気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

私たち

「不安な個人、立ちすくむ国家」…総会議事概要を読む。総会は何をするところなのか?

経産省 次官・若手プロジェクト 「不安な個人、立ちすくむ国家」(3) 経産省 次官・若手プロジェクト 「不安な個人、立ちすくむ国家」の審議がされた第20回産業構造審議会総会(2017/5/18)の「議事要旨」が、2017/8/15にアップされた*1。総会開催後のお…

各人は自由に自らの幸福を追求できる ???

平野・亀本・服部『法哲学』(35) いま読んでいる箇所は、第4章 法と正義の基本問題 第5節 共同体と関係性 である。 平野は、共同体論者の言う「自由社会の病弊」を紹介した後、次のように書いていた。 このような自由社会の病弊は、共同体論によれば、…

「国家」を主語にするということは…… (軍事大国への道)

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(20) 今回は、第4章 国家論の禁じ手を破る 第2節 国家の存在理由 である。 なぜ国家があるのか 例の如く、稲葉の話はわけが分からないので、省略しようかとも思ったのだが、「わけの分からなさ」を書きとめ…

相対主義

加藤尚武『現代倫理学入門』(31) 今回は、第14章 正義は時代によって変わるか である。加藤は、価値基準が場所や時代によって変わるとして、ヘロドトス等から色々な例を簡単に紹介しているが、あまり面白くないので、これは省略する。 加藤は、相対主…

ウィキリークス(3) 内部告発は、情報漏洩の犯罪なのか?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(14) ウィキリークス関連で、内部告発と公益通報についてみておこう。ウィキリークスは、内部告発や公益通報とどう違うのかを認識しておく必要がある。(私は前回、ウィキリークスとは「不正告発サイト」であるとした…

シルバー民主主義 老人駆除法(少子高齢化の抜本的解決)

経産省 次官・若手プロジェクト 「不安な個人、立ちすくむ国家」(2) 本資料は、「シルバー民主主義」について、次のように述べている。 「シルバー民主主義」を背景に、大胆な改革は困難と思い込み、誰もが本質的な課題から逃げているのではないか。(P49)…

無知のヴェール 負荷なき自我

平野・亀本・服部『法哲学』(34) いま読んでいる箇所は、第4章 法と正義の基本問題 第5節 共同性と関係性 である。今回は、そのうち「負荷なき自我」をとりあげよう。平野は次のように書いている。 共同体論によれば、自由主義的な正義の理論は、何も…

ビッグブラザーがあなたを監視している 1984年より、2+2=5 である

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(19) 第4章 国家論の禁じ手を破る の続きである。 立岩は、「フーコーは、近代社会がどういう仕掛けでできているのか、どういうふうに仕組まれているかをよく記述している、権力と主体の関係についても、こ…

世代間倫理 恩返し 核廃棄物

加藤尚武『現代倫理学入門』(30) 第13章 現在の人間には未来の人間に対する義務があるか の続きである。 だから世代間倫理が成り立つための困難は、共通の価値観が不在だという点にあるのではない。利害関係があって、共通の価値観もあるはずである。…

ウィキリークス(2) ジュリアン・アサンジという男 ハニートラップ?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(14) 前回、ウィキリークスとは「不正に関する情報を公開するウェブサイト」とするのが、最も簡潔な定義だとした。もっと端的に言えば、「不正告発サイト」となろう。 世間の賞賛と批判を同時に浴びながら躍進してき…

何かが変わるのか? 「不安な個人、立ちすくむ国家」(経産省 次官・若手プロジェクト)

経産省 次官・若手プロジェクト 「不安な個人、立ちすくむ国家」(1) 経産省若手が炎上ペーパーの批判に答える -シルバー民主主義って、選挙したら若いほうが負ける- (庄司容子、日経BP)http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/051000049/0…

表現の自由 二枚舌 角を矯めて牛を殺す

平野・亀本・服部『法哲学』(33) いま問題にしているのは、「表現の自由」と「ヘイトスピーチ」である。前回はこの関連で、「憎悪のピラミッドとマイクロアグレッション」を紹介した。 マイクロアグレッション(microaggression)とは、「悪意なき差別」…

権力とは 支配と服従

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(18) 第4章 国家論の禁じ手を破る の続きである。 フーコー権力論の衝撃 私はフーコーを読んでいない*1ので、いい加減なコメントになるかもしれないが、気にしないで読みすすめよう。 稲葉 フーコーの議論は…

世代間の対立?

