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気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

STAP細胞 法と倫理(3) 「村の掟」による追放

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小保方は、捏造3件、改竄1件の不正を行ったと認定された。これは何の罪にあたるのだろうか。「捏造、改竄、盗用を行ったものは、研究者コミュニュティから追放する」という法令はどこにあるのだろうか。暗黙のルールなのか、それとも就業規則の「懲戒事由」に明記されていることが根拠なのだろうか。

罪刑法定主義という概念がある。Wikipediaによれば、

罪刑法定主義は、ある行為を犯罪として処罰するためには、立法府が制定する法令(議会制定法を中心とする法体系)において、犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰を予め、明確に規定しておかなければならないとする原則のことをいう。

罪刑法定主義の根拠は、以下のように自由主義・民主主義の原理にこれを求めることができる。

どのような行為が犯罪に当たるかを国民にあらかじめ知らせることによって、それ以外の活動が自由であることを保障することが、自由主義の原理から要請される。

何を罪とし、その罪に対しどのような刑を科すかについては、国民の代表者で組織される国会によって定め、国民の意思を反映させることが、民主主義の原理から要請される。

就業規則は、立法府が制定する法令なのか。そうではないだろう。ならば、「捏造、改竄、盗用を行ったものは、科学者コミュニュティから追放する」というのは、自由主義の原理、民主主義の原理に反するのではないか。以下これを、法律によらない「村の掟」による追放と呼ぼう。(私は、法律に詳しくないので、自信をもって言えることではありません。誤りがあれば訂正/取り消します。)

 

さて、懲戒解雇を行う場合、一般に「就業規則」にその定めがある。理研の場合、どうなっているか。

理研の「就業規程」で、「懲戒解雇」の部分をみてみると(定年制職員も任期制職員も同じ)、

定年制(任期制)職員が次の各号の一に該当するときは、諭旨退職又は懲戒解雇に処する。ただし、情状により前条の懲戒にとどめることがある。(前条は、譴責、減給、出勤停止等について規定している。-引用者)

(5) 研究の提案、実行、見直し及び研究結果を報告する場合における不正行為(捏造、改ざん及び盗用)が認定されたとき。

を、懲戒解雇事由の一つとしてあげている。さらに、次のような規定がある。

定年制(任期制)職員の懲戒は、その審査を行うため懲戒委員会の議を経て行うものとする。

懲戒の決定に不服があり十分な反証があるときは、本人又は利害関係人は、決定の通知後10日以内(休日も含む。)に懲戒委員会委員長に対して再審査を請求することができる。

定年制(任期制)職員が、故意又は重大な過失によって研究所に損害を及ぼしたときは、情状によりその損害の全部又は一部を賠償させることがある

規定の「故意又は重大な過失」「情状」という文言に注意しておきたい。

懲戒解雇について、wikipediaは、次のように言っている。

懲戒解雇…事業主が労働者の責めに帰すべき理由で解雇すること。重責解雇とも言われ、通常は再就職の大きな障害になることから労働者にとって正に極刑である懲戒解雇の法律上の定義はなく、習慣的な名称である

なお、就業規則は、使用者側が労働者代表等の意見を聴取するだけでよく、一方的に作成できるものである。(もちろん、労働基準法等に違反していてはダメ)

私は、就業規則は、罪刑法定主義でいう法令には該当しないと考えるので、「労働者にとってまさに極刑」に相当する懲戒により「科学者コミュニュティから追放する」ことを、「村の掟」による追放と呼ぶ。

なお、小保方の退職と懲戒の関係については、後でふれることにする。

 

中央法律事務所代表弁護士の三平聡史(早稲田大学理工学部出身)はこんなことを言っている。

監督責任がある理研には、不正を見逃して小保方氏に交付金の一部を差配した社会的責任がある。そのため、刑事告発をするとなれば理研以外の研究者や市民団体などでなく、理研がその立場にある

外部委員会の任意調査には限界があったが、強制力のある捜査・司法の場に移れば『誰がES細胞を混入させたのか』『混入は故意だったのか』という大きな謎が解明される可能性がある。血税が使われたのだから、そうすべき道義的責任は当然ある。

ユニットリーダーになる前からSTAP現象の発現があり得ないと知りつつ虚偽の実験結果を記載・説明して研究費・人件費などの申請を行なったとすれば、刑法246条の詐欺罪に、ユニットリーダーになった後でSTAP現象発現はあり得ないと知ったとすれば、刑法253条の業務上横領罪に問われる可能性がある。 また、独立行政法人の職員である理研の研究者は『みなし公務員』として、公務員同様の刑法の罰則が適用される。そのため、『虚偽公文書作成罪』に問われる可能性もある。 

ただしこれらはすべて故意の立証が必要です研究者の不正において故意か過失かを立証することは非常に難しいが、成立すれば法定刑は懲役10年以下の懲役となります

http://www.news-postseven.com/archives/20150118_298375.html?PAGE=1#container

一般論として、三平の解説は正しいと思う。但し、理研(または検察)が小保方を告発しなければ、この犯罪は成立しない。

調査委員会は「捏造」「改竄」を認定した。これは小保方に「故意」があったことを意味している。そうすると、論理必然的に小保方は告発されねばならないだろう。また理研の規程により損害賠償請求されるだろう。

小保方は「村の掟」により、研究者科学者コミュニュティから追放されただけでなく、更に上記の罪で「監獄」に入れられることになるのだろう。

科学者、マスコミ、大衆は、小保方が処刑されるのを待ち望んでいる!

追記:「科学研究上の不正行為の防止等に関する規定」が、「立法府が制定する法令」に準ずるものであるかどうかを検討しなければならないかもしれない。

 

(続く)