気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

私たち

正規労働と非正規労働 どのような「格差」があるのだろうか?

格差社会(5) 次のグラフは、平均年収を、(事業規模別)正規労働者・非正規労働者別にみたものである。(正規労働、非正規労働の意味は後述) このグラフを見れば、一目瞭然だが、 ・非正規労働者の年収は、事業規模とはほとんど関係ない。 ・正規労働者…

コモンズの悲劇(2) ウンコな議論?

立岩真也『私的所有論』(7) 共有地(コモンズ)の悲劇とは、「多数者が利用できる共有資源が乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまうという経済学における法則」*1(Wikipedia)であった。例えば、牧草地とか漁場が、共有地(コモンズ)である。…

概念法学と感情法学

平野・亀本・服部『法哲学』(46) 法解釈の話を、六法全書に書かれている法の解釈に限定すべきではない。会社をはじめとする様々な組織における各種のルールをどう考えるかという話でもある。 今回は、第5章 法的思考 第2節 制定法の適用と解釈 第2項 …

将来に対する不安 社会保障制度は機能しているのか?

久米郁男他『政治学』(7) まず最初に、次のグラフを見てみよう。これは、全国の15~64歳の働く人の意識調査*1の一部で、「将来に対する不安」を聞いたものである。(n=1036) 将来に対する不安を「非常に感じる」が38%、「やや感じる」が39%で、…

賃金構造基本統計調査 - 大企業の課長の年収はどれくらいか?

格差社会(4) 「格差」の話は、もう少しお預けにして、給与の統計を見ておこう。前回は、国税庁の「(平成28年)民間給与実態統計調査」(H29/9)であったが、今回は、厚労省の「(平成29 年)賃金構造基本統計調査」(H30/2)である。 これはどういう統計…

おならをして、犬を叱る

あ https://www.pinterest.jp/pin/80642649548888093/?lp=true

コモンズの悲劇

立岩真也『私的所有論』(6) 第2章 私的所有の無根拠と根拠 第3節 効果による正当化と正当化の不可能性 第3項に、共有地(コモンズ)の悲劇がとりあげられている。「コモンズの悲劇」といっても、ドラマティックな話ではない。しかし、「社会の有りよう」…

杓子定規な考え方を打破する

平野・亀本・服部『法哲学』(45) 今回は、第5章 法的思考 第2節 制定法の適用と解釈 第2項 解釈の技法 である。 この「解釈の技法」の話は、法解釈にとどまらず、円滑なコミュニケーションのためには、非常に有用な技法である。場合によっては、屁理屈…

貧困とセーフティネット 生活保護とスティグマ

久米郁男他『政治学』(6) 今回は、第4章 福祉国家 第1節 福祉国家の政策レパートリー である。 病気、老後の不安、失業、子育て等にどう対処するのかという話である。「そんなもの、関係ない」などと思っていると痛い目に合う。 本書は、福祉国家が提供…

民間給与実態統計調査 - あなたの給与はどのレベル?

格差社会(3)*1 私たちは、社会生活を送るにあたり(世の中で生きていくためには)、それなりの「衣・食・住」を必要とする。必要な衣食住は「お金」を媒介として得られる。その「お金」は、多くの人にとって、会社等で働くことによって得られる。それは「…

人間の敗北である単なる事実を正義と言いなす

立岩真也『私的所有論』(5) 立岩は、決定の分散と集権について、次のように述べていた。所有の「初期値」をなぜ問題にしないのか? 参照。 決定の分散が決定の集権化よりも好ましいものだとしても、それはある特定の、例えばこの社会における分散された決…

「法の欠缺」(ルールの不存在)に、どう対処すべきか?

平野・亀本・服部『法哲学』(44) 今回は、第5章 法的思考 第2節 制定法の適用と解釈 第1項 法の解釈とは何か である。*1 ここで「法」を、いろいろな組織、団体、グループの決め事、行動の手順(仮に「ルール」と呼んでおく)と考えれば、ルールの解釈…

リベラリズム ロールズ ハイエク ノージック

久米郁男他『政治学』(5) 今回は、第3章 自由と自由主義 第3節 福祉国家型自由主義とその批判 である。 資本主義経済の発展は何をもたらしたか。 産業革命によってもたらされた本格的な資本主義経済の発展は、子どもや女性にまで及ぶ劣悪な労働条件の強…

「格差」の指標 「ジニ係数」を考える(2)

格差社会(2) 前回は、「所得格差」を表す代表的な指標とされる「ジニ係数」について、それがどのようにつくられるのかをみてきた。それは、ローレンツ曲線のカップを1つの数字として表現するものであった。日本の2017年度の実質経済成長率(見通し)は、1…

「労働→所有」図式 再起動(restart)によりバージョンアップする

立岩真也『私的所有論』(4) 今回は、第2章 私的所有の無根拠と根拠 の(注14)をとりあげる。 第1 この労働→所有の図式に乗った上で、個々の取り分を問題にする主張が大きな勢力としてあった(マルクス主義の搾取の議論)。…本来は自分に帰属すべき自分の…

