気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

アート

ロシア・アヴァンギャルド(シュプレマティズムと構成主義)

末永照和(監修)『20世紀の美術』(4) 今回は、第3章 抽象と構成 である。本章に出てくる絵画で魅力的なものはほとんどないので、スルーしようかと思ったが、いくつかの用語については、知っておいても悪くはないだろうと思い直し、採りあげることにし…

音楽…「言語からサウンドへ」のパラダイム転換

岡田暁生『音楽の聴き方』(13) 指揮者のアーノンクールは、19世紀に入って生じた音楽のパラダイム転換を、次のように定式化しているという。 「単純かつやや大まかではあるが、私は「1800年以前の音楽は話し、それ以後の音楽は描く」と言いたい。前者…

青の時代(ピカソ)、キュビスム、未来派

末永照和(監修)『20世紀の美術』(3) 今回は、第2章 空間と時間の分析=総合 である。西洋美術史を辿ろうという気はないが、キュビスムや未来派がどういうものか位は知っておきたい。 第1次大戦前の数年間に2つの前衛的な芸術運動が展開された。ス…

YYJT(8) 楽園の音楽空間 Bernward Koch

楽園をポジティブに規定できないものか。その一つの試みとして、楽園の音楽空間の基底をなすにふさわしい曲目を選んでみたい……。YYJTで取り上げてきた曲は、その候補です。 https://www.youtube.com/watch?v=zqn0CDRggqI 1.The Silver Veil www.youtub…

「音楽は国境を越える」というイデオロギー?

岡田暁生『音楽の聴き方』(12) いま読んでいる箇所は、第3章「音楽を読む-言語としての音楽」である。音楽を読むとは、音楽(クラシック音楽)は、言語的な構造を持つので、それは「読む」ものでもある、ということであった。 音楽は聴くものであると…

コルヴィッツの『農民』とミュラーの『ジプシー』

末永照和(監修)『20世紀の美術』(2) ケーテ・シュミット・コルヴィッツ(Käthe Schmidt Kollwitz、1867- 1945)は、ドイツの版画家、彫刻家。 ベルリンとミュンヘンで美術を学んだ後、1891年に貧民を治療する医師の妻としてベルリンの労働者街に住み…

アラカルト3品 (Didulya,Diane Birch,Steve Barakatt)

軽快で楽しい曲です。 1.ディデューラ(Didulya、1969-)ベラルーシ生まれ 2.ダイアン・バーチ(Diane Birch、1983-)アメリカ生まれ 3.スティーブ・バラカット(Steve Barakatt、1973-)カナダ生まれ

野獣たち(フォーヴ) 色彩の奇行のなかで錯乱している

末永照和(監修)『20世紀の美術』(1) 最近、宇佐美圭司の「20世紀美術」を読み始めたばかりであるが、本書と並行して読むことにする。 ただ単に本書の内容を紹介・要約しようというのではない。本書の記述を参考に、「作品」を見て(WEB上でしかない…

クラシック音楽 コース料理 さすらいの楽師

岡田暁生『音楽の聴き方』(11) 岡田は、多楽章形式の音楽とはコース料理であるという。これは分りやすい喩えだ。 普通に考えれば、四楽章の交響曲といっても、そこには四つの別々の「曲」があるだけである、なのに、どうしてそれらが一つになって、もっ…

近視眼のマチス ニンフと笛を持つパン

宇佐美圭司『20世紀美術』(1)*1 宇佐美は、マチス(Henri Matisse、1869-1954)の次の晩年の作品を、最高傑作の一つと評価している。 ニンフと笛を持つパン 1940-43 *2 https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/736x/a3/f2/34/a3f234f87999e5291c8ba87ea4…

気になるアート(4) 沼倉真理(Mari Numakura)

1991年茨城県取手市生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻空間・演出研究室在籍。光と影、その関係性を研究題材とし、鑑賞者に視点・視感を自覚させる作品を制作している。 《主な展覧会・賞歴》 2012年 グループ展「yucaci」 UPSTAIRS GALLERY…

コミカル・クラシック ハンガリー舞曲第5番 他

1.Tanz mit Badetuch 2.Ungarischer Tanz Nr.5 - Josh Wave & Stephan Fischer 3.Salut Salon "Wettstreit zu viert" | "Competitive Foursome"

気になるアート(3) 川内倫子(Rinko Kawauchi)

1972年滋賀県生まれ。93年成安女子短期大学卒業。97年よりフリーランスとして活動開始。2001年写真集『うたたね』『花火』『花子』を同時にリトル・モアより上梓。02年『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。著作は他に『AILA』、『the eyes,…

音楽の建築的な構造 フィガロの結婚 夕鶴 テンペスト

岡田暁生『音楽の聴き方』(10) 岡田の説明はなかなか面白い。音大の学生に教えているのではないから、専門用語にこだわる必要はない。音楽の建築性ということで、岡田が言わんとすることが了解できれば良いだろう。 音楽のロジックの中に「接続詞」が入…

色目(2) ホーム・パーティーを楽しく

上図の左は早蕨(さわらび)、右は青柳(あおやなぎ)と呼ばれる春の「かさねの色目」です(中紫と濃青)。 でも、あまり魅力的な色ではないですね。少し範囲を広げて、赤紫と緑色全般で考えてみましょう。 <赤紫> これは、次の記事で取り上げました。 sho…

