2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧
私はこの「手記」を、「心情吐露」と「内情暴露」の書としてではなく、「問題提起」の書として受け止めるべきと思う。 第1に、なぜ「手記」の形になったかという点である。私はそれは「世の中のしくみ」がおかしいからだと思っている。現行法に則って、公的…
このような話題にはふれないのが賢明なのだろうが、素人は素人なりに考えたこと、感じたことをブログという形で書いても咎められないだろう。(なお、私はこの本を読んでいないので、ネット情報だけで、内容を想像しています) この手記は、一部の例外を除い…
岡田暁生『音楽の聴き方』(6) ベートーヴェン「ピアノソナタ第21番《ワルトシュタイン》」を聴いてみましょう。 www.youtube.com ジャズ・ピアニストの南博がこう書いているという。彼は音楽学校のピアノ科に通っていたのだが、 レッスンの先生は言う。こ…
UNDP『人間開発って何?』(1) 「人間開発」といってもピンとこないかもしれない。 人間開発とは、人々が各自の可能性を十全に開花させ、それぞれの必要と関心に応じて生産的かつ創造的な人生を開拓できるような環境を創出することです。(資料1:人…
齋藤純一『公共性』(14) 今回は「人間の安全保障」(Human Security)について、詳しくみていこうと思っていたのだが、別の記事で書くことにし、第4節の「社会的連帯の再生をめぐって」に進むことにする。 斎藤は、社会国家がこの20年ほどの間に(本書…
今回のテーマは、「かさねの色目」の一種である「雪の下」「氷重」「枯野」ですが、その前に「色目」についてふれておきましょう。 色目(いろめ)というと、「色目を使う」を連想される方が多いかと思いますが、それだけではありません。デジタル大辞泉によ…
吉成真由美『知の逆転』(2) 本書は、世界の叡智:ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソンに対する吉成のインタビュー集です。 第2回目は、ノーム・チョムスキ…
金杉武司『心の哲学入門』(12) 「志向性」の話は前回で終わり。残りは、第4章「心の合理性」と第5章「心の認識」である。第4章は、1.合理性と因果性、2.消去主義、3.解釈主義、4.不合理性の節に分かれている。今回は、第2節の「消去主義」から始めよ…
加藤尚武『現代倫理学入門』(4) 功利主義の問題点の話に入る前に「利己主義(エゴイズム)」の話をしておこう。「利己主義」とは、「自分の利益を最優先にし,他人や社会全般の利害など考えようとしない態度」(大辞林)である。このように書けば、ほとん…
大岡信『抽象絵画への招待』(15) 大岡は、ノヴァーリスの『断章』から、次の言葉を引用している。ノヴァーリス(Novalis, 1772-1801)は、「ドイツ・ロマン主義の詩人・小説家・思想家・鉱山技師。シュレーゲル兄弟らと並ぶ初期ロマン主義の中心人物であ…
ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(16) 西洋社会では、男性が性的にも美的にもブルネット(髪や皮膚や目の色が黒みがかった人)よりもブロンド(金髪碧眼(へきがん)で色白の人)を好むと広く信じられている(Alley and Hildebrandt,1…
平野・亀本・服部『法哲学』(8) 法システムの機能…どういう機能があるのか。1.社会統制機能、2.活動促進機能、3.紛争解決機能、4.資源配分機能。 裁判外紛争処理(ADR)とは、何だろうか。 法的思考の特徴は?
岡田暁生『音楽の聴き方』(5) 「わざ言語」とは、「特定の身体感覚を呼び覚ますことを目的とした特殊な比喩」(生田久美子)であった。例えば、「指先を目玉にしたら」とか「天から舞い降りる雪を受けるように」といった表現である。 岡田は、こんなジョ…
齋藤純一『公共性』(13) 問題は、社会がアクティブなものに変化するならば、彼女たちの社会的位置づけ、彼らに対する表象も大きく変化するということである。第1に、そうした人びとは、自己統治の能力を欠いた、あるいはその意欲のない人びととして表象…
吉成真由美『知の逆転』(1) 本書は、世界の叡智:ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソンに対する吉成のインタビュー集です。 吉成は「まえがき」で、こう言っ…