浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

私たちの人生は、ジグソーパズルである

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(12) 今回から、第3章 競争はより生産的なものなのだろうか-協働の報酬 に入る。 競争をやめてしまうと、素晴らしい生産性はもちろんのこと、最低限の生産性さえも失われてしまうといった単純な確信が繰り返され…

COVID-19: 新しい生活様式? 余計なお世話だ!

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(18) 緊急事態宣言解除後も、「新しい生活様式」が求められている。どういうものか? 「実践例」が、専門家会議の提言の別添資料にある。 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス…

「分子」は、「仮想」か「実在」か?

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(20) 今回は、第2章 生物学の成立構造 第2節 「生物学」の登場 の続きで、「分子」についてである(p.98~)。 生物における多型(形質の多様性)の原因となるものは、理論が要請する「仮想的なもの」…

COVID-19: ユヴァル・ノア・ハラリの論考(1)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(17) 今回は、ユヴァル・ノア・ハラリの新型コロナウイルスに関する論考を見ていくことにする。(訳:柴田裕之) (私の記事は読まなくても、次のハラリの記事をぜひ読んでみて下さい。おすすめです) …

「体外受精・胚移植」技術利用の希望と不安

立岩真也『私的所有論』(30) 前回、生殖技術に関する基礎知識を仕入れたので、今回は、第4章 他者 第5節 生殖技術について を読んでいこう*1。このような技術の利用により、失うものと得るものがある。 1.体外受精・胚移植の技術を利用して自らが出産…

COVID-19:ちょっと気になる彼女は結婚しているだろうか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(16) 「抗体検査」とか「抗原検査」が話題となっている。 検査には、偽陽性、偽陰性の問題がつきものなので、これまで「PCR検査」についてとりあげたのであるが、自分の理解のために考えた例題を紹介し…

ジュディエスター(Judyesther)(2)

YYJT(28) 以前(2018/6/14)、ジュディエスター(Judyesther)をとりあげたので、今回は2回目です。 Judyesther(ペンネーム)は、ブタペスト在住の作曲家です。ホームページ(https://www.judyesther.com/)を参照ください。 彼女の穏やかで優しい曲は、自然…

COVID-19:鳥の目、虫の目、魚の目、心の目

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(15) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 (COVID-19にのみ注目する)一点集中ではわからないことがある。今回のコロナ騒動でそのことを…

「相対主義」の些か退屈な分類学的議論

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(4) 井上は、「正義」に対して嫌悪を抱くような感情の3つの要因を挙げていた。 「正義よりも平和を」というスローガンに要約される発想。 正義に関するあらゆる思弁は、その本質において、支配階級のそれを代…

COVID-19:災難にあう時節には災難にあうがよく候。死ぬる時節には死ぬがよく候。これは災難をのがるる妙法にて候(良寛)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(14) そろそろ「総括」を始めてもよい時期かもしれない。「有識者」により、すぐれた論考が出てくるだろう。 ■正しく