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気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

グローバルなコミュニティーの責任ある一員となる(5) SDGs 合意形成のプロセス

私たち

国連サミットは、2015年9月25日、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択した(この中に一連の持続可能な発展目標(SDGs)が含まれる)。この持続可能な発展目標(SDGs)は、どのようにして合意に至ったのか。…これは、物事を決める手続きを考える上で、参考になる。

 

ポスト2015 年開発アジェンダの策定に向けたプロセス

以下は、古沢・小林「SDGsの最新動向・今後のプロセス・課題」による。

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http://geforum.net/wp-content/uploads/2015/07/SDGs%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88201503.pdf

 

  1. 2012年6月 国連持続可能な開発会議(リオ+20)[成果文書:私たちの望む未来(The Future We Want)]で、2015年以降の目標(持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)/ポスト2015年開発アジェンダ、以下SDGs)を策定することが正式に決定された。…これは、極度の貧困と飢餓の撲滅等の目標を掲げたミレニアム開発目標Millennium Development Goals、以下MDGs)が2015年に期限を迎えることに伴うものである。
  2. 2013年3月~2014年7月 SDGs策定に向け、国連の下にオープンワーキンググループ(Open Working Group、以下OWGが設置され、2013年3月~2014年7月まで計13回にわたってその目標案に関する検討が行われ、OWGの報告書が取りまとめられた。
  3. 2014年12月 OWGの報告書はその他のインプットと併せ、事務総長による統合報告書が発表された。
  4. 2015年1月~2015年9月 政府間交渉
  5. 2015年9月 採択
  • ミレニアム開発目標MDGs)は、8大目標(ゴール)、21の個別目標(ターゲット)、60の指標から構成されており、途上国の貧困問題等を解決することが最大の目的であった。しかし、急速なグローバル化が進む中で、貧困・格差・環境問題が途上国に限定されない・より広範な人類共通の問題となってきたことで、リオ+20でSDGsが提起された。
  • OWGでの交渉は、2段階に分けて実施され、第1段階(第1回~第8回)は、国連加盟国、専門家、他のステークホルダーから意見を集めるストックテーキングに焦点が充てられ、第2段階(第9回~第13回)は、SDGsの提案を含むOWG報告書の作成を行った。
  • OWG報告書…SDGsは、17の目標(Goal)と169のターゲットで構成されており、環境や開発だけに限らず、実施手段や参加等のガバナンスに係る項目も含まれている。各国は、採択された目標について、国連サミットで採択されたSDGsをベースに、国別のターゲットを設定し、経済、社会、環境の3側面を統合することとしている。
  • 国連事務総長によるポスト2015年開発アジェンダに関する統合報告書…2015年1月から開始される政府間交渉へのインプットとして国連総会決議を経て、公表された。報告書は以下6つの要素を示し、SDGsの実施に係る方向性を整理すると共に、SDGsの実施に向けた基本的枠組みを提供している

(a)尊厳:貧困根絶と格差是正

(b)人々:健康な生活と知識、及び、女性と子どもの包括

(c)繁栄:力強く包括的で変革的な経済の成長

(d)地球:すべての社会と子孫たちのための生態系の保全

(e)公正:安全で平和な社会と強力な組織・制度の促進

(f)パートナーシップ:持続可能な開発のためのグローバルな団結の促進

 

この記述から判断すると、SDGs案作成にあたっては、国連オープンワーキンググループ(OWG)が、主導的な役割を果たしたようだ。では、OWGはどのようなメンバーで構成されたのか。

藤生将治「ポスト2015年開発目標策定の背景とその主な動向」によると、

SDGsについて各国の間で議論を行うべく、SDGsに関するオープンワーキンググループ(OWG)が立ち上げられることとなった。しかし、30名のメンバーをどのように選出するかということがまず議論され、当初、合意文書で想定されていた第67回国連総会冒頭(2012年9月)から半年遅れの2013年3月に議論が開始されることとなった。 OWGのメンバー構成は、当初、国連における5つの地域区分(アジア、アフリカ、東ヨーロッパ、ラテンアメリカカリブ海、西ヨーロッパ・その他)に基づいて、均等に配分されることが想定されていたが、アフリカ、アジア地域の国の数が多いことから単に地域ごとに等分したのでは不公平であるとの指摘があり、結果として両地域には7議席がそれぞれ割り当てられることとなった。その後、アジア地域においては、我が国を含む21か国がOWGへの参加を立候補したため、調整が困難となり、3か国で1議席をシェアするという方式が採用されている

http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2014pdf/20140602077.pdf

 

