2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧
岡田暁生『音楽の聴き方』(17) 今回から、第4章 音楽はポータブルか?-複文化の中で音楽を聴く に入る。 再生技術史としての音楽史 世界の他のどんな文化にも見られない西洋音楽の特質の一つに、それが「再生技術」の開発に全力を傾注し、それをモータ…
伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(10) 第4章 疑いの泥沼からどう抜け出すか 第4節 文脈主義の考え方 の続きである。 私たちが日常的によく抱く「疑い」がある。 もう一つ、科学との関連ではヒューム流の懐疑主義というものがある。これは、今までう…
平野・亀本・服部『法哲学』(27) 前回記事の「機会の平等」と「結果の平等」についての引用部分を再掲する。 分配的正義については、財の分配方式に関して、「機会の平等」と「結果の平等」という相異なる考え方がある。前者は、財を獲得するための機会…
稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(13) 立岩 マルキシズムについては、ぼくはほとんど書いたことがないのだけれど、いくつか列挙します。一つ、搾取の議論をそのままで使わないというか使えないというのは出発点にあった。…そういう話をされて…
末永照和(監修)『20世紀の美術』(8) 今回から、第4章 ダダ的反抗と夢の開拓 である。 ダダとは何か。次の説明が簡明である。 1916~22年頃ヨーロッパ,アメリカに起った反文明,反合理的な芸術運動。ダダイズムともいう。伝統的なヨーロッパ文明を否…
加藤尚武『現代倫理学入門』(23) 加藤は、自由主義の原則を次の5つ(の条件)に要約している・ ①判断能力のある大人なら、 ②自分の生命、身体、財産に関して、 ③他人に危害を及ぼさない限り、 ④たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、 ⑤自己決…
塚越健司『ハクティビズムとは何か』(7) 電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation, EFF)は、1990年6月に設立された。これは、「デジタル時代の市民的自由を擁護する非営利組織」である。「市民的自由」と「非営利組織」という2つの言葉に…
木下清一郎『心の起源』(4) 二つの立場 ここで私たちは二つの立場に分かれざるを得ない。 その一つは、生命発生以来の歴史が示す通り、細胞、個体といった生命形態を通じて、遺伝子の支配はすべてに優先するものであって、個体の中に現れた心の働きも、そ…
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61wES-UIGpL.jpg 1-1 催愛術/稲葉喜美子 作詞:稲葉喜美子 作曲:稲葉喜美子 *以前貼り付けたものが利用不可になっていたので、別のものを貼り付けます。 1-2 26時/稲葉喜美子 作詞:稲葉喜美子 …
伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(9) 伊勢田は、本書の「序」で、次のように述べていた。 懐疑主義という言葉はいろいろな文脈で使われる。懐疑と言えばもちろん「疑う」ことだから、懐疑主義というのは平たく言えば「疑うという立場」である。昨今の…
平野・亀本・服部『法哲学』(26) 今回は、第4章 法と正義の基本問題 第4節 平等である。*1 平等の理念 私たちは平等ではない。容貌が違い、性格が異なり、体力、知力、芸術的才能、いずれにおいても十人十様である。人種が異なり、性別が異なり、信条…
稲葉振一郎・立岩真也『所有と国家のゆくえ』(12) 前回、立岩は次のようなことを話していた。 何をするか、しないかを考えること。 乱暴に考えないこと。 人間ってこんなもんさねっていうところで話を収めないこと。 この件に関してはこの方が良いはずだ…
末永照和(監修)『20世紀の美術』(7) 前回、バウハウス(国立の美術工芸学校)をとりあげたが、その最後に「1933年、バウハウスはナチス政権によって弾圧を受け、解散させられた」という記述があった。 「ナチス=悪」との先入観を捨てて考えてみよう…