浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

水俣病(5) 今も世界中で《水俣》が繰り返されているのではないか?

明日(2016年5月1日)、水俣病の公式確認(1956年5月1日)から60年となります(水俣病の発生はそれ以前)。未だに、患者認定を求める人や裁判を起こしている人がいます。水俣病事件は解決済みの過去の事件とは言えないでしょう。 来る5月3日~5日に、東大…

「心とは何か?」という問い

金杉武司『心の哲学入門』(16) 今回で、金杉の『心の哲学入門』を終わります。前半を飛ばして、後半の「おわりに」のみを読んでいただいて結構です。 自己知と他者知 自分の心の状態についての知識を「自己知」と呼ぶ。…他人の心の状態についての知識を…

生命倫理学(1) 自己意識を持った存在?

加藤尚武『現代倫理学入門』(8) 生命倫理学では、人工妊娠中絶、安楽死、臓器移植などの問題を扱う。何が問われているのか。 「生きている」とはどういうことか。「植物人間」は人間なのか。「精神異常者」は人間なのか。胎児は人間なのか。奴隷は人間な…

芸術と時代(2) 永遠なるものへの衝動

大岡信『抽象絵画への招待』(19) 大岡は、大不況期の「連邦美術計画」や「国際シュルレアリスム展」について書いているが、これは省略する。 表現者を駆り立てるものは何か。(芸術家とは、他者が価値ありと認めた表現者に対する呼称である)。大岡はこ…

柳絮の才

言葉(1) 柳絮は、「りゅうじょ」と読みます。これを読めた人は、きっと意味もわかっているのでしょうね。 柳絮とは、「白い綿毛のついた柳の種子。また、それが春に飛び漂うこと」(デジタル大辞泉)です。 動画を見ていただくのが手っ取り早いですね。 …

気分を変えて こんな曲はいかが

1.Saint Privat - Poisson rouge 2.Flash De Amor - Pavel Panin 3.Federico Aubele – Corazon

人間の設計図

ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(20) 前回、進化論(ウルトラ・ダーウィニスト)に関連して、逆行分析(リバースエンジニアリング)という言葉が出てきた。リバースエンジニアリングとはどういうものか。 リバースエンジニアリングと…

法の射程と限界(4) 法は「自由」を脅かすものなのか?

平野・亀本・服部『法哲学』(12) 法の限界 法のそのつどの守備範囲は、①法の基本原理に照らして正当化されうるものか。②法の基本的特質――その内的構造や作動様式による制約――及び規制対象の性質から見て、法の規制になじむものか、と言う観点から絶えず…

水俣病(4) 官僚「山内豊徳」の死

1990年12月5日、水俣病裁判の国側の責任者として、和解拒否の弁明を続けていた環境庁企画調整局長(山内豊徳)が自殺した。53歳であった。 山内豊徳とは、 陸軍軍人であった山内豊麿の子として福岡市に生まれる。幼くして両親は離婚し、9歳の時に父は出征…

水俣病(3)  私たちは何処へ行くのか

2014年11月22日─30日、岐阜市民会館で、「水俣・岐阜展」(主催:水俣フォーラム)が開催されました。 その案内チラシに、以下のような写真がのっていました。 http://www.minamata-f.com/minamata-gifu_flyer.pdf 小柴一良の写真集「水俣1974-2013」中、次…

水俣病(2) 「人生」を失う

前回記事の最後の方で、 2009年7月:水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法(通称:水俣病救済特別措置法)が成立。その前文において「国及び熊本県が長期間にわたって適切な対応をなすことができず、水俣病の被害の拡大を防止できなかった…

水俣病(1) 普通に魚を食べて、手足が麻痺し、脳が蝕まれ、ついには狂って死んでいく

下の写真をしばらく眺めて、思いを巡らしてみてください。…何の予備知識もなく、この風景を眺めた場合、どのように見えるでしょうか。 http://www.geoc.jp/content/images/blog/2013/08/DSC009321.jpg ***** 上の写真は、水俣メモリアルです。これは、①…

精神疾患は治療できるのか?(オリバー・サックス)

吉成真由美『知の逆転』(5) 今回は、オリバー・サックス(Oliver Sacks、1933-2015)に対するインタビュー。オリバー・サックスは、イギリスの神経学者。『妻を帽子とまちがえた男』、『レナードの朝』、『火星の人類学者』などの著作が有名。インタビュ…