何らかの意思決定をめざす組織(会議、委員会、審議会、作業部会等名称を問わない)のメンバーをいかに選出するかは常に問題である。理念として「公平さ」を掲げても、OWGの例に見るように、単純な等分では公平とは言い難く、「公平」とは具体的にどういうことを言うのかという議論になり、調整が困難となる。そもそも5つの地域に区分することが公平といえるのかどうか。1つのイスをめぐって「3か国でシェアする」という方式が公平なのかどうか。(こういう問題については、未だ不勉強なので、態度保留としておきたい)

いずれにせよ、OWGの30名のメンバーが、SDGsの骨格を作ったと言えるだろう。ここでの作業のやり方として、まず「国連加盟国、専門家、他のステークホルダーから意見を集めるストックテーキングに焦点があてられた」とあるが、「専門家や利害関係者の意見を収集した」という意味だろう。一見当たり前のようにも思えるがそうではないだろう。30名も集まれば、その意見集約はかなり大変のように思われるが、更に外部の意見を聞こうというのである。しかし、そういう手続きを踏んでこそ、WGが勝手に決めたという批判に対抗できるだろう。

しかし、一般論として言えば、こういう手続きを踏んでも問題は残る。専門家や利害関係者が、どういう立場の人かという問題である。偏見を持った人であれば、そういう人の意見を聞くことで弊害が生ずる(議論が拡散したり、些細な部分に焦点があてられたり、歪んだ方向にいったりする)。

OWGは、その後報告書を作成した。中心メンバーの誰かが原案を作成し、それを議論して作成されたものであろう。ここで、17分野169項目の目標が設定された。

 

国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所は、次のように言っている。

http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda.html

UNDPと国連開発グループ(UNDG)は過去3年にわたり、これまでにないグローバルな対話を促してきました。これによって、政府のあらゆるレベル、社会的弱者層や女性、若者、障害者、民間セクターなど、幅広いステークホルダーとのつながりができ上がりました。

数字で見るグローバルな対話:

  •  730万人がマイワールド(MY World)調査を通じ、将来に向けた優先課題の順位付けをしました
  •  約100か国で、「私たちが望む世界」に関する国内協議が行われました。
  •  「私たちが望む世界」のウェブサイトでは、11のテーマ別グローバル協議が行われました。
  •  「私たちが望む世界」のウェブサイトへのページ閲覧は400万件、1か月当たりの訪問者数は7000人を超えています。
  •  6回にわたる実施手段に関する協議には、3万人以上が参加しました。
  •  革新的かつ実証的なガバナンス目標が5か国で試験導入され、災害リスク削減に関する試験目標も5か国で導入されています。
  •  プロジェクトの「人々の声」データ採掘ツールでは、100万件を超える定性的意見の集計が行われています。

「100万人の声」と「ポスト2015開発アジェンダの推進」という、グローバルな対話から得られた結果をまとめた2つの報告書には、重要なメッセージが明確に示されています。それは、人々がこの新たなアジェンダ推進に貢献するとともに政府や企業にその約束実現の責任を問うことを望んでいる、ということです。能力とパートナーシップの強化だけでなく、参加や包摂の重要性も強調されています。

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POST2015プロジェクト http://www.post2015.jp/event.html 

 

国際連合広報センターは、「グローバルな対話」について、次のように言っている。

http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/global_action/poverty/

国連開発グループは、包摂的でグローバルな対話を促すため、国内の協議、世界的な協議、テーマ別の協議の調整を行っています。国連はこれまで、各国の省庁や企業、市民社会団体を含む多数のステークホルダーとのパートナーシップによる100回を超える協議を支援していますが、このような協議は今後も予定されています。全世界の市民社会団体が、ポスト2015プロセスに引き続き関与する一方で、学界その他、シンクタンクを含む研究機関も、特に積極的な活動を続けています。

