哲学』(28) 福利(結果)の平等に対する批判をみておこう。 「平等化」批判論 福利の平等論は、スタートラインの平等ではなくゴールの平等を目指す点で機会の平等論とは根本的に異なる。初期格差としてのハンディキャップの埋め合わ…

不平等論(9) ヴィーナスはいかが? 金星の土地売ります!

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(13) 前回、立岩は六つ目の話として、次のように述べていた。 立岩 国家については、マルキシズムとのからみで加えておけば、世界同時なんとかっていうのが昔流行ったんだが、ある種の国際主義はロジカルには…

花嫁はその独身者達によって裸にされてさえも/マルセル・デュシャン

末永照和(監修)『20世紀の美術』(8) 前回、ダダを取り上げ、私は「ダダの作品に魅力的なものはない」と書いたが、どういう作品なのかざっと見ておこう。チューリヒ・ダダのジャンス・アルプ(1886-1966)、ベルリン・ダダのハンナ・ヘッヒ(1889-1978)、…

いのち(臓器)の売買 所有と自己決定

加藤尚武『現代倫理学入門』(24) 加藤は、自由主義の原則を次の5つ(の条件)に要約している。 ①判断能力のある大人なら、 ②自分の生命、身体、財産に関して、 ③他人に危害を及ぼさない限り、 ④たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、 ⑤自己決…

猥褻で下品な電脳空間 (?)

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(8) ハクティビズムとは、「ハック(hack)とアクティビズム(activism,積極行動主義)とを組み合わせた造語」である。ハクティビズムの活動家はときとしてハクティビスト(Hacktivist)と呼ばれる。 Hackは俗語で、「…

哲学ではなく、自然学の対象として「心の問題」に取り組む

木下清一郎『心の起源』(5) 心とどう取り組むか 不用意に心の問題に足を踏み入れても道を踏み迷うばかりであろう。道を進むには何らかの知恵が必要になる。いまここで探ろうとしているのは、「心とは何であるか」を理解するというよりも、「心をつくり上…

通訳はいつも裏切り者である(ストラヴィンスキー)

岡田暁生『音楽の聴き方』(17) 今回から、第4章 音楽はポータブルか?-複文化の中で音楽を聴く に入る。 再生技術史としての音楽史 世界の他のどんな文化にも見られない西洋音楽の特質の一つに、それが「再生技術」の開発に全力を傾注し、それをモータ…

あなたはどうしてそう思うのですか?

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(10) 第4章 疑いの泥沼からどう抜け出すか 第4節 文脈主義の考え方 の続きである。 私たちが日常的によく抱く「疑い」がある。 もう一つ、科学との関連ではヒューム流の懐疑主義というものがある。これは、今までう…

平等(2) 「機会の平等」と「結果の平等」

平野・亀本・服部『法哲学』(27) 前回記事の「機会の平等」と「結果の平等」についての引用部分を再掲する。 分配的正義については、財の分配方式に関して、「機会の平等」と「結果の平等」という相異なる考え方がある。前者は、財を獲得するための機会…

不平等論(8) SDGsに合致しているかどうかを問うことが、政治や経済、生活のありようを変えていく糸口になります(国谷)

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(13) 立岩 マルキシズムについては、ぼくはほとんど書いたことがないのだけれど、いくつか列挙します。一つ、搾取の議論をそのままで使わないというか使えないというのは出発点にあった。…そういう話をされて…

yeah! yeah! ダダは何も意味しない!

末永照和(監修)『20世紀の美術』(8) 今回から、第4章 ダダ的反抗と夢の開拓 である。 ダダとは何か。次の説明が簡明である。 1916~22年頃ヨーロッパ,アメリカに起った反文明,反合理的な芸術運動。ダダイズムともいう。伝統的なヨーロッパ文明を否…

判断力のない大人 判断力のある子ども

加藤尚武『現代倫理学入門』(23) 加藤は、自由主義の原則を次の5つ(の条件)に要約している・ ①判断能力のある大人なら、 ②自分の生命、身体、財産に関して、 ③他人に危害を及ぼさない限り、 ④たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、 ⑤自己決…

電子フロンティア財団とサイファーパンク

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(7) 電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation, EFF)は、1990年6月に設立された。これは、「デジタル時代の市民的自由を擁護する非営利組織」である。「市民的自由」と「非営利組織」という2つの言葉に…

心と遺伝子 ニワトリとタマゴ

木下清一郎『心の起源』(4) 二つの立場 ここで私たちは二つの立場に分かれざるを得ない。 その一つは、生命発生以来の歴史が示す通り、細胞、個体といった生命形態を通じて、遺伝子の支配はすべてに優先するものであって、個体の中に現れた心の働きも、そ…

愛のバラード 稲葉喜美子 秋元順子 松浦亜弥

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61wES-UIGpL.jpg 1-1 催愛術/稲葉喜美子 作詞:稲葉喜美子 作曲:稲葉喜美子 www.youtube.com 1-2 26時/稲葉喜美子 作詞:稲葉喜美子 作曲:稲葉喜美子 www.youtube.com 2-1 秘恋/秋元順子 作詞…

毛な疑い? 関連する対抗仮説型の文脈主義とは

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(9) 伊勢田は、本書の「序」で、次のように述べていた。 懐疑主義という言葉はいろいろな文脈で使われる。懐疑と言えばもちろん「疑う」ことだから、懐疑主義というのは平たく言えば「疑うという立場」である。昨今の…

平等(1) Suum cuique 各人に各人のものを!