規範的判断の正当化の根拠としての「法原理」

平野・亀本・服部『法哲学』(43) 今回は、第5章 法的思考 第1節 法的思考とは何か 第5項 制定法主義と判例法主義 の続きである。 前回ふれたレイシオ・デシデンダイratio decidendi(判決理由)とオービタ・ディクタobiter dicta(傍論)に関しては、本…

不可解・不明瞭な、「消極的自由」と「積極的自由」

久米郁男他『政治学』(4) 今回は、第3章 自由と自由主義 第2節 古典的自由主義の展開 の続き。バーリン(1909-1997)の「消極的自由」と「積極的自由」が説明されている。 消極的自由と積極的自由 バーリンの説明によれば、消極的自由とは、ある人がいか…

なぜ「不正」が繰り返し生ずるのか?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(23) 最終章において、サイバーテロやサイバー犯罪について、少しふれられている。「イランのナタンズにある核施設へサイバー攻撃を行った「スタックスネット(Stuxnet)」と呼ばれるマルウェア(悪意あるソフトウェ…

「格差」の指標 「ジニ係数」を考える

格差社会(1) 私は「格差社会論」を、本ブログの主要テーマの一つとしています。熊沢誠は『格差社会ニッポンで働くということ』という本で、以下のように述べています。 いまさかんに展開されている格差社会論とは、畢竟ある程度は不可避的に分立する、仕…

所有の「初期値」をなぜ問題にしないのか?

立岩真也『私的所有論』(3) 第2章 私的所有の無根拠と根拠 第2節 自己制御→自己所有の論理 の続きである。 自由は何も言わない ある範囲のものが(全面的であるにせよ、一定の制約下にあるにせよ)その者の決定のもとにある時、その者の決定は「自由」で…

レイシオ・デシデンダイ 「先例」に拘束されなければならないのか?

平野・亀本・服部『法哲学』(42) 今回は、第5章 法的思考 第1節 法的思考とは何か 第5項 制定法主義と判例法主義 である 裁判官は、何を根拠に(何を判断基準として)判決を下しているのだろうか? もし裁判員になったら、何を根拠に判断することになる…

自由主義は、自分勝手やわがまま放題の別名ではないのか?

久米郁男他『政治学』(3) 今回は、第3章 自由と自由主義 第2節 古典的自由主義の展開 である。 自由主義とは、生命や財産や思想・信条に関する個人の自由を、他者に同等の自由を認めるかぎりにおいて最大限に認めようという思想である。リベラルな国家に…

知能指数(IQ) 監視と保護

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(6) 今回は、第7章 知能である。(第6章 性格 はパスする)。「知能」というのは、いささか問題含みのテーマである。 最初に本書の説明をざっとみて、その後、少し考えてみよう。 20世紀初頭、フランス政…

アノニマスとDDoS攻撃

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(22) アノニマスと市民的不服従の意味を再確認しておこう。 アノニマスとは、 インターネット上の匿名性や情報発信の自由を守ることを旗印に掲げ、これに制限や規制を加えようとする政府や団体、企業などにサイバー攻…

人権問題としてのいじめ

ハラスメント(4) 池田中の生徒自殺、地検に告発 福井の市民団体 池田町池田中学校で3月、男子生徒が担任らの指導を苦に自殺した問題で、福井市の市民団体「社会問題被害者救済センター」が21日、業務上過失致死の疑いで、当時の担任と副担任、校長の3人に…

「自己労働→自己所有」というおかしな論理

立岩真也『私的所有論』(2) 第2章 私的所有の無根拠と根拠 第2節 自己制御→自己所有の論理 私的所有を正当化しようとする言説はどういうものか。 ロック(1632-1704)をはじめとする論者達が持ち出すのは、自己労働→自己所有という図式である。自己に属…

疑わしきは罰せず (オウム真理教)菊池被告は無罪である

平野・亀本・服部『法哲学』(41) 今回は、第5章 法的思考 第1節 法的思考とは何か 第4項 事実認定 であるが、本書の説明ではよく分からないので、wikipedia等を参照し、その後、オウム真理教元信者の菊池被告の上告審(最高裁第一小法廷は、2017年12月2…

古典的自由主義(生命と私的所有の保障、信仰・思想・表現の自由、権力の多元性の確立)

久米郁男他『政治学』(2) 前回は「市場の失敗」の話であった。市場の失敗に対しては政府が出動するという。 多くの経済学の入門書は、政府の役割として、第1に、「公共財」を中心とする資源配分、その典型として司法・警察・消防、国防・外交、教育・文…

情動 恋の吊り橋実験

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(5) 今回は、第5章 動機づけと情動 にでてくる情動をとりあげよう。情動とは、具体的には、喜び,悲しみ,怒り,恐れ等である。この話は「面白い」はずだが、本書の説明はまったく面白くない。何故なのか…

アノニマス 市民的不服従とテロ

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(21) アノニマスの活動は、「市民的不服従」とみなせるようなものだろうか。 市民的不服従とは何か 政治哲学者の寺島俊穂(1950-)は、市民的不服従を「自らの行為の正当性の確信のもとに行われる非合法行為」と定義…