浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

予算のプリンシプル(1)

神野直彦『財政学』(8) 今回は、第7章 予算のプリンシプル である。 「予算」(公共予算)とは、議会が、行政府に対して執行権限を付与し、その執行を管理することであった。この簡単な定義のどこに重点があるか。それは私たち[コミュニティのメンバー…

集団安全保障 - 戦争に訴えないという合意

久米郁男他『政治学』(22) 今回は、第8章 国際関係における安全保障 第1節 安全保障のジレンマとその回避 の続きである。 テーマは「集団安全保障」である。「集団的自衛権」の話とは異なる。 「勢力均衡」から「集団安全保障」へ 「勢力均衡」(≒大国…

概念とカテゴリー 複雑な現実世界

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(28) 今回は、第14章 思考 のうち、「概念と言語」である。まず概念とカテゴリーについて説明されているが、どうにも分かりにくい。 溝上慎一の説明を参照しよう。 私たちは乗用車を見て、それがオートバ…

「時間の流れによって、何かが変わっていく」(安藤北斗)

デザイン(6) 2019年5月21日のNHKデザイン トークス+(プラス)は、「時間」がテーマで、we+(コンテンポラリーデザインスタジオ)の林登志也と安藤北斗が出演していた。 今回は、we+のサイトからいくつかの作品(クライアントワーク)を紹介します。 Flu…

セーフティネットの2つの意味

香取照幸『教養としての社会保障』(4) 今回は、第2章 基本哲学を知る 第3節 社会全体のリスク回避費用の最適化 と 第4節 セーフティネットの真の意味 である。 社会全体のリスク回避費用の最適化(第3節) 社会保障とは、それがあることによって、社会…

クイ・ボーノ(cui bono?) 誰の利益になるのか?

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(3) 今回は、第2章 競争は避けられないものなのだろうか -「人間性」という神話 である。 第2章の構成は、次の通りである。あまり先走らないで、ゆっくりと見ていきたい。 第1節 「人間性」というカードを切ること…

生物は合目的的に設計された機械なのか?

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(11) 今回は、第2章 生物学の成立構造 第1節 「物質と生命」という区分 の続きである。 鉱物と動植物 常識的には、物質を生物と混同することはなく、直観的に区別することができる。現代では、生命は物…

領域と境界 自己と他者

立岩真也『私的所有論』(21) 今回は、第4章 他者 第2節 境界 の続きである。 第2節 境界 の小見出しは、1.境界という問題、2.境界線は引かれる、3. β~その人のものでないもの、4.α~その人のものであるもの、5.α/β である。前回は、1,2を見たので、…

音楽と絵画のコラボ 梅林茂 Abel Korzeniowski

YYJT(22) 曲と絵がマッチしているかどうかの判断は、その人の感性に依存するでしょう。私たちの世界は、論理だけで成り立ってはいないですね。 1.梅林茂 (1-1) In the Mood For Love - Yumeji's Themei www.youtube.com 鶴田一郎 <ルビーのまなざし> htt…

政治家も大衆も公共の利益を掲げながら、自己利益を追求する?

神野直彦『財政学』(7) 今回は、第6章 財政のコントロール・システムとしての予算 の続きである。 財政民主主義の制度化:近代予算制度の形成 被支配者つまり被統治者が、予算を通じて統治し、財政をコントロールする。 被支配者は、代表を選出して、間接…

核兵器のない世界 オバマ大統領演説 人類という1つの家族

久米郁男他『政治学』(21) 今回は、第8章 国際関係における安全保障 第1節 安全保障のジレンマとその回避 の続きで、「安全保障」の話(国際連盟・国際連合や核兵器削減条約・核実験禁止条約など)なのだが、本節を読む前に、2016年5月27日、オバマ大…