平野・亀本・服部『法哲学』(26) 今回は、第4章 法と正義の基本問題 第4節 平等である。*1 平等の理念 私たちは平等ではない。容貌が違い、性格が異なり、体力、知力、芸術的才能、いずれにおいても十人十様である。人種が異なり、性別が異なり、信条…

不平等論(7) 赤ちゃんは、社会主義的人間である?

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(12) 前回、立岩は次のようなことを話していた。 何をするか、しないかを考えること。 乱暴に考えないこと。 人間ってこんなもんさねっていうところで話を収めないこと。 この件に関してはこの方が良いはずだ…

退廃芸術 内なるファシズム

末永照和(監修)『20世紀の美術』(7) 前回、バウハウス(国立の美術工芸学校)をとりあげたが、その最後に「1933年、バウハウスはナチス政権によって弾圧を受け、解散させられた」という記述があった。 「ナチス=悪」との先入観を捨てて考えてみよう…

アローの不可能性定理 多数決 民主主義

加藤尚武『現代倫理学入門』(22) 前回の「囚人のジレンマ」に続き、「アローの不可能性定理」が取り上げられているので、これを理解しようと思ったのだが、なかなか難しい。今後ゆっくりと勉強することにして、思いついたことをメモしておこう。 アロー…

ストールマンのコピーレフト 著作物は「より優れたもの」にならなければならない

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(6) 塚越は、「コピーレフト」の概念について説明している。これはソフトウェアに限らない応用範囲の広い概念ではないかと思う。塚越の説明だけではちょっと分かりにくいので、今回は、wikipediaの説明を先にみておこ…

遺伝子 プログラム 天からの手紙

木下清一郎『心の起源』(3) 今回は、第1章 第2節「心が生まれてくるまでの道のり」の後半、「個体の誕生」、「心の誕生」、「利己的遺伝子」を取り上げよう。 個体の誕生 生命が誕生して長い時間が経つと、多くの細胞が集まった個体が現れてくる。多細…

サウンドの世界

岡田暁生『音楽の聴き方』(16) 岡田は、「構造的聴取」について次のように述べていた。(ジョン・ケージとサウンドスケープ(音風景)参照) (構造的聴取においては)個々の音は、それこそ言語と同じように、意味の担い手である。音による言語的/建築…

論理的推論 ウェイソンの「4枚カード問題」

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(8) ※ 紛らわしい部分があり変更しました(前提P→前提R)。(2017/1/20) 今回の記事のメインは、ウェイソンの「4枚カード問題」であるが、その前に「演繹的妥当性」についてみておこう(わかりきったことだと思われ…

市場(3) 外部経済、外部不経済を考える

平野・亀本・服部『法哲学』(25) 前回、市場の失敗として、①独占・寡占、②外部性(外部経済、外部不経済)、③情報の非対称性、④公共財についてふれたが、今回はこのうち②の外部性について、もう少し詳しく見ておこう。 まず、外部経済・外部不経済とは、…

不平等論(6) 誤った二分法 乱暴に考えないこと

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(11) 何をするか、しないかを考える 立岩 第1点。何をするか、しないかを考えること。…人がスタートラインにつくときに自分が持ってる自分の身体以外の手持ちの部分をわりとフラットにしよう、そしたら結構…

バウハウス(建築の家)の芸術家たち

末永照和(監修)『20世紀の美術』(6) 1919年に、ドイツの建築家ヴァルター・グロピウスは、ワイマールにバウハウス(建築の家)と呼ぶ国立の美術工芸学校を創設した。バウハウスは、…産業と芸術との融和と協同を図り、生活に応用する道を探った。…多く…

「囚人のジレンマ」と「安全保障」(部族間の縄張り争い)

加藤尚武『現代倫理学入門』(21) 第10章は、「正直者が損をすることはどうしたら防げるか」で、「囚人のジレンマ」と「アローの不可能性定理」が扱われている。今回は、そのうち「囚人のジレンマ」を取り上げる。 本書の「囚人のジレンマ」は、全然面…

監視国家とジマーマンのPGP

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(5) 暗号技術をネットに放流-PGP暗号 暗号と戦争の長きにわたる歴史が証明するように、暗号は政治的に重要な位置を占めている。とすれば、暗号技術の独占は軍事力のバランスを非対称にし、強者による弱者の支配に直結…

生命はいかにして誕生したのか?