よりより世界の実現に向けた国連のグローバルな調査「My World」を通じ、すでに数百万人が、自分の生活に最も大きく影響する6つの開発課題について票を投じていますが、投票者の数はさらに増え続けています。「My World」調査を補完するオンライン・プラットフォーム「私たちが望む世界」では、ポスト2015開発プロセスに関し、市民がさらに幅広い協議に参加しています

世界の平和と安全を希求し、民主主義を論ずる者は、上記のような現実の動きをしっかりと把握し、発言したいものである。

 

2030年、尊厳への道: 貧困を終わらせ、全ての人々の生活を変革し、地球を守る

――国連事務総長によるポスト2015年開発アジェンダに関する統合報告書―― 

http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/upload/5541/attach/UNSG's_Synthesis_Report_JP_IGES_translated_final.pdf

は、全文読む価値のある文書である。

ほんの一部だけ、引用しよう。

  1. 我々には、新しい技術により、より持続可能な取り組みや効率的な実践がどのようにして実現するのかがわかる。公共部門の歳入は、税制改革、脱税の防止、不平等の是正、収賄との闘いによって大幅に歳入を増やせることを知っている。持続可能な開発には、膨大な量の未利用資源や廃棄資源を向けられることを知っている。先進的な企業が持続可能な開発に向けたビジネスモデルの変革を牽引する一方で、民間部門による倫理主導型投資の可能性については表面的な議論が始まったばかりだということを知っている。正しい動機と政策、規制、モニタリングがあれば、素晴らしい機会はあふれている。データ革命が広がり、現在地と目的地をこれまで以上にはっきりと知ること、すべての人を確実に考慮に入れることが可能だということを知っている。世界中の創造的なイニシアティブにより、持続可能な生産と消費のための再現可能な新たなモデルの開発が進んでいることを知っている。国家レベル、国際レベルのガバナンスを21世紀の現実に即したより効率的なものに改革できることを知っている。そして、今日の世界が初めて真にグローバル化が進み、相互に結びつき、高度に結集した市民社会を擁し、この市民社会が変化と変革に参加し、連帯管理責任を担い、そして強力な原動力となる用意と能力を備えることを知っている。
  1. この討論に情報を提供する多くの声が上がり、幅広いステークホルダーから貴重な意見を得られた。

(b) ポスト2015年開発アジェンダに関する事務総長有識者ハイレベル・パネルのリーダーたちは、次の5つの誰も置き去りにしない「大変革」を呼びかけた。1)極度の貧困に終止符を打つ、2)持続可能な開発を中心に据える、3)ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と包摂的な成長に向けて経済を変容させる、4)平和な社会と開かれた透明性の高い責任あるガバナンスを構築する、5)持続可能な開発に向けた新たなグローバル・パートナーシップを作り上げる。

(c) 持続可能な開発ソリューション・ネットワークを通じて招集された学者や科学者たちは、持続可能な開発の4つの相互依存する側面(経済、社会、環境、ガバナンス)を統合した、科学に基づく、行動志向のアジェンダの採択を提言した。

(d) ポスト2015年アジェンダにおいて企業が果たしうる主な役割が、「国連グローバル・コンパクト」の報告書に抜粋された。企業は内部から市場に変革をもたらし、生産と消費、資本配分をより包摂的で持続可能なものにすることで、ビジネスのやり方や貢献の仕方を変える準備ができている。

(h) 地球の持続可能性に関するハイレベル・パネルのメンバーは、次世代のために、人間の福祉を向上し、世界正義を促し、ジェンダーの公平を強化し、地球の生命維持システムを守る持続可能な道を提言した。

  1. こうしたあらゆる貢献や道標で、普遍的なアジェンダを持たなければならないという共通の理解が生まれた。人類は、共通する世界的な課題に直面している。今日の問題は国境を越えたものである最も裕福な国においてさえ、貧困と排斥は存在する普遍性とは、すべての国が独自のやり方で、世界共通の利益という意識のもとに変化する必要があることを意味する。普遍性は人権の核をなす性質、世代を超えた正義であり、共通の未来のための責任の共有というテーマについて考えさせるものだ。政策の首尾一貫性も要求される。普遍性は、国連憲章の精神において、持続可能な開発のための新たなグローバル・パートナーシップを具体化するものである。

 

私は、「国」を、ローカルなコミュニティであると位置づけて、物事を考えたいと思っている。