加藤尚武『現代倫理学入門』(29) 今回は、第13章 現在の人間には未来の人間に対する義務があるか である。 現在の人の未来の人への犯罪 現在の世代が未来の世代の生存のために、環境と資源の保護という義務を負うとしよう。現在の地球人と未来の地球人…

ウィキリークス(1) 忖度まんじゅう 法では解決困難な問題にどのように踏み込むか

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(13) 塚越は、ウィキリークス*1について、次のように説明している。 不正に関する情報の公開という、法では解決困難な問題に踏み込むことで、法や政策の無能さを示すと同時に社会貢献を目指す集団がある。ハクティビ…

憎悪のピラミッドとマイクロアグレッション(悪意なき差別)

平野・亀本・服部『法哲学』(32) 今回は、「表現の自由」と「ヘイトスピーチ」の話の関連で、(本書を離れるが)「憎悪のピラミッド」(Pyramid of Hate)と「マイクロアグレッション」(microaggression)についてみていこう。 テキストは、金友子「マ…

国家論の禁じ手? なぜ、「なぜ?」と問わないのか? 仕事しかしてないよ……

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(17) 今回から、第4章 国家論の禁じ手を破る に入る。 立岩は、国家を論ずるのに2通りの考え方があると言う 立岩 一つは、今ある国家の現状なり成り立ちの説明(事態の説明)。どういう力関係で今の政策決…

「義務」とは何か 労働基準法とお茶汲み

加藤尚武『現代倫理学入門』(28) 今回は、第12章 貧しい人を助けるのは豊かな人の義務であるか である。しかし、本章で取り上げられるのは、「義務論」であって、「貧困問題」ではない。貧困問題は別途、ということで本書の義務論をみていこう。 加藤…

死んだ牛を祀る会、織り句法、玉ねぎ中継

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(12) ハクティビズモ 政策無効化はハクティビズムが有する戦略の一つであるが、ハクティビストの活動は特定の人々に情報技術という武器を与え、支援することもある。 ハクティビズムという言葉を1996年には使用してい…

共同体論(3) 各人は自由に、自分が良いと思う生き方を追求してよいのか?

平野・亀本・服部『法哲学』(31) 共同体論者の言う「自由社会の病弊」とは、次のようなものであった。(共同体論(1)彼氏レンタル/彼女レンタル 参照) 共同体を衰退させ、歴史や伝統に培われた共同体の価値を失わせる 人間関係の希薄化を招く 個々人…

不平等論(12) 「私はこの社会に居場所はない」と呟く人を生み出すような社会は望ましい社会なのか?

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(16) 前回、立岩は、(1)権利は人々の承認を待って初めて実効力を持つ。(2)しかしそれだけではなく、人の権利は、人が認めたり承認したり、好きだったり嫌いだったりすることと独立して存在するべきである。と…

「他人に迷惑をかけなければ何をしても良い」という自由の空しさ

加藤尚武『現代倫理学入門』(27) 加藤は、自由主義の原則を次の5つ(の条件)に要約していた。 ①判断能力のある大人なら、 ②自分の生命、身体、財産に関して、 ③他人に危害を及ぼさない限り、 ④たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、 ⑤自己決…

著作物のフェアユース(fair use、公正な使用)

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(11) 塚越は、実際のハクティビズムの例をいくつか挙げている。すべてがハクティビズムかどうか分からないが、ともかく順番にみていこう。 まず最初にDeCSSであるが、要約すれば、次のようになろう。 映画というのは…

共同体論(2) 共同体論者の自由主義(リベラリズム)批判

平野・亀本・服部『法哲学』(30) 前回に引き続き、共同体主義(コミュニタリアニズムcommunitarianism)の話である。平野は、共同体論者による「自由主義的な正義の議論」の批判を紹介しているのだが、その説明にやや分かりにくいところがあるので、以下…

