浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

浴衣と団扇

下の写真は、今月より始まったフジテレビのドラマ「恋仲」のオフィシャルサイトから。…浴衣と団扇に注目してみましょう。 

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浴衣と言えば、夏の風物詩、花火大会に盆踊り。浴衣デートというのは、なかなかですね。(九鬼周造の『いきの構造』が積読になっているのを思い出した。)

でも、もはや「和」だからどうのこうのということはない。「和」にこだわる必要はない。…浴衣はワンピースの一種ですよね。男のワンピースもなかなか色気があるのではないでしょうか。

ユニクロが、竹久夢二の原画をアレンジしたオリジナル柄の浴衣を売り出しています。

あまりポピュラーになりすぎると「粋」ではなくなるのかな?

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http://www.uniqlo.com/jp/store/feature/uq/yukata/women/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=g_kw_0000043215_009&utm_term=%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%82%AF%E3%83%AD%20%E6%B5%B4%E8%A1%A3

 

一番右に「水竹居」というのがあります。ネットの力で引っ張り出しましょう。

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http://izucul.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2014/10/18/img_0001.jpg

これには解説文があったほうが良いですね。

今日の一枚は、東京都文京区の竹久夢二美術館にある「水竹居(すいちくきょ)」。1933年、昭和8年に描かれた作品で、夢二晩年の傑作といわれている。抜けるように白い肌、大きな目に鼻筋に通った細面。振り向いた眼差しは、まるで誘っているようで、その唇はかすかな笑みをこぼしている。着物の色づかいはそれでいて、着崩す感じが実に艶っぽい・・・。これこそ夢二ならではの女性像だった。実はこの作品、ベルリンで現地モデルを使って描かれたもので、その後半世紀もの間、日本では知られざる作品だった。数々の女性遍歴で知られ、美人画の画家として名高い夢二だが、雑誌の表紙やポスター、千代紙や着物のデザインまで手掛け、庶民が気軽に楽しめる芸術を目指した。そんな夢二は産業美術を学ぼうと47歳でアメリカ、ヨーロッパに飛ぶ。その旅の途中、ドイツで描かれたのが今日の一枚。異国の地で、西洋の女性をモデルにしながら、日本の着物を着た和風美人を描いた夢二。そして背景には、水辺と竹林・・・。なぜ夢二は異国にいながらもこのような絵を描いたのか。

この絵のタイトル「水竹居(すいちくきょ)」とは、竹林と水の流れる書室、中国の文人や芸術家の理想的な環境を意味する。しかし、これが描かれた1930年代前半のドイツは湧き上がる戦火の予感が感じられる時代だった。この絵には、夢二の変わりゆく時代へのメッセージが込められていた・・・。戦争へと進む国々に、夢二はこの静かな理想郷を描くことで、平和への願いを込めていた。(http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/060909/

ドイツ人女性がモデルというのは興味深いですね。

 

次に、「団扇」に注目。

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https://www.google.co.jp/?gfe_rd=cr&ei=b3evVZWxIa_98wfj6bSYCw&gws_rd=ssl#q=%E6%B0%B4%E3%81%86%E3%81%A1%E3%82%8F+%E7%BE%8E%E6%BF%83%E6%89%8B%E6%BC%89%E3%81%8D%E5%92%8C%E7%B4%99&tbm=shop&spd=1638270931135794318

 

wikipediaによると、

形態や材質は時代によって変化してゆき、室町時代末、軽くて扇部がへたらない構造として、竹骨と紙を素材とする現在のかたちとなる。江戸時代にはいると一般大衆に普及し、町民文化が花開くとともに涼(りょう)や炊事、装いや流行、蛍や虫追いなど、さまざまな場面で利用された

明治時代には、その美しい図柄の団扇は外国人に高い評価を得て盛んに外国に輸出された。商家の配布用としての需要も急増し、裏面に名入れ、表面には商品や様々なメッセージが織り込まれ、広告媒体としての意義を備えていった。昭和40年代以降、扇風機やクーラー、ガスや電気のコンロの普及など、生活環境の著しい変化により実用面は縮小するものの、夏場を中心に涼をとる生活の道具、花火大会など日本の風情を楽しむおしゃれの小道具、炊事の道具、広告の媒体としての利用は今も盛んである。

団扇と扇子の違い…普通は外見の違いで区別できる。この二つは中世のように団扇は僧侶、文人、隠遁者に、扇子は公家・貴族を中心に使われた時代もあるが、扇(扇子)がどちらかといえば儀礼の具として用いられる場合が多いのに対して、団扇は身分の別なく、夏の季節に気随に使われる品であった

 

水うちわとは、

水うちわとは、うちわの骨(竹)に、雁皮紙(がんぴし)という非常に薄い紙を貼り、専用のニスを塗って仕上げてあるのが大きな特徴です。ニスを塗る事により、透明感が出て、涼しげなうちわに仕上がります。

見た目が透けているのと、昔は水につけて気化熱で涼むという方法で涼をとったこと から、「水うちわ」と呼ばれているという説や、透明な水のよう、、というところからその名がついた、、という説もありますが、いずれも、美濃の手漉き和紙、そして豊富な竹林、長良川の鵜飼を始めとした岐阜ならではの「川文化」から生まれたものです。http://www.iedashikou.com/utiwa.html

  

エドゥアール・マネ(1832-83)の「団扇と婦人(ニナ・ド・カリアスの肖像)」。

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ここで目に付くのは、背景の壁面一杯に散らされた団扇である。日本では、このように壁面を装飾する習慣はない。では、この影響はどこからか。おそらく、団扇や扇を散らした屏風からであろう。団扇や扇をテーマとする屏風は比較的新しく、俵屋宗達琳派の屏風などの影響が考えられる。http://www.iedashikou.com/monet-renoir/02-1/index.html

 

井上奈奈(現代アーティスト)の作品

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http://ameblo.jp/maemukiniiko2nd/entry-11315022761.html

 

ワイルドさんのブログ記事 「エコの風 - うちわ展No.3」より

暗闇の中を飛ぶ一羽の鳥。

奈奈さんらしく、「うちわ」に穴が開けられていて、発想が“単純”ではありません。

奈々さんは表裏を使って、時空、つまり時間と距離を表しているのではないかと思いました。

鳥が飛んで行く道筋は簡単ではなく、時間も距離もあり、困難があるということを。

http://ameblo.jp/maemukiniiko2nd/entry-11315022761.html

 穴のあいた団扇、遊び心がありますね。鳥は穴から生れてきたのでしょうか。