気の向くままに

形而上学・倫理学・法哲学・社会学・自然学・美学・その他諸々について書いてみたい幼稚園児のブログです。まあ、しかし焦らずにゆっくりと、気の向くままにいきましょう。

ウィキリークス(2) ジュリアン・アサンジという男 ハニートラップ?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(14) 

前回、ウィキリークスとは「不正に関する情報を公開するウェブサイト」とするのが、最も簡潔な定義だとした。もっと端的に言えば、「不正告発サイト」となろう。

 

世間の賞賛と批判を同時に浴びながら躍進してきたウィキリークスであるが、組織の顔ともいうべきアサンジは2010年11月、スウェーデンにおいてセックスに関する犯罪の容疑を受け、当局の要請で国際刑事警察機構を通して指名手配を受けた。その後12月にはイギリス当局にアサンジが自ら出頭し逮捕されるという事件が生じた。この事件に関しては、様々な観点からの問題が指摘されており、そもそもこうした容疑そのものが不当であるとの意見も多い。いずれにせよ度重なる裁判の結果、アサンジを容疑がかけられたスウェーデンに移送することが決定された。その後2012年6月19日、ロンドンのエクアドル大使館にアサンジは亡命を申請し、本書執筆時点ではエクアドル政府が受入をしている間、彼は同大使館に滞在中である。

事実関係がどうだったかを明らかにすることは難しい。いくつかの記事を読んでみたが、よくわからない。

今回は、以下の記事を備忘録としておこう。なお、ジュリアン・アサンジは1971年7月3日生まれなので、現在46歳である(逮捕されたのは、39歳)。

 

漫画で解説 ジュリアン・アサンジってどんな人?の巻 (2012/9/19)

mainichi.jp

逮捕理由は、ウィキリークスは関係しておらず、避妊具を付けたか否かのもめ事のようです。スウェーデンでは女性の意に反して避妊具を付けないと性的虐待になる場合もあるのです。最初の女性は米中央情報局(CIA)のハニートラップという説もあるのです。つまりアサンジ容疑者の口をふさぐために米国が画策したという説です。

ニートラップ説はどうかと思うが、可能性ゼロでもないと思わせるところがある*1

 

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ハッカーの系譜⑥ ジュリアン・アサンジ  (2016/5/31)

the01.jp

牧野武文のこの記事はおすすめです。次のような文章から始まっています。

ウィキリークスから子どもたちへーーサンタクロースはいない。枕元のプレゼントは、君のお父さんがアマゾンで買ったものだ

ウィキリークスにまつわる最も有名なジョークだが、この一行が、世間がウィキリークスジュリアン・アサンジをどう受け止めているかをよく表している。確かにウィキリークスが暴露している内容は本当のことだろう。口にしてはいけない本当のこともたくさんあるのだ。戦争の真実、国家間の諜報活動の真実、企業間の汚い裏取引。そのようなものは知らない方が、幸せな日常を送れるかもしれない。しかし、幸せであれば知らなくていいのだろうか。不幸せになったとしても、知らなければならないことは知らなければならいのではないだろうか。

ウィキリークスの衝撃は、この哲学的な問題を、地球上すべての人に投げかけている。アサンジの考え方は徹底している。真実は知るべきなのだ。それで不幸な結果を招いたとしても、それは私たち社会の真の結果であり、隠蔽、欺瞞の上に成り立った幸福は、真の幸福ではないのだ。真の幸福に到達する道はただひとつ。極限までの透明性を実現する以外はない。

そのため、保守派の人からは、アサンジは無邪気で悪質な不良少年に見える。後先も考えず、言ってはならないことを声高に叫び、その結果、多くの人が傷つこうとも、冷たく嘲り笑うだけの、情報テロリストにしか見えない。一方で、アサンジを熱狂的に支持する人もいる。国家機密を盾に、その裏で腐敗する権力者たちに憤りをもっている市民たちだ。いったんすべてを公開し、この世の隅々まで秘密にサーチライトをあて、すべてを陽にさらすことで、理想的な社会が訪れる。アサンジは、孤軍奮闘しながらその仕事を進めているヒーローなのだと。

「サンタクロースはいない」と言うべきなのか。真実を明らかにすることが、常に正しいことなのか。それは言ってはならないことではないのか。この問いは、誰が言っていようと検討に値する。それはこの場合には、結局「機密情報」をどう考えるか、というところに帰着するのではないかと思う。

