気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

私たち

なぜ「不正」が繰り返し生ずるのか?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(23) 最終章において、サイバーテロやサイバー犯罪について、少しふれられている。「イランのナタンズにある核施設へサイバー攻撃を行った「スタックスネット(Stuxnet)」と呼ばれるマルウェア(悪意あるソフトウェ…

「格差」の指標 「ジニ係数」を考える

熊沢誠 『格差社会ニッポンで働くということ』(1) 私は「格差社会論」を、本ブログの主要テーマの一つとしています。本書は、無数にある格差社会論から厳選したというものではなく、たまたま手にした本で、「ちょっと面白そうだな」という感覚でとりあげ…

所有の「初期値」をなぜ問題にしないのか?

立岩真也『私的所有論』(3) 第2章 私的所有の無根拠と根拠 第2節 自己制御→自己所有の論理 の続きである。 自由は何も言わない ある範囲のものが(全面的であるにせよ、一定の制約下にあるにせよ)その者の決定のもとにある時、その者の決定は「自由」で…

レイシオ・デシデンダイ 「先例」に拘束されなければならないのか?

平野・亀本・服部『法哲学』(42) 今回は、第5章 法的思考 第5節 制定法主義と判例法主義 である 裁判官は、何を根拠に(何を判断基準として)判決を下しているのだろうか? もし裁判員になったら、何を根拠に判断することになるのか? 非常識な(?)裁…

自由主義は、自分勝手やわがまま放題の別名ではないのか?

久米郁男他『政治学』(3) 今回は、第3章 自由と自由主義 第2節 古典的自由主義の展開 である。 自由主義とは、生命や財産や思想・信条に関する個人の自由を、他者に同等の自由を認めるかぎりにおいて最大限に認めようという思想である。リベラルな国家に…

知能指数(IQ) 監視と保護

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(6) 今回は、第7章 知能である。(第6章 性格 はパスする)。「知能」というのは、いささか問題含みのテーマである。 最初に本書の説明をざっとみて、その後、少し考えてみよう。 20世紀初頭、フランス政…

アノニマスとDDoS攻撃

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(22) アノニマスと市民的不服従の意味を再確認しておこう。 アノニマスとは、 インターネット上の匿名性や情報発信の自由を守ることを旗印に掲げ、これに制限や規制を加えようとする政府や団体、企業などにサイバー攻…

人権問題としてのいじめ

ハラスメント(4) 池田中の生徒自殺、地検に告発 福井の市民団体 池田町池田中学校で3月、男子生徒が担任らの指導を苦に自殺した問題で、福井市の市民団体「社会問題被害者救済センター」が21日、業務上過失致死の疑いで、当時の担任と副担任、校長の3人に…

「自己労働→自己所有」というおかしな論理

立岩真也『私的所有論』(2) 第2章 私的所有の無根拠と根拠 第2節 自己制御→自己所有の論理 私的所有を正当化しようとする言説はどういうものか。 ロック(1632-1704)をはじめとする論者達が持ち出すのは、自己労働→自己所有という図式である。自己に属…

疑わしきは罰せず (オウム真理教)菊池被告は無罪である

平野・亀本・服部『法哲学』(41) 今回は、第5章 法的思考 第4節 事実認定 であるが、本書の説明ではよく分からないので、wikipedia等を参照し、その後、オウム真理教元信者の菊池被告の上告審(最高裁第一小法廷は、2017年12月25日、検察側の上告を棄却…

古典的自由主義(生命と私的所有の保障、信仰・思想・表現の自由、権力の多元性の確立)

久米郁男他『政治学』(2) 前回は「市場の失敗」の話であった。市場の失敗に対しては政府が出動するという。 多くの経済学の入門書は、政府の役割として、第1に、「公共財」を中心とする資源配分、その典型として司法・警察・消防、国防・外交、教育・文…

情動 恋の吊り橋実験

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(5) 今回は、第5章 動機づけと情動 にでてくる情動をとりあげよう。情動とは、具体的には、喜び,悲しみ,怒り,恐れ等である。この話は「面白い」はずだが、本書の説明はまったく面白くない。何故なのか…

アノニマス 市民的不服従とテロ

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(21) アノニマスの活動は、「市民的不服従」とみなせるようなものだろうか。 市民的不服従とは何か 政治哲学者の寺島俊穂(1950-)は、市民的不服従を「自らの行為の正当性の確信のもとに行われる非合法行為」と定義…

仙台中2自殺 いじめ自殺の「事故調査委員会」は正常に機能するのか?

