浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

人間に関わるなにごとも、私にとって無縁ではない

川本隆史『現代倫理学の冒険』(1) 川本の「人間に関わるなにごとも、私にとって無縁ではない」という言葉に、私は社会科学者の良心をみた思いがする。川本はこう述べている。 「人間に関わるなにごとも、私にとって無縁ではない」との姿勢を崩さずに、し…

風土の樹液  マーク・トビー(Mark Tobey)

大岡信『抽象絵画への招待』(11) マーク・トビー(1890-1976)とは、20世紀西洋人名事典によれば, 米国の画家。元・コーニッシュ・スクール教授。ウィスコンシン州センタービル生まれ。シカゴ・アート・インスティテュートなどで学び、コマーシャル美術…

「神の存在」という幻想(2) 神秘体験(宗教)は、精神疾患である?

ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(13) 神秘体験(スピリチュアル/宗教体験)は病気(精神疾患)なのかどうかに関して、ラマチャンドランは、神経科学者として興味深い議論をしている。 大脳辺縁系のなかを神経インパルスの衝撃が大量…

フレデリック・デラリュー(Frederic Delarue)

YYJT(5) YYJTというのは、既存のジャンルでは、イージーリスニングとかニューエイジですが、そういう分類にはあまりこだわりません。キーワードは、「優雅」、「安らか」、「上品」、「知的」です。それらが感じとれる曲であれば、YYJTとします。 今…

グローバルなコミュニティーの責任ある一員となる(5) SDGs 合意形成のプロセス

国連サミットは、2015年9月25日、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択した(この中に一連の持続可能な発展目標(SDGs)が含まれる)。この持続可能な発展目標(SDGs)は、どのようにして合意に至ったのか。…これは、物事を決める手続きを考え…

法とは何か(5) 法化-規制緩和-老後破産

平野・亀本・服部『法哲学』(5) 前回は、経済社会の変動とともに、第1に、市場メカニズム(自由競争)が正常に機能するために、国家が法を通じて経済秩序に介入しなければならなくなった。第2に、近代法の基本原理である「人格の対等性」を確保するため…

自分の言葉で評することの放棄 → 芸術批評という胡散臭い職業の成立

岡田暁生『音楽の聴き方』(3) 音楽を「する」「聴く」「語る」の分裂 岡田は、「芸術批評」と言う胡散臭い職業が、一体どういう経緯で生まれてきたのかについて書いている。 封建時代の芸術創作は顧客(王侯ならびに教会)による芸術家の丸抱えであったの…

公共的価値と社会国家(1) 「誰も置き去りにしない」ために

齊藤純一『公共性』(9) 公共的価値と社会国家 「ニーズ解釈の政治」は、その充足を権利として要求しうるニーズの定義をめぐって争われる。新しいニーズ解釈は、民主的な意思決定の手続きを経て、そのニーズがやがて新しい権利へと翻訳されることを求めて…

志向性(1) 痛みの感覚は、X を表象している

金杉武司『心の哲学入門』(8) 今回から、第3章「心の志向性」である。「志向性」とはなにか。それはなぜ「心」の基本的特徴といわれるのか。 最初に志向性とは何々であるという定義から入るより、例示からのほうが理解しやすい。 「雨が降っている」とい…

グローバルなコミュニティーの責任ある一員となる(4) 誰も置き去りにしない - 持続可能な開発目標(SDGs)

2015年9月29日のクローズアップ現代(NHK)は、「国連70年② "誰も置き去りにしない"世界を目指して」を放送した。http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3708.html 世界で激しさを増す過激組織の活動。今も止むことがない民族間などの対立。国連は、…

グローバルなコミュニティーの責任ある一員となる(3) シリア内戦と国連

前回までに述べてきたこと、言いたかったことは、概ね以下の通りである。 日本の安全保障を考えるということは、世界の平和と安全を考えることである。自国のみの平和と安全を考えれば良いというのは、国家エゴである。 世界の平和と安全を達成するのに必要…

グローバルなコミュニティーの責任ある一員となる(2) 誰のための、何のための戦いなのか?

難民キャンプにて www.youtube.com これは映画ではなく、「現実」である。自分が、この難民キャンプの食料を求める人たちの一人であるとしたら、どのように感じ、何を考えるだろうか。自分の子どもや親が、この難民キャンプの食料を求める人たちのなかにいる…

グローバルなコミュニティーの責任ある一員となる(1) 「国家の呪縛」と「シリア難民問題」

私は、時事問題を論ずるだけの勉強をしていないので控えているのだが、昨今の政治動向に無関心ではない証として、断片的ではあるがメモを残しておくことにしよう。 1.国家の呪縛 今般の安全保障関連法案の論議において、これを憲法問題、民主主義の問題、…