浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

現代財政は、予算原則を守れなくなっている?

神野直彦『財政学』(10) 今回は、第7章 予算のプリンシプル の続き(p99~)と、第8章 予算制度の構造と機能 である。 予算の話は、「国家予算」だけでなく、特定の「組織」や「団体」が活動するための「予算」の話と受け止めれば、きっと身近な話とし…

国際関係における安全保障 → 人間の安全保障

久米郁男他『政治学』(24) 今回は、第8章 国際関係における安全保障 第1節 安全保障のジレンマとその回避 の続きである。 「国際制度による安全保障」の項では、米ソ対立の解消は、軍備管理・軍縮への取り組みを進展させ、いろいろな条約が締結された…

潜在意識を刺激されたメッセージにより、行動が支配される。

長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(31) 今回は、第16章 脳損傷と心の働き である。失認症、失語症、先行症、記憶障害(健忘)、注意障害、などの話題があるが、「見えないのに見えている――自覚なしの知覚」について見てみよう。 対象を自…

お風呂 - 浸食され朽ちてもなお 光や希望を内包する空間で 自らと対峙し再生する

デザイン(8) 2018年12月25日のNHKデザイン トークス+(プラス)は、「お風呂」がテーマで、「湯道」や「銭湯」や「檜風呂」、さらに「KIYOME PROJECT」の話があった。最後のKIYOME PROJECTに考えさせられるものがあったので、これについてふれたいのだが…

経済成長と社会保障の関係をどう考えたらよいのか?

香取照幸『教養としての社会保障』(6) 今回は、第3章 日本の社会保障-戦後日本で実現した「皆保険」という奇跡 の続き(p.74~)である。 まず、「高度成長との二人三脚」という節で、香取は以下のようなことを述べている。 皆保険制度ができた(1961年…

動物の行動は、「協力」によって特徴づけられている。人間は?

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(5) 今回は、第2章 競争は避けられないものなのだろうか 第3節 現実の自然状態 (p.32~) である。 競争と協力のどちらが優勢かを比較してみるために、まず自然界に目を向けてみることにしよう。…動物界の競争は、…

行動や構造に、意図や目的を読み込んでしまうのは、「擬人的な錯覚」ではないのか?

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(13) 今回は、第2章 生物学の成立構造 第1節 「物質と生命」という区分 の続き(p.75~)である。 身体構造の合目的性 鳥の翼が細部に至るまで精緻に組み上げられた構造を持っていることは、その鳥自身…

「植物人間」や「乳幼児」はもとより、「偽大人」であっても、共生社会の一員である

立岩真也『私的所有論』(23) 今回は、安楽死・尊厳死について書こうと思っていたのだが、後でもう少し詳しい話があるようなので、後回しにして、第4章 他者 第3節 自己決定 の第4項に進もう。 4 決定しない存在・決定できない事態について 植物状態や…

Denean - To The Children(子どもたちへ)他2曲

YYJT(24) 今回紹介するのは、Deneanの楽曲です。 外部の音を遮断し、目を瞑り、聴いてみて下さい。 下手な紹介はしませんが、1曲目のTo The ChildrenのChildrenは、ガイア(地球)*1の子どもたちのようです。 https://www.gaia.com/article/archangel-guide…

予算のプリンシプル(2) 偽造・変造された文書を公開されてもねぇ…

神野直彦『財政学』(9) 政治家や公務員でなくても、所属組織において、予算(収入・支出)に関わっている人であれば、予算原則の話は参考になるだろう。 今回は、第7章 予算のプリンシプル の続きである。前回は、1.完全性の原則、2.統一性の原則、…

富国強兵と安全保障と国連

久米郁男他『政治学』(23) 今回は、第8章 国際関係における安全保障 第1節 安全保障のジレンマとその回避 の続きである。 国際連合 本書の「国際連合」に関する記述は、「①武力による威嚇、武力行使の禁止、②安全保障理事会の権限強化、常任理事国(米…