ハラスメント(3) 今回は、仙台中2自殺の事例をとりあげよう。 2017年4月26日(水)、仙台市青葉区の折立中学校で、中学二年生の男子生徒が自殺。 2017年4月29日(土)、大越裕光仙台市教育長と髙倉祐一校長らは「(いじめと)はっきり断定したものはない…

所有という問題-世界にある財が、交換の始まる時点において誰のものであるかが決定されていなければ、交換は起こりようがなく、その初期値の設定を定める規範は、市場の中にはない

立岩真也『私的所有論』(1) 立岩に『私的所有論』なる著作があることはだいぶ前から知っていた。しかし、amazonの商品説明では、「「私のもの」とは何か? 代理母、女性の自己決定権、臓器移植など、所有と他者と生命をめぐり、社会・倫理を横断して考える…

法的思考 法的三段論法(判決三段論法)

平野・亀本・服部『法哲学』(40) 今回は、第5章 法的思考 第3節 判決三段論法 である。 亀本の説明は少し分かりにくい。そこで最初に分かりやすい説明をみてみよう。 法規の適用において用いられる三段論法を「法的三段論法」などと呼ぶ。法的三段論法…

七人の侍 統治の正統性 市場の失敗

久米郁男他『政治学』(1) 序章 「七人の侍の政治学」で、久米は、「本書では、政治をこの映画[黒沢明監督の七人の侍]に示される「本人」「共通の目的」「代理人」という三つの要素に注目して整理し説明する」と述べている。(以下の引用では、原文のま…

あなたを行動に駆り立てるものは何か?

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(4) 今回は、第5章 動機づけと情動 にでてくる動機づけをとりあげる。 内発的動機 人間は感覚刺激が適度に変化していないと、正常に生きていけない。…動物は絶えず環境から情報を収集し、環境に働きかけ…

アノニマスは、なぜDDoS攻撃を仕掛けるのか?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(20) 今回は、第5章 ハクティビズムはどこに向かうのか である。 ソニーの大規模個人情報流出事件 2011年4月のアノニマスによるソニーのプレイステーションネットワークに対するDDoS攻撃*1(これがソニーグループの1…

福井中2自殺 パワハラ教師と教育委員会の責任は? 調査報告書の「再発防止の提言」を読む

ハラスメント(2) https://picapickup.click/wp-content/uploads/2017/10/yakusokusoukan.jpg テレビドラマ「明日の約束」は、低視聴率*1らしいがなかなか面白い。「いじめ」をスクールカウンセラーの目からみた社会派ドラマ(というふれこみ)。私は、「…

「独裁」と「結論を出せない民主主義」をどう調停すればよいのか?

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(22) 今回は、第5章 みんなで考え合う技術 第4節 クリティカルシンキングの倫理性 である。 地球温暖化に関して、次のような三段論法がある。 [式5-4] (大前提)温暖化への取り組みが遅れるのは望ましくないこと…

政治家・議員・公務員は、恣意的に権力を行使してはならない

平野・亀本・服部『法哲学』(39) 今回より、第5章 法的思考に入る。第1節は、法的思考とは何か である。 私は、「法」を「私たちが共によりよく生きていくためのルール」だと考えている。したがって、本章の「法的思考」もそのようなルールに関係する話…

貧富の差 成長か分配か?

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(25) 前回で対談は終わりなのだが、補論がある。一つは稲葉の「経済成長の必要性について」であり、もう一つは立岩の「分配>成長? 稲葉「経済成長の必要性について」の後に」である。ここでは、稲葉の補論…

心の理論 あなたは相手の気持ちが理解できますか?

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(3) 他者の心の状態を推測する 他者の心の状態(信念や欲求)を推測し、他者の行動を予測したり解釈したりする能力は「心の理論」と呼ばれる。(長谷川、本書) このような心の機能の有無を調べる実験の一…

オキュパイ・ラブ 人類の危機をラブ・ストーリーに変える

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(19) 塚越は本章 仮面の集団アノニマス で、オキュパイ・ウォールストリートをとりあげているが、一部のアノニマスもこの運動に参加したという程度のようだ。しかし、このオキュパイ運動*1というのは興味深い。アノニ…

福井中2自殺 教師による「教育(指導)」と言う名の「虐待」

ハラスメント(1) https://www.ktv.jp/yakusoku/index.html (空にいる息子へ) :如月 2017年05月17日 あなたの誕生日に、ロックがかかって開けれなかったスマホが開けられました。 4千回以上のパスワードを入れ続け、やっと見れたスマホには 未送信のメー…

相互了解と合意の形成

平野・亀本・服部『法哲学』(38) 今回は、第4章 法と正義の基本問題 第6節 議論 の続きである。議論の理論は、民主主義を考える場合の最重要なテーマである。なお、今次衆院選により改憲勢力(自民党、公明党、希望の党、日本維新の会)が、国会発議に…

国家の責任

稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(24)*1 稲葉は、「国家には、社会的に不利な状況に落ちた人、社会的弱者に対する責任はない」という。 本当に国家に責任はないのか 立岩 例えば、誰かが脚を折ったとか、その結果これこれがあって、というレ…

大盛りねぎだくギョク 繋がりの社会性

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(18) 第4章 仮面の集団アニニマス の続きである。塚越は、ゲームフィケーション*1とスラックティビズム*2について述べているが、詳細は省略し(必要があれば、後で参照する)、次の要約のみ引用しておく。 ゲームフィ…

あなたは自分の親が寝たきりで、一人でものを食べられなくなったら、放置して死なせますか?

経産省 次官・若手プロジェクト 「不安な個人、立ちすくむ国家」(5) 1歳11カ月の男児を乗用車内に放置し、熱中症で死なせたとして父親(パチンコをしていたという)が逮捕された、というニュースがあった。では、自分の親が寝たきりになり、一人で食事を…