浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「問題の把握」の難しさ  愛はかげろう?

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(27) 今回は、第14章 思考 のうち、「問題解決」をとりあげる。問題解決と言うと、ビジネスにおけるノウハウとしての問題解決技法が思い浮かぶが、認知心理学における問題解決の研究とは、問題を解決する…

風鈴の話 - 水琴窟風鈴ほか

夏の風物詩「風鈴」が見られなくなって久しい。かつて人々は縁側で団扇をあおぎ、軒下に吊り下げられている風鈴の音を聴きながら、涼をとっていた。その後、扇風機・エアコンの普及や和風建築の減少とともに、団扇や風鈴は、日常生活から消えていった。確か…

社会保障 「自助」(自己責任)を基本にして良いのだろうか?

香取照幸『教養としての社会保障』(3) 今回は、第2章 基本哲学を知る(「共助」や「セーフティネット」が社会を発展させた)の第1節 社会保障制度の教科書的理解 及び 第2節「共助」の意味 である。 「老後資金は2000万円不足するから投資せよ」という話…

「競争」は良いことである、という「4つの神話」

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(2) 今回は、第1章 「ナンバー・ワン」の強迫観念 の続きである。 人は何らかの行動をする場合に、明示的(意識的)でないにせよ、何らかの目標を持っている。「~のために~をする」というわけである。コーンはそ…

ラブドールは、「人間」である。

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(10) 第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ の第4節は、ヒトゲノム・プロジェクト後10年のまとめであるが、これは省略して、最後の部分のみを引用しておく。 こうした生物学の爆発的な進展…

処分/決定してよい・よくないの境界はどこにあるのか?

立岩真也『私的所有論』(20) 今回は、第4章 他者 第2節 境界 である。本節に入る前に、このブログでは省略した第1章(私的所有という主題)の一部を見ておこう。 自己決定と私的所有 近代的な意味での所有権は、単に所持する権利ではなく処分権である…

F-Pops ルアンヌ・エメラ(Louane Emera)他

YYJT(21) F-PopsのFはフランスです。今回とりあげるのは、①ルアンヌ・エメラ(Louane Emera)、②エレ-ヌ・セガラ&ジョー・ダッサン(Helene Segara & Joe Dassin)、③ララ・ファビアン(Lara Fabian)、④ナターシャ・サン=ピエール(Natasha St.Pier)です…

「予算」とは、行政府に対して執行権限を付与し、その執行を管理する文書である。

神野直彦『財政学』(6) 今回は、第6章 財政のコントロール・システムとしての予算 である。 財政民主主義 予算とは、一定期間における予定収支でもなければ、拘束力のない財政計画でもない。予算とは一定期間の財政をコントロールする拘束力のある文書で…

勢力均衡(Balance of power)、恐怖の均衡(Balance of terror)

久米郁男他『政治学』(20) 今回は、第8章 国際関係における安全保障 第1節 安全保障のジレンマとその回避 である。 国際関係において最も重要な課題の一つは、どのようにして武力の行使を抑え、武力紛争(戦争)が起こるのを防ぎ、国際関係の安定をつ…

「ギャンブラーの誤り」は、本当に誤りなのだろうか?

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(26) 今回は、第14章 思考 のうち、「確率の推定」から「ギャンブラーの誤り」をとりあげる。 「ギャンブラーの誤り」とは、 ある出来事の起きる確率があらかじめ決まっているにもかかわらず、その前後に…