浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

遺伝子概念の揺らぎ

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(3) 今回は、第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第2節「遺伝子」概念の揺らぎ である。イントロとして、「遺伝子操作ベビー」と「美女遺伝子」について触れようかとも思ったのだが、本節…

私の臓器や性は、根本的なもので、譲渡してはならないものなのか?

立岩真也『私的所有論』(13) 今回は、第3章 批判はどこまで行けているか 第3節 交換と贈与について である。 贈与と売買の差異および共通性 臓器の売買を認めている国は無い。代理母契約についても大勢としては認められていない。 では、善意の提供は認…

YouTube後の「懐メロ」(ZARD、あさみちゆき、田川寿美)

YYJT(17) いまでは、テレビ、ラジオ、CDで音楽を聴くことはほとんどないです。インターネット普及後はインターネットラジオを聴いていたのですが、現在はほとんどYouTubeです。音楽としては、生演奏にはかなわないでしょうが、映像がプラスされているのがい…

民主制と人権 市民的自由とは?

平野・亀本・服部『法哲学』(53) 第6章 法哲学の現代的課題 第1節 デモクラシーとは何か の続きである。 投票制度としての民主制 経済学者の一部は、社会的選択理論と呼ばれる分野で、民主制を純粋な投票集計制度とみなして精緻な分析を展開している。……

人権とは何でしょうか? 谷川俊太郎訳の「世界人権宣言」

一昨日の記事(2018/11/17、セックスワーカーから繊維工場労働者へ ファストファッションの光と影 エシカル・ファッション)は、今回の「人権」の記事のイントロとして書いたものである。 ファストファッションの陰で起きている環境破壊や人権侵害、搾取。 …

セックスワーカーから繊維工場労働者へ ファストファッションの光と影 エシカル・ファッション

次の動画をご覧ください。エシカルファッション(ethical fashion)の話です。 鎌田安里紗「ベルリンの社会派ファッションショー」 エシカルファッションについて [モーニングCROSS] 2013年4月、バングラデシュの首都ダッカのラナ・プラザという縫製工場が倒…

市民社会の多義性 市民団体の可能性

久米郁男他『政治学』(13) 今回は、第6章 市民社会と国民国家 第2節 市民社会 である。本書を読む前に、植村邦彦*1に対するインタビュー記事<日本に「市民社会」は存在しないのか?>(2018/1/12) を参照しよう。 civil societyという言葉は、当初は…

色彩の心理効果(感情効果) 街路樹

デザイン(2) デザインの要素には、形状(2次元、3次元)、質感、空間(スペース)など種々あるようだが、色(カラー)もその一つである。色により大きく印象が異なる。絵画等のいわゆる芸術作品のみならず、日用品・備品や自動車・電車・航空機や建造物…

奥行きの知覚 遠近法 日本の秋景色

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(18) 今回は、第11章 知覚 のうち、「奥行きの知覚」である。 奥行きの知覚 「網膜の2次元像から、いかにして3次元像を知覚するのか?」というのが最初の問いである(写真や絵画やテレビなどは2次元)…

社会の仕組みが、人々をより孤立へ、排除へ、貧困へ、追い込んでいるのではないだろうか?

阿部彩『弱者の居場所がない社会-貧困・格差と社会的包摂』(4) 今回は、第4章 本当はこわい格差の話 第1節 排除と格差、第2節 格差と人間関係 をとりあげる。 社会的排除とは、社会の中で「居場所」がなく、「役割」がなく、他者との「つながり」がない…

ブログ考

1988年、桑原武夫が無くなったとき、長田弘(1939-2015)は、その死を悼んで、一篇の詩を書いた*1。 桑原武夫(1904-88) えらそうな 物言いには (言うとるわ、言うとるわ) もったいぶった 物言いには (あほらし。あほらしやの鐘が鳴りまっせ) 思イ邪マ…

ポスト・ゲノム時代 合成生物学 人工生命

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(2) 今回は、第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第1節 ゲノム科学の進展と現状 の続きである。 ゲノム・プロジェクト以後の時代(つまり現代)を、ポスト・ゲノム時代と呼ぶそうである。…