気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

STAP細胞 より良き未来のために(6) 

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7.「研究公正局」のような機関を設置すべきか?

米国の研究公正局(Office of Research Integrity、ORI)のような機関を設置すべきだろうか?

研究公正局とは、研究の公正性、すなわち科学における不正行為が行われていないかどうかなどを監視する、米国の政府系機関である。前身はアメリカ国立衛生研究所(NIH)内に設置されたOSI(Office of Scientific Integrity 科学公正局)およびアメリカ合衆国保健福祉省(HHS)のAssistant Secretary for Healthの下に設置されたOSIR(Office of Scientific Integrity Review)の二つであり、1992年5月に統合されたものである。

ORIは次のような活動を行うことでその責任を果たしている。

・科学における不正行為の探知・捜査および防止のための、方針・手順・規則の開発

・研究助成金を受けている団体、学内研究プログラム、HHSのOffice of Inspector Generalにおける不正行為の捜査についての審査やモニタリング

・Assistant Secretary for Healthに対して、不正発見と管理行為の推奨

等々 (wikipedia)

私は、研究不正規律を「村の掟」ではなく、社会(国)の掟とすべきと考えているので、まずは国の法律として制定し、行政機関として「研究公正委員会」(内閣府の外局?名称は何でもよい。公正取引委員会証券取引等監視委員会のようなもの。)なる機関を設置すべきだと思う。

 公正取引委員会は,独占禁止法に違反する行為が行われている疑いがある場合には,事件関係人の営業所への立入検査や関係者からの事情聴取等の調査を行っています。独占禁止法違反被疑事件のうち,犯則事件(法第89条,法第90条及び法第91条の罪に係る事件)を調査するため必要があるときには,裁判官の発する許可状により,臨検,捜索又は差押えを行うことができます。これを「犯則調査権限」と呼んでいます。(http://www.jftc.go.jp/dk/seido/hansoku.html)

そこで重要なことは、

  • 政令等で、研究不正の範囲を明確にすること。研究成果の発表のみに限定せず、研究の計画・遂行等の全過程を対象にすべきこと。人文・社会科学系等も含めること。
  • 研究不正の内容を詳細に定義すること。不正の「等級」のようなものを定めること。…イメージとしては…自動車損害賠償保障法施行令の第2条は保険金額を定めているが、そのなかで傷害を受けた者については、別表で詳細に定めている。研究不正についても同様に別表で詳細に不正内容を定義し、保険金額の代わりに罰則を規定すべきある。(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S30/S30SE286.html

  • 研究機関の公的資金の返還および研究機関の研究不正者への請求について定めること。(必ずしも同一金額である必要はない)

  • 既存の刑法上の犯罪・量刑と整合性のとれるものにすること。挙証責任についても明確にすること。
  • 研究不正が同時に、刑法上の犯罪とされる場合には、研究公正委員会の調査手続と刑訴法の定める手続きに齟齬のないようにすること。
  • 労働法規と整合性のとれるものにすること。(懲戒権の濫用とならないこと)
  • 研究公正委員会が、捜査権限(犯則調査権限?)を持つべきこと。調査のプロを養成すること。
  • 関係者(被疑者)への聞き取り(取調べ)は、可視化すること。調書を取ること。関係者(被疑者)の人権に配慮すること。
  • 不正調査から認定までの手続きは、刑訴法に定める手続きに準じて定めるべきこと。
  • 研究機関の研究内容の是非に立ち入らないこと(研究の自由)。
  • 研究不正の内容公表については、実名報道の弊害に配慮すること。(報道により、過重な刑罰が課される)…実名が容易にわかる案件については、公表内容を工夫すること。
  • 不正防止のための教育資料を作成する等して、単に取締り機関・不正調査機関ではないことを明確にすること。

  • 顕名・匿名の告発者やネットでの告発者の取り扱いを明確にすべきこと。

  • 再現実験の位置づけを明確にすること。(成功が不正でないことの証明になるのか、不成功が不正の証明になるのか)

 このような行政機関を設置することについては、「権力機関」とみなして「学問・研究の自由」を脅かすものとみなす見方もあるかもしれない。しかし、公正取引委員会証券取引等監視委員会、さらには警察の交通課等の仕事が、対象とする行為の自由を脅かしていると言えるだろうか。もし自由を脅かしている事例があった場合には、法律等を改正すれば済むかもしれないのに、そういう事例をことさらに取り上げて機関設置を否定することは、不正防止に有効とは思われない。

どこかで「指針や監視でなく、科学者が自らを律する姿勢が不可欠だ。そうしなければ学問の自由は守れない」という意見を聞いたことがあるが、「科学者が自らを律する姿勢」と「そうしなければ学問の自由は守れない」との間には、論理の飛躍がある。また「科学者が自らを律する姿勢」(倫理教育の強調)が、「捏造・改竄・盗用はダメ」というような小学生でもわかるようなことを言っているのであれば、全くナンセンスである。具体的にどのような行為が不正なのかを明確にすることが先決である。倫理教育など不要(誰でも知っている)、具体的なルールとその周知徹底こそが重要である。サッカーのルールを教えることは大事だが、サッカー選手の倫理教育をする必要はない。(例えば、「盗用」について言えば、天才は別として、人はだいたい似たようなことを考えるものである(特に社会科学系)。それを表現したら、過去に誰かが発表したものと似たような文章になる。これは盗用になるのかならないのかを判定するルールを定め、周知徹底するということである。)

 

(続く)