浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

4枚カード問題(ウェイソン選択課題) 確証バイアス

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(25) 今回は、第14章 思考 のうち、「推論」から「4枚カード問題」をとりあげる。 4枚カード問題(ウェイソン選択課題)とは、認知心理学者ウェイソンによって考案された次のような問題である。 ここに、…

令和元年 歴史は繰り返す AI兵器の開発競争

私たちは、「戦争を知らない子どもたち*1」である。歴史に学ぶことをせず、AI兵器等の開発にいそしんでいる*2。 1.日本海軍(1904年、明治37年) [軍歌]日本海軍現代版(リメイク) 2.わからない節(1906年、明治39年) 添田唖蝉坊・新わからない節 / …

「合理的無知」は克服可能であろうか?

香取照幸『教養としての社会保障』(2) 今回は、第1章 系譜、理念、制度の体系(ギルドの互助制度を手本としたビスマルク)の続きである。 4.社会保障の理解の難しさ 社会保障は、医療や介護、保育といった産業を動かしている。そこには大きな雇用があり…

なぜ社会保障はうまくいかないのか?

香取照幸『教養としての社会保障』(1)*1 本を読むのに色々な読み方がある。私は、本書を「なぜ社会保障はうまくいかないのか?」という問題意識を持って、読み進めたいと思う(社会保障はうまくいっていないと感じているので)。なお、私は「社会保障」の…

ネットワークの構造(2) スモ-ル・ワールド性、クラスター性

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(9) ネットワークには、3つの性質(スケールフリー性、スモール・ワールド性、クラスター性)があるということだったので、今回はスモール・ワールド性とクラスター性について見ることにしよう。 2.ス…

「私が制御しないもの」(他者、自然、世界)を尊重する(享受する)

立岩真也『私的所有論』(19) ここまで立岩が本節(第4章 他者 第1節 他者という存在)で述べてきたことを振り返っておこう。 私が制御できないもの、私が制御しないものを、「他者」と言う。 他者は、ただ私ではないもの、私が制御しないものとして在…

「勝利」は「成功」を意味しない。安らかな心は、自分は最善を尽くしたという自己満足からのみ得られる。

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(1)*1 本書の内容は、次の通り。いずれも興味をそそられるタイトルである。 第1章 「ナンバー・ワン」の脅迫概念 第2章 競争は避けられないものなのだろうか-「人間性」という神話 第3章 競争はより生産的なものな…

「公共選択論」というお伽話

神野直彦『財政学』(5) 今回は、第5章 現代財政学の諸潮流 である。 本章で私が興味を持ったのは、「マーシャルの公共財」と、「財政における政治(財政の決定過程)」である。 公共選択論は、官僚・利益集団・政治家を批判すること(民間部門の利益を貪…

財政は、社会・政治・経済との関連でマクロに考察しなければならない。

神野直彦『財政学』(4) 今回は、第3章 財政学の生成、第4章 財政学の展開 である。財政学説史なので、逐一コメントのスタイルではなく、ポイントと思われる部分の引用にとどめる。 ドイツ正統派財政学とか財政社会学は、あまり馴染みがない分だけ面白く…

エージェントと構造 プリンシパル=エージェント関係

久米郁男他『政治学』(19) 今回は、第7章 国内社会と国際関係 第3節 国際関係をどう見るか の続き、「エージェントと構造」である。ここで述べられていることは、「国際関係では、国家の行動が国際関係における国家間のパワーの配分という構造によって…

音楽と絵画のコラボレーション(洋楽2)

YYJT(20) №1の動画のKemal Kamil Akcatは、Fine Art photographerと紹介されています。その作品を見てみましたがどれも素晴らしいですね。2点だけ紹介しておきます。 №4の動画はやや異質かもしれませんが、自然界の動植物を「自然淘汰」「弱肉強食」の世界と…

パブロフの亀

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(24) 今回は、第13章 学習 である。本書の記述*1は相変わらずつまらないので、例のごとくWikipedia等を参照したが、とりたてて興味を引くものがない。そこで本章のテーマ「学習」についてはパスするが、…