2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧
伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(2) 別に「論文」を書かなくても、自分の意見を言う場合に、どういう話し方をした場合に説得力があるか(合意を得やすいか)を考慮しておくことは有意義だろう。 前回宿題としたのは、「ある主張をしていて、文末(結…
平野・亀本・服部『法哲学』(20) 今回より、第4章 法と正義の基本問題(平野仁彦)に入る。第1節は、「公共的利益」である。 公共的利益とは、公の必要に関わる共通利益のことであるが、それには、平和、治安、秩序維持から、資源、環境、運輸、公衆衛…
稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(5) 立岩 この『「資本」論』[稲葉の著作]について言えば、ある種ポジティブな、いま考え中っていう以上のメッセージを受け取ってしまう。それは誤読であるということで終わるんだったら終わっていいし、そ…
末永照和(監修)『20世紀の美術』(1) 最近、宇佐美圭司の「20世紀美術」を読み始めたばかりであるが、本書と並行して読むことにする。 ただ単に本書の内容を紹介・要約しようというのではない。本書の記述を参考に、「作品」を見て(WEB上でしかない…
加藤尚武『現代倫理学入門』(15) 第7章 <……である>から、<……べきである>を導き出すことはできないか に入ると言いながら、本書を離れて、ウェーバーとシュモラーの「価値判断論争」を見てきた。しかし、あえて、その「まとめ」はしないでおく。 加…
吉成真由美『知の逆転』(12) 今回は、ジェームズ・ワトソン(James Watson、1928-)に対するインタビュー。1962年、クリック、ウィルキンスと共に、DNA二重らせん構造の発見で、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。インタビューは、2011年。 𠮷成…「…
ラマチャンドラン,ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』(27) クオリアの話の続きである。クオリアとは、主観的感覚(「痛み」「赤」「トリュフ添えのニョッキ」といった主観的性質を感じる生[なま]の感覚)のことであった。このような主観的感覚は、どの…
岡田暁生『音楽の聴き方』(11) 岡田は、多楽章形式の音楽とはコース料理であるという。これは分りやすい喩えだ。 普通に考えれば、四楽章の交響曲といっても、そこには四つの別々の「曲」があるだけである、なのに、どうしてそれらが一つになって、もっ…
伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(1) 本書は、クリティカルシンキング(批判的思考)の本である。「批判」とは、「ある意見を鵜呑みにせずによく吟味すること」である。私は、読み書きする時に、この意味で批判的でありたいと思っているが、これまで「…
水俣市は、2008年(平成20年)7月、国の環境モデル都市(低炭素社会の実現に向けて温室効果ガスの大幅削減などへの取り組みを行うモデル都市)に認定された。 環境都市・水俣市を訪ねて www.youtube.com 「道の駅みなまた」は、水俣市の中心街から2 kmほど…
平野・亀本・服部『法哲学』(19) 今回は「第3節 リベラルな正義論と倫理学」である。 「よい行為・正しい行為とは、ルールに従った行為である」という考え方がある。 西洋の倫理思想上最も有名なルールは、黄金律であった。その肯定的な形態は、「他人…
稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(4) 今回は、「第2章 市場万能論のウソを見抜く 第2節 分配の根拠を示す」である。(引用は、文意を損なわない程度に、若干変形したところがある) 立岩 どういう配分の仕掛けを考えるのがよいのか。…ある種…