 

アサンジ氏拘束は「恣意的」、国連人権機関が判断 (2016/2/5)

www.afpbb.com

国連人権理事会・恣意的拘禁に関する作業部会(United Nations Working Group on Arbitrary Detention)は5日[2016/2/5]、内部告発サイト「ウィキリークス」の創始者ジュリアン・アサンジ容疑者がスウェーデンと英国に恣意的に拘束されたと認定し、両国に賠償を勧告する判断を下した。同作業部会は、「ウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジ氏は、2010年12月7日にロンドンで逮捕されて以降、スウェーデンと英国により恣意的に拘束された」と述べた。人権に関する独立系の専門家5人によって構成される同作業部会はさらに、アサンジ容疑者の拘束は「終わりにしなければならない」と述べ、「(アサンジ氏の)自己決定権と移動の自由は尊重されなければならず、同氏には賠償を求めることのできる拘束力のある権利が与えられるべきだ」とした。

コンドームをつけなかった罪」によって、大使館に逃げ込み、そこから一歩も出られない状況をどう評価するか。

 

アサンジ氏、逮捕状撤回も開けぬ未来 (2017/5/20)

rp.kddi-research.jp

これまで、逮捕されスウェーデンに移送されれば、その後、膨大な機密書類を暴露された米国が、様々な容疑で引き渡しを求めるのは、当然のように見なされてきましたが、スウェーデンが逮捕による彼の身柄引き渡し断念したことで、米国が直接、英国に引き渡しを求める可能性が高まります。…万一、アサンジ氏が米国に移送され、訴追されたとしても、WikiLeaksが機密文書を公開したことと、NYタイムズワシントンポストなどが、今現在もリーク文書に基づく報道を行なっているのと、どう区別するのかという「報道の自由」をベースにした難問があります。

「リーク文書に基づく報道」(調査報道)については、いずれ近いうちにとりあげよう。

 

PJハーヴェイブライアン・イーノら、ジュリアン・アサンジを支援するイベントに出演へ (2017/4/27)

nme-jp.com

「ファースト・ゼイ・ケイム・フォー・アサンジ(彼らが最初アサンジを攻撃したとき)」と題されたイベントは、ジュリアン・アサンジエクアドル大使館に逃げ込んでから丸4年となる6月19日から開催され、アテネベオグラード、ベルリン、ブリュッセルブエノスアイレスマドリードミラノモンテビデオナポリ、ニューヨーク、キト、パリ、サラエヴォで順次開催される。イベントに登壇する演説者としては他に、映画監督のマイケル・ムーア、美術家の艾未未アイ・ウェイウェイ)、言語学者のノーム・チョムスキーヴィヴィアン・ウェストウッド、映画監督のケン・ローチ、フランスの音楽家のジャン・ミッシェル・ジャール、スノヴェニアのバンドであるライバッハらが登壇するという。

「『ファースト・ゼイ・ケイム・フォー・アサンジ』というイベントは、ナチスが台頭してきたドイツにおいて、特定の人々や団体を次々と追放してきた知識階級の卑劣な行為に対して一矢報いたマルティン・ニーメラーの詩にインスパイア[啓発]されています。我々が伝えたいのは、政治や財政的な権力のもとにさらされている我々の誰もが彼らのターゲットになりかねないという、危険な時代を生きているという事実です」と、「ファースト・ゼイ・ケイム・フォー・アサンジ」はウェブサイト上に声明を出している。

上に名前が出ている艾未未アイ・ウェイウェイ)の作品をみておこう。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%89%BE%E6%9C%AA%E6%9C%AA#/media/File:Sunflower_seeds._Ai_Weiwei._TateMo_2011.jpg

2011年にロンドンのテート・モダンで発表した『ひまわりの種』。景徳鎮で1600人の陶工により制作された陶磁器製の種は、大量消費、最新の企業に押される伝統的な工業にかかわる人々、飢饉の非常食、一斉に太陽の方を向く花などを想起させる。(wikipedia)

*1:「例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのテープは自動的に消滅する。成功を祈る」(スパイ大作戦、原題: Mission  Impossible)。前回記事の「CIAによるハッキング関係機密文書の公開」についても参照。