不平等論(11) 思いを超えてあってほしいという思い

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(15) 前回、稲葉は、「所有のみならず、権利一般に関して、周囲の同じ世界に共存している他人が認めようが認めまいが、人はある権利を持っているというふうに、多くの場合において言える」と述べていた。これ…

タバコを吸うという愚かなことをする権利

加藤尚武『現代倫理学入門』(26) 今回は、自由主義の原則の第4番目、「④たとえその決定が当人にとって不利益なことでも」についてである。 ある行為をすること、または差し控えることが、彼のためになるとか、あるいはそれが彼を幸福にするであろうとか…

サイバースペースの自治から現実の社会改革へ

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(10) 今回より、第3章 創造性とウィキリークス に入る。世間(世界)を騒がせたウィキリークスをどう評価するか。 コンピュータとインターネットの普及は、軍と政府の巨大な投資によってしか成立し得なかった。ハッ…

内界と外界

木下清一郎『心の起源』(7) 内界と外界 生物体には、必ず内界と外界がある。…生物に心が生じてくるのは、この平凡なことが遠因になっている。…心の働きは内界と外界との関係として始まり、また常にそういうものであり続ける。 生物学的に見る限りでは、漠…

共同体論(1) 彼氏レンタル/彼女レンタル

平野・亀本・服部『法哲学』(29) 今回は、第4章 法と正義の基本問題 第5節 共同体と関係性 である。本節では、共同体主義(コミュニタリアニズムcommunitarianism)が扱われている。 まず共同体主義とは何かについての概要を3つ並べてみよう。ブリタ…

不平等論(10) 土地所有権について

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(14) 前回、稲葉は、 稲葉 「所有はたった一人で始めることができるのか、たった一人で、ほかの誰のことも気にせずに、「これは俺のものだ」というふうに人は言うことができるのか」という問いを立てて、それ…

他人に危害を及ぼさない限り、何をしても良いのか?

加藤尚武『現代倫理学入門』(25) 今回は、自由主義の原則の第3番目、「③他人に危害を及ぼさない限り」についてである。 この条件は、「他者危害の原則」とも呼ばれる。自由主義の原理の中心部分であり、アトミズム[個人主義]と功利主義の性格の強い規…

平等(3) 「福利の平等批判」の批判、「アファーマティブ・アクション批判」の批判

平野・亀本・服部『法哲学』(28) 福利(結果)の平等に対する批判をみておこう。 「平等化」批判論 福利の平等論は、スタートラインの平等ではなくゴールの平等を目指す点で機会の平等論とは根本的に異なる。初期格差としてのハンディキャップの埋め合わ…

不平等論(9) ヴィーナスはいかが? 金星の土地売ります!

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(13) 前回、立岩は六つ目の話として、次のように述べていた。 立岩 国家については、マルキシズムとのからみで加えておけば、世界同時なんとかっていうのが昔流行ったんだが、ある種の国際主義はロジカルには…

いのち(臓器)の売買 所有と自己決定

加藤尚武『現代倫理学入門』(24) 加藤は、自由主義の原則を次の5つ(の条件)に要約している。 ①判断能力のある大人なら、 ②自分の生命、身体、財産に関して、 ③他人に危害を及ぼさない限り、 ④たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、 ⑤自己決…

猥褻で下品な電脳空間 (?)

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(8) ハクティビズムとは、「ハック(hack)とアクティビズム(activism,積極行動主義)とを組み合わせた造語」である。ハクティビズムの活動家はときとしてハクティビスト(Hacktivist)と呼ばれる。 Hackは俗語で、「…

平等(2) 「機会の平等」と「結果の平等」

平野・亀本・服部『法哲学』(27) 前回記事の「機会の平等」と「結果の平等」についての引用部分を再掲する。 分配的正義については、財の分配方式に関して、「機会の平等」と「結果の平等」という相異なる考え方がある。前者は、財を獲得するための機会…

不平等論(8) SDGsに合致しているかどうかを問うことが、政治や経済、生活のありようを変えていく糸口になります(国谷)

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(13) 立岩 マルキシズムについては、ぼくはほとんど書いたことがないのだけれど、いくつか列挙します。一つ、搾取の議論をそのままで使わないというか使えないというのは出発点にあった。…そういう話をされて…

判断力のない大人 判断力のある子ども

加藤尚武『現代倫理学入門』(23) 加藤は、自由主義の原則を次の5つ(の条件)に要約している・ ①判断能力のある大人なら、 ②自分の生命、身体、財産に関して、 ③他人に危害を及ぼさない限り、 ④たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、 ⑤自己決…

電子フロンティア財団とサイファーパンク

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(7) 電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation, EFF)は、1990年6月に設立された。これは、「デジタル時代の市民的自由を擁護する非営利組織」である。「市民的自由」と「非営利組織」という2つの言葉に…

平等(1) Suum cuique 各人に各人のものを!

