小田嶋隆が、日経BPに、こんな記事を書いている。(2015/11/20)
そうした対症療法とは別に、テロリズム発生の根本原因を除去するためには、原因となっている民族間の緊張や、経済格差や、歴史的な怨恨や、宗教的な摩擦を、根気よく緩和して行かなければならない。そのためには、粘り強い対話と、政治家や宗教関係者、文化人、芸術家、あるいは経済界の人間を含んだ幅広い人々の交流を推進することが望ましい。ということはつまり、短期的な対策と、長期的な取り組みが正反対に食い違っているわけで、対テロ対策に従事する人間は、この二つの矛盾した施策を、同時並行的に実行しつつ、双方の施策にほころびが出ないように努めなければならないことになる.
私が、あえてこんな青くさい理想論を陳列してみせたのは、血なまぐさいテロ事件のようなことが起こると、本来われわれが平常時に心にとめている建前上の理念が忘れられてしまいがちで、そのこと(きれいごとが力を失うこと)が、結局は、国際社会を険悪な場所に変貌させる最も根本的な原因だと考えたからだ。
血なまぐさい事件が起こると、血に酔ったようになる人間が大量に発生する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/111900020/?P=1
小田嶋は、短期と長期の対策が矛盾していると言っているが、私は矛盾しないのではないかと考えている。短期の対策を「空爆」とするなら矛盾するかもしれない。しかし、短期の対策を「警察力の行使」とすれば、「国際刑事警察機構(インターポール)」が取り組めば良いのであり、矛盾すると考える必要はないと考える。殺人犯を捜索・逮捕すれば良い。現状インターポールに問題あれば、機構改革すれば良いのである。
小田嶋は「青くさい理想論」と言っているが、私はそうではないと思う。至極まっとうな現実的な提案である。「政治家や宗教関係者、文化人、芸術家、あるいは経済界」の見識が問われている。
小田嶋が言うように、「血なまぐさい事件が起こると、血に酔ったようになる人間が大量に発生する」。こちらの対策が難しい。「民衆」のみならず、「血に酔ったようになる政治家」が大量発生する。
小田嶋はこう書いている。
9.11のテロ事件の10日後、アメリカのテレビの4大ネットワークが、「A Tribute to Heroes」というチャリティー目的の音楽番組を流した。その番組の中で、ニール・ヤングが、当時、事実上の放送自粛状態(アメリカ中のテレビ局やラジオ局が自主的に放送を自粛していたと言われている)にあった、ジョン・レノンの Imagine を歌った。私は、イマジンのような歌が放送できなくなっているアメリカの空気のあまりにも急激な変貌ぶりに驚いていたのだが、そういう空気の中で、平然と「イマジン」を歌ってみせた、ニール・ヤングの空気を読まない偏屈ぶりにあらためて強い共感を抱いたことを覚えている。
「国境なんてないと思ってごらん。宗教なんてないと思ってごらん」という、「イマジン」のなんともお花畑な歌詞は、国家のために団結している彼らの心情に水を差す、どうにも不愉快かつ不謹慎な言葉に聞こえたはずだ。
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http://eylyricsdiary.blogspot.com/2012/03/imagine.html