気になるアート(2) モニカ・ソスノフスカ(Monika Sosnowska)

1972年ポーランド生まれ。ワルシャワ在住。ボズナン美術大学、アムステルダムのライクスアカデミーで学ぶ。第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2007年)のポーランド館代表。主な個展に「Monika Sosnowska」(サーペンタイン・ギャラリー・ロンドン:2004年…

気になるアート(1) ヴィヴィアン・サッセン(viviane sassen)

ヴィヴィアン・サッセン(viviane sassen)は、オランダの写真家です。 1972年アムステルダムに生まれ、アーネム王立芸術アカデミーでファッションデザインと写真を学んだ後、2000年頃よりファッションフォトグラファーとして活躍してきました。『Purple 』…

官能的な豚にしてくれ (三島由紀夫)

岡田暁生『音楽の聴き方』(8) 音楽/言語の分節規則 例えば、ベートーヴェンの《運命》冒頭を「ダダ・ダダーン」と区切って聴く(弾く)人など、まずいないだろう。こんな聴き方をしたのではややこしくて仕方がない。このように普段からなじんでいる音楽に…

蘇芳、マルサラ、バーガンディー

今回は「色」の話です。「蘇芳色」というのがあります。「蘇芳」を何と読むのかですが、これは「スオウ」と読むそうです。読み方の話は後でするとして、まず「蘇芳色」というのがどういう色なのか見ておきましょう。 「花蘇芳」の写真を見てください。これは…

芸術と時代(2) 永遠なるものへの衝動

大岡信『抽象絵画への招待』(19) 大岡は、大不況期の「連邦美術計画」や「国際シュルレアリスム展」について書いているが、これは省略する。 表現者を駆り立てるものは何か。(芸術家とは、他者が価値ありと認めた表現者に対する呼称である)。大岡はこ…

気分を変えて こんな曲はいかが

1.Saint Privat - Poisson rouge 2.Flash De Amor - Pavel Panin 3.Federico Aubele – Corazon

芸術と時代(1) 階段を下りる女

大岡信『抽象絵画への招待』(18) 芸術作品とそれが産み出されてくる社会との関係は、いうまでもなく極めて密接である。自分が生きている時代と社会から完全に絶縁した孤立状態で作品を作った芸術家は、人類史のどの時点をとってみても一人も存在しない。…

YYJT(7)  愛の共同体

愛の共同体とは「具体的な他者の生/生命への配慮・関心によって形成・維持される」共同体のことです。(親密圏/公共圏(2)愛の共同体(2)参照) そこには、つぎのような曲が流れています。 1.Daydreams Daydreams https://i.ytimg.com/vi/umxgCukLoe…

純粋主義

大岡信『抽象絵画への招待』(17) 大岡は、絵画における「純粋主義」について、こう書いている。 純粋主義の思想とは、…19世紀後半、画家のモーリス・ドニが、絵画というものを、「ある一定の秩序のもとに集められた色彩によって覆われた平坦な面」と定…

音楽を読む

岡田暁生『音楽の聴き方』(7) 今回から、第3章「音楽を読む-言語としての音楽」である。(第2章は、「音楽を語る言葉を探す-神学修辞から「わざ言語」へ であった)。「音楽を読む」とは、面白い表現である。岡田は「言語」にこだわっているので、何…

無焦点の空間 加納 光於

大岡信『抽象絵画への招待』(16) 加納光於(かのうみつお、1933-)。昭和後期から平成時代の版画家、画家。胸を病み中学を中退。独学で銅版画を始める。1955年第1版画集を制作。1956年滝口修造企画監修のタケミヤ画廊で初個展を開く。1961年サン・パウ…

ベートーヴェンの《ワルトシュタイン》 ンダダダダダダダダダダダダダダダ アリス=紗良・オット

岡田暁生『音楽の聴き方』(6) ベートーヴェン「ピアノソナタ第21番《ワルトシュタイン》」を聴いてみましょう。 www.youtube.com ジャズ・ピアニストの南博がこう書いているという。彼は音楽学校のピアノ科に通っていたのだが、 レッスンの先生は言う。こ…

色目(1) 雪の下、氷重、枯野

今回のテーマは、「かさねの色目」の一種である「雪の下」「氷重」「枯野」ですが、その前に「色目」についてふれておきましょう。 色目(いろめ)というと、「色目を使う」を連想される方が多いかと思いますが、それだけではありません。デジタル大辞泉によ…

ノヴァーリスの「付着物」 フランケンサーラー他

大岡信『抽象絵画への招待』(15) 大岡は、ノヴァーリスの『断章』から、次の言葉を引用している。ノヴァーリス(Novalis, 1772-1801)は、「ドイツ・ロマン主義の詩人・小説家・思想家・鉱山技師。シュレーゲル兄弟らと並ぶ初期ロマン主義の中心人物であ…

モーツァルトの交響曲第40番 「樵(きこり)」と「たこ焼き」

岡田暁生『音楽の聴き方』(5) 「わざ言語」とは、「特定の身体感覚を呼び覚ますことを目的とした特殊な比喩」(生田久美子)であった。例えば、「指先を目玉にしたら」とか「天から舞い降りる雪を受けるように」といった表現である。 岡田は、こんなジョ…