木下清一郎『心の起源』(2) 今回は、「心が生まれてくるまでの道のり」で、「核酸の出現」、「細胞の誕生」をとりあげる。以降、「個体の誕生」、「心の誕生」、「利己的遺伝子」と話が続く。 本書の記述に従い(生物学の専門的なことに立ち入らないで)…

Happy new age concert

ヤニー(Yanni、1954-)は、ギリシャ出身のシンセサイザー奏者、ピアニスト。ジャンルは、new age。 http://www.yanni.com/photos?ga=14 For All Seasons www.youtube.com Band Charlie Adams (USA) -- drums Victor Espinola (Paraguay) -- harp, vocals P…

懐疑主義 デーモン仮説 水槽脳仮説 猿の尻笑い

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(7) 今回から、第3章 疑いの泥沼からどう抜け出すか-哲学的懐疑主義と文脈主義 である。 疑いだせばきりがない。どこまでも問い続けていくと、「宇宙の成立」や「物質と精神」の話にいきつく。「疑いの泥沼」にはま…

市場(2) 政府の失敗 市場の失敗

平野・亀本・服部『法哲学』(24) 政府の失敗 中央集権的な政府機能が効率的でないことを、通常「政府の失敗」という。主要なポイントは3点にわたる。 官僚機構が非効率…集権化された政府機能を果たすために組織運営費用がかかり、各部局の機能は配分さ…

不平等論(5) 「誰もが支え合う共生社会」のビジョン

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(10) 前回、立岩は、次のようなことを言っていた。 中央指令型の統制経済はうまくいかない。実際にうまくいかなかったし、理論的に正当化もできない。 協同組合主義は「参加」とか言っているが、なんか「だる…

キャバレーのピアニスト エリック・サティの音楽とは?

岡田暁生『音楽の聴き方』(15) ケージ美学のルーツ それだけではない。ケージたちの思想は決して単なる珍奇な思いつきではなく、ある歴史的必然性の中で出てきたものであることも理解しておかねばならないだろう。例えばケージ美学のルーツの一つとして…

普遍化可能性の議論(2) 「おい、山田君、そこの自転車をどけてくれ」

加藤尚武『現代倫理学入門』(20) 今回は、第9章「思いやりだけで道徳の原則ができるか」の続きである。加藤は、ヘア(1919-2002、イギリスの哲学者)の普遍化理論について、次のように述べている。 彼が挙げる例はだいたいこんな話である。私が大学の駐…

情報共有と情報秘匿  公開鍵 RSA暗号とは?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(4) 今回から、第2章 ハッカーと権力の衝突 に入る。テーマは、「情報共有と情報秘匿」である。塚越は、まず情報秘匿のツールである「暗号」について説明している。 https://tozny.com/wp-content/uploads/2014/11/cr…

心とは何か 瓢箪鯰(ひょうたんなまず)

木下清一郎『心の起源』(1) 本書の副題は「生物学からの挑戦」である。怪しげな本ではない。 心とはいったい何なのか。…いったい、心とはどこからやってきたものであろう。植物などを考えてみればわかるように、すべての生物が私たちと同じような意味での…

デ・ステイル(共通性と普遍性をめざして) モンドリアンとドゥースブルフ

末永照和(監修)『20世紀の美術』(5) デ・ステイルとは、モンドリアン(1872-1944)、ドゥースブルフ(1883-1931)らが、オランダのライデンで1917年に創刊した美術雑誌およびそれに基づくグループの名称である。 スタイル(様式)を意味するオラン…

定義 ラクダ(駱駝)とは?

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(6) 今回は、第2章「科学」だってこわくない の第6節「科学的に実証」はどれだけ信用できるかと、第7節 科学の思考法を日常に生かす をとりあげる。 最初に、「科学的に実証」はどれだけ信用できるか であるが、 科…

市場(1) 自由? 普遍性? 効率性?

平野・亀本・服部『法哲学』(23) 今回は、第4章 法と正義の基本問題 第3節 市場-効率性と倫理 である。平野は、「経済市場に対する法的規制の基本的な役割は何か。全体社会の中に市場を適切に位置づけるためには、どのような考慮が払われなければなら…

不平等論(4) 協同組合-市場経済ではない何か

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(9) 「仕事」は、金儲けのためだけではなく、それ自体「生きがい」でもあるという論点について、稲葉は次のように述べる。 稲葉 人に何か有意義な仕事を割り当てる社会が望ましいとは思っていても、その割り当…

ジョン・ケージとサウンドスケープ(音風景)

岡田暁生『音楽の聴き方』(14) 岡田がこれまで説明してきたのは、「構造的聴取」と呼ばれるものだそうである。 (構造的聴取においては)個々の音は、それこそ言語と同じように、意味の担い手である。音による言語的/建築的構築物のパーツだと言っても…