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気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

生きる希望 ユニクロ:難民雇用100人に拡大へ 国連と協力

パリ同時多発テロに関して、小田嶋隆は、「原因となっている民族間の緊張や、経済格差や、歴史的な怨恨や、宗教的な摩擦を、根気よく緩和して行かなければならない。そのためには、粘り強い対話と、政治家や宗教関係者、文化人、芸術家、あるいは経済界の人間を含んだ幅広い人々の交流を推進することが望ましい。」と言い、これを「青臭い理想論」と言っていた。

それに対して、私は「青臭い理想論」ではなく、「至極まっとうな現実的な提案であり、政治家や宗教関係者、文化人、芸術家、あるいは経済界の見識が問われている」と書いた。(一昨日の記事<パリ同時多発テロ お花畑>参照)

 

今日の新聞各紙は、ユニクロが、国連と協力して、難民雇用を100人に拡大すると報じていた。

ファーストリテイリング国連難民高等弁務官事務所(以下、UNHCR)が、両者間のグローバル・パートナーシップを強化する新たな合意書を締結した(2015/11/25)というニュースである。

ファーストリテイリングhttp://www.uniqlo.com/jp/corp/pressrelease/2015/11/2015112514_csr.html

国連http://www.unhcr.or.jp/html/2015-11-25_press%20release(Japanese).pdf

(内容は同じです)

 

ファーストリテイリングは、以前よりUNHCRと連携し、衣料支援や緊急支援、自立支援を行ってきたが、今回新たに実施する、難民支援の取り組みは、次の通りである。

  1. 3年間で総額1,000万ドル(約12億円)の支援を実施
  2. 国内外のユニクロ店舗で難民雇用を100名に拡大
  3. バルカン半島諸国、アフガニスタンに越冬支援として、ヒートテック15万点を寄贈

【株式会社ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長 柳井 正のコメント】

私は、難民問題は世界で最も深刻な問題だと考えています。子どもたちをはじめ、多くの人々の生存権が脅かされていることが一番の問題であり、これにどう向き合うべきかが私たちに問われています。持続可能で平和な世界を希求してやまないファーストリテイリングは、UNHCRとの支援活動により、ひとりでも多くの難民に必要な服と生きる希望を届け続けたいと考えています。

国連難民高等弁務官 アントニオ・グテーレスのコメント】

現在、世界で6,000万近い人々が家を追われています。これは日本の人口の約半分に相当する数です。そのうち2,000万人が難民です。かつてない状況にあって、全てを失い、安全に暮らし、未来を築こうとする数百万にもおよぶ難民の家族を救うために、民間セクターによる支援がかつてなく求められています資金援助だけでなく、従業員や取引先企業、お客様の力を結集して難民支援に取り組むファーストリテイリングに対し心より感謝いたします。

ファーストリテイリングの行動を「安い労働力確保」とか言って非難する人もいるようだが、そのような人は、上記の柳井のコメントをどう聞くのだろうか。安いか・安くないか、どういう判定基準を持っているのか。難民の気持ちを考えているのだろうか。UNHCRのコメントも否定するのだろうか。下記に紹介するような「障害者雇用」についても、「安い労働力確保」と言って非難するのであろうか。

 

国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標17は、次のようなものであった。(<グローバルなコミュニティーの責任ある一員となる(4)誰も置き去りにしない - 持続可能な開発目標(SDGs)>参照)

目標17:目標達成に向けたパートナーシップ

持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

もう一度、言っておこう。「政治家や宗教関係者、文化人、芸術家、あるいは経済界の見識が問われている」のである。もちろん、かく言う私を含めたすべての者が、グローバルなコミュニティーの責任ある一員たらんとするすべての者が、その見識を問われているのである。「グローバルなコミュニティーの責任ある一員」などになりたくないという人がいるとすれば、その人は「エゴイスト」と呼ばれても仕方あるまい。

 

このファーストリテイリングのニュースを読み、企業の「障害者雇用」が連想されたのでふれておこう。

民間企業は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、その雇用する労働者に占める身体障害者知的障害者の割合が一定率(法定雇用率2%、平成25年4月1日以降)以上 になるよう義務づけられている。

東洋経済は、毎年9月に「障害者雇用率ランキング」を公表しているので、上位50社のリストを転載しておく。

http://toyokeizai.net/articles/-/85842

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障害者が自分の収入で生活できるようにすることは社会としても大きなメリットがある。そのため国は障害者の活躍の場を提供することを企業にも求めている。先進的企業では障害者の特性を生かした雇用を試行錯誤しながら進め成果を上げはじめている。こうした企業は障害者以外の多様性にも前向きで、結果的に競争力が高まる可能性も高い。

一方でこれまでと同じように低い雇用率で法定に足りない分は「障害者雇用納付金を納めればよい」という考えでは多様な職場は生まれにくい。障害者雇用を真剣に取り組むことは単に法律を守るだけでなく、「ダイバーシティを進めるために欠かせない」という視点も忘れてはならない。

ダイバーシティとは何か。

ダイバーシティ(diversity)とは「多様性」の意味である。現在、多くの企業が多様性問題の啓蒙活動や、多様性の推進に取り組んでいる。

比較文化学者によると「日本は同質を重んじる文化」であるという。現に日本社会で働く米国人は、日本語の「違う」という言葉は、different(異なる)の意味とwrong(正しくない)の両方の意味があり、すなわち「異なるのは悪いことだ」という価値観が根底にあると主張する。とすれば、種々雑多なものを受け入れるというダイバーシティを、日本人が真に理解、賛同し、推進するのは簡単ではないといえよう。

http://www.peoplefocus.co.jp/OD/divercity2.html

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http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20101124/217245/?SS=nboimgview&FD=1156029679

エフピコ愛パックのエフピコハートリサイクル福山選別センターでは、知的障害のある社員が使用済みトレーを人海戦術で選別している(撮影:高嶋健夫)