浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

演技

北川東子『ジンメル-生の形式』(13) 芸術と大衆 ベルリン、1912年。ウンターデンリンデン通りのオペラハウスでは「ドン・キホーテ」がかかっている。古典的だ。劇場前の垂れ幕が冬の冷たい風にあおられてひらめくなかを、人々が着飾って次々と馬車で劇…

土俗の記憶とその昇華 - 菅井汲、利根山光人

大岡信『抽象絵画への招待』(10) ジャクソン・ボロック(1912-56) 菅井汲(1919-96) 利根山光人(1921-94)

「神の存在」という幻想(1)

ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(12) ラマチャンドランは、局所発作(てんかんの発作)が大脳辺縁系に起こると、次のような症状になるという。 患者は、強い恍惚感から深い絶望、破滅のときが迫っているという気持ち、はては極度の怒…

法とは何か(4) 近代法から現代法へ マイクロソフトとアマゾン

平野・亀本・服部『法哲学』(4) 近代法の成立とその諸原理 近代法の限界と現代法の特質 Microsoftの独禁法訴訟 Amazonの労働環境 市場経済 自由競争 社会経済的弱者

彼岸花 & 彼岸花星雲

まず彼岸花に関する基礎知識から、 あちこちで、彼岸花が咲いています。毎年見事にお彼岸の頃に咲くので、この花はまさに「秋分の目印」といえるでしょう。彼岸花はなんとも不思議な植物で、葉が茂るのはなぜか冬の間だけ。春には葉を枯らして、夏の間は地下…

「ことば」を欠く者たちへの視線

齊藤純一『公共性』(8) 安保(戦争と平和)の現実と同様に、文末の参考1~3にあげたような現実もしっかりと把握しておくべきだろう。(彼らは「ことば」を欠く者たちではなかろうか)。安保を論ずる人たちは、この現実をどう論ずるのだろうか。 私たち…

クオリア(4) 説明のギャップ

金杉武司『心の哲学入門』(7) 「物的一元論」は誤りであるとする主張する議論に、「想定可能性論法」と「知識論法」があった。金森は、このいずれの論法も、論証としては不十分であると言っている。(私には、いずれの論法も、そしてそれが不十分であると…

存在の内の目立たない切片

北川東子『ジンメル-生の形式』(12) 創造的断片性 『哲学的文化』と名づけられた論集には、有名な「取っ手」をはじめとして、「冒険」や「廃墟」そして「流行」など、いかにもジンメル的な主題についての哲学的エッセーが収められている。雑多ともいえ…

富裕層はリベラルアーツを学ぶ(4) あなたは、どんな人ですか?

2015年9月9日、経団連は「国立大学改革に関する考え方」と題する声明を発表し、産業界は「即戦力を有する人材」ではなく、その対極にある人材を求めているとした。 IB(インターナショナル・バカロレア)が目指す学習者像。文科省の教育政策は、今後どうな…

風土と抽象 - アーシャル・ゴーキー (Arshile Gorky)

大岡信『抽象絵画への招待』(9) ゴーキー(1904-1948)について、藤枝晃雄は次のように述べている。 ウッチェロ、アングル、ピカソ、ミロ、カンディンスキー、ロベルト・マッタらの影響を受け、作風を転々と変えていったが、30年代の終わりになって自己の…

ラルフ・バッハ(Ralf Eugen Bartenbach)

YYJT(4) 私は、これらの曲を寝転がって聴いています。 今回は、Ralf Bach/Ralf Eugen Bartenbach です。(ヨハン・ゼバスティアン・バッハ Johann Sebastian Bachではありません。) YYJTとはちょっと違うかもしれませんが、そこは大目に…。 最初に聴い…

存在の耐えられない類似

ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(11) 今回は、第8章「存在の耐えられない類似」である。最後のほうに出てくる「人種差別」、「アイデンティティ」についての言及は興味深い。脳神経科学の無味乾燥な説明にとどまらないところが本書…

法とは何か(3) 悪法問題-「悪法」でも、法は守らなければならないのか?

平野・亀本・服部『法哲学』(3) 簡単に言えば、「法は守らなければならない」。…あるルールを定めるということは、守られることが当然の前提となっている。ルールを定めるが、「守らなくてもいいよ」などと言っては、ルールを定める意味がないだろう。実…

ピアノ演奏のあるボタニカルカフェ

岡田暁生『音楽の聴き方』(2) 最初に岡田の話を聞き、その後ちょっと余談になるかもしれませんが、私にとっては本論のサロン音楽についてふれましょう。 神の代理人としての音楽批評 19世紀における音楽の神聖化と不可分の関係にあったのが、ロマン派の…