平野・亀本・服部『法哲学』(26) 今回は、第4章 法と正義の基本問題 第4節 平等である。*1 平等の理念 私たちは平等ではない。容貌が違い、性格が異なり、体力、知力、芸術的才能、いずれにおいても十人十様である。人種が異なり、性別が異なり、信条…

不平等論(7) 赤ちゃんは、社会主義的人間である?

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(12) 前回、立岩は次のようなことを話していた。 何をするか、しないかを考えること。 乱暴に考えないこと。 人間ってこんなもんさねっていうところで話を収めないこと。 この件に関してはこの方が良いはずだ…

アローの不可能性定理 多数決 民主主義

加藤尚武『現代倫理学入門』(22) 前回の「囚人のジレンマ」に続き、「アローの不可能性定理」が取り上げられているので、これを理解しようと思ったのだが、なかなか難しい。今後ゆっくりと勉強することにして、思いついたことをメモしておこう。 アロー…

ストールマンのコピーレフト 著作物は「より優れたもの」にならなければならない

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(6) 塚越は、「コピーレフト」の概念について説明している。これはソフトウェアに限らない応用範囲の広い概念ではないかと思う。塚越の説明だけではちょっと分かりにくいので、今回は、wikipediaの説明を先にみておこ…

市場(3) 外部経済、外部不経済を考える

平野・亀本・服部『法哲学』(25) 前回、市場の失敗として、①独占・寡占、②外部性(外部経済、外部不経済)、③情報の非対称性、④公共財についてふれたが、今回はこのうち②の外部性について、もう少し詳しく見ておこう。 まず、外部経済・外部不経済とは、…

不平等論(6) 誤った二分法 乱暴に考えないこと

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(11) 何をするか、しないかを考える 立岩 第1点。何をするか、しないかを考えること。…人がスタートラインにつくときに自分が持ってる自分の身体以外の手持ちの部分をわりとフラットにしよう、そしたら結構…

「囚人のジレンマ」と「安全保障」(部族間の縄張り争い)

加藤尚武『現代倫理学入門』(21) 第10章は、「正直者が損をすることはどうしたら防げるか」で、「囚人のジレンマ」と「アローの不可能性定理」が扱われている。今回は、そのうち「囚人のジレンマ」を取り上げる。 本書の「囚人のジレンマ」は、全然面…

監視国家とジマーマンのPGP

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(5) 暗号技術をネットに放流-PGP暗号 暗号と戦争の長きにわたる歴史が証明するように、暗号は政治的に重要な位置を占めている。とすれば、暗号技術の独占は軍事力のバランスを非対称にし、強者による弱者の支配に直結…

市場(2) 政府の失敗 市場の失敗

平野・亀本・服部『法哲学』(24) 政府の失敗 中央集権的な政府機能が効率的でないことを、通常「政府の失敗」という。主要なポイントは3点にわたる。 官僚機構が非効率…集権化された政府機能を果たすために組織運営費用がかかり、各部局の機能は配分さ…

不平等論(5) 「誰もが支え合う共生社会」のビジョン

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(10) 前回、立岩は、次のようなことを言っていた。 中央指令型の統制経済はうまくいかない。実際にうまくいかなかったし、理論的に正当化もできない。 協同組合主義は「参加」とか言っているが、なんか「だる…

普遍化可能性の議論(2) 「おい、山田君、そこの自転車をどけてくれ」

加藤尚武『現代倫理学入門』(20) 今回は、第9章「思いやりだけで道徳の原則ができるか」の続きである。加藤は、ヘア(1919-2002、イギリスの哲学者)の普遍化理論について、次のように述べている。 彼が挙げる例はだいたいこんな話である。私が大学の駐…