浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

柳絮の才

言葉(1)

柳絮は、「りゅうじょ」と読みます。これを読めた人は、きっと意味もわかっているのでしょうね。

柳絮とは、「白い綿毛のついた柳の種子。また、それが春に飛び漂うこと」(デジタル大辞泉)です。

動画を見ていただくのが手っ取り早いですね。


北本自然観察公園 柳絮( りゅうじょ)

 

(じょ)とは、「わた。真綿(まわた)。また,草木の種子についているわた毛」(大辞林)のことです。

というと、枝垂柳(しだれやなぎ)が思い浮かびますが、絮(じょ)が飛び漂うのは違う種類の柳のようです。上の動画では、立柳(タチヤナギ)が漂うと言っていますが、川柳(カワヤナギ)の種子も飛び漂うのではないでしょうか。

立柳と川柳の違いとは?

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http://pds.exblog.jp/pds/1/201104/20/48/c0008948_14115760.jpg

雄花序を弓なりしてオバケのQ太郎風に頭のてっぺんに毛(オシベ)が3本ならタチヤナギ、波平お父さん(サザエさん)の様に大事な1本しかないのはカワヤナギ、2本はコゴメヤナギ、だそうです。

http://takigoyama.exblog.jp/16209719/

 

検索すると、柳絮の写真がいっぱい出てきます。次の写真はなかなか良いですね。

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http://backyardbeekeeper.blogspot.jp/2010/06/blog-post_02.html

 

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http://sobagonomi.blog.fc2.com/blog-entry-516.html

 

こんな故事があります。

晋の時代、謝安が急に降り始めた雪を見て、この雪は何に似ているかと聞いたところ、甥の謝朗は「空中に塩を蒔いたようだ」と言い、姪の謝道韞は「白い綿毛のついた柳の種子が風に舞い散るのには及ばない」と答えた。謝安は姪のことばに感心し、「柳絮の才高し」と言ったという。

http://kotowaza-allguide.com/ri/ryuujyonosai.html

 これをもって、柳絮の才とは、非凡な才女のたとえ。女性のすぐれた文才を褒めるときに言う言葉になったようですが、私は、この話を聞いて、謝道韞が気の利いたことを言ったというよりも、謝安の問いに感心した。普通の人は、雪が降るのを見て「この雪は何に似ているか」と問うことはしないでしょう。この問いは、実利的な問いでも、思弁的な問いでも、科学的な問いでもない。謝安とは何者か?

中国、東晋(とうしん)中期の政治家。字(あざな)は安石。陳郡陽夏(河南省)の名族出身。初め会稽(かいけい)(浙江(せっこう)省)の荘園で王羲之(おうぎし)らと悠々自適して40歳で出仕、尚書僕射(しょうしょぼくや)、司徒(しと)、太保(たいほ)を歴任した。度量が広く洞察力に富み、長期的展望のもとに国家秩序の樹立に努め、計略で軍閥桓温(かんおん)の簒奪(さんだつ)を阻むとともに甥の謝玄を用いて前秦(ぜんしん)符堅(ふけん)の大軍を水(ひすい)の戦いで撃退するなど、東晋王朝をもり立てた。また音楽、行書、清談に優れた文化界の領袖で、高踏的気風と相まって「風流宰相」と慕われ、後世においても大臣の模範とされた。[安田二郎](日本大百科全書

ふーむ。やはりね。度量が広く、洞察力に富み、かつ「風流」である。得難い人物ですね。