浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

規範的判断の正当化の根拠としての「法原理」

平野・亀本・服部『法哲学』(43) 今回は、第5章 法的思考 第1節 法的思考とは何か 第5項 制定法主義と判例法主義 の続きである。 前回ふれたレイシオ・デシデンダイratio decidendi(判決理由)とオービタ・ディクタobiter dicta(傍論)に関しては、本…

不可解・不明瞭な、「消極的自由」と「積極的自由」

久米郁男他『政治学』(4) 今回は、第3章 自由と自由主義 第2節 古典的自由主義の展開 の続き。バーリン(1909-1997)の「消極的自由」と「積極的自由」が説明されている。 消極的自由と積極的自由 バーリンの説明によれば、消極的自由とは、ある人がいか…

ル・コルビュジエのモデュロール

柏木博『デザインの教科書』(2) 第1章 デザインって何? 視点(3) 趣味と美意識 の続き。 秩序としての装飾(非装飾)は、規範(カノン)や様式を生みだしてきた。それは地域や民族そして宗教によって異なり、また時代によって変化してきた。私たちが、デ…

「こころの病気」とは何か?

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(7) 第8章は、「ストレスとメンタルヘルス」であるが、本書によらずに、厚労省のサイト「みんなのメンタルヘルス」とwikipediaの記述に従って、「メンタルヘルス」について概観しておこう。最初に「みん…

なぜ「不正」が繰り返し生ずるのか?

塚越健司『ハクティビズムとは何か』(23) 最終章において、サイバーテロやサイバー犯罪について、少しふれられている。「イランのナタンズにある核施設へサイバー攻撃を行った「スタックスネット(Stuxnet)」と呼ばれるマルウェア(悪意あるソフトウェ…

「格差」の指標 「ジニ係数」を考える

格差社会(1) 私は「格差社会論」を、本ブログの主要テーマの一つとしています。熊沢誠は『格差社会ニッポンで働くということ』という本で、以下のように述べています。 いまさかんに展開されている格差社会論とは、畢竟ある程度は不可避的に分立する、仕…

記憶から、時間・空間、論理、感情が導き出される

木下清一郎『心の起源』(21) 今回は、第4章 心のはたらく「場」 第2節 時空・論理・感情 で、「記憶と照合の相互作用によって情報の自己回帰が始まり、そこから時空・論理・感情の特性が生みだされる」という話である。 記憶と自己回帰 記憶と照合の二つ…

ピアノの貴公子

YYJT(10) 男性ピアニスト特集(軽音楽)です。 1.Steve Barakatt Sursum Corda www.youtube.com 2.大井 健 VOICES www.youtube.com 3.Steve Raiman Dreams www.youtube.com 4.Richard Clayderman Eleana www.youtube.com https://i.pinimg.com/736x/…

所有の「初期値」をなぜ問題にしないのか?

立岩真也『私的所有論』(3) 第2章 私的所有の無根拠と根拠 第2節 自己制御→自己所有の論理 の続きである。 自由は何も言わない ある範囲のものが(全面的であるにせよ、一定の制約下にあるにせよ)その者の決定のもとにある時、その者の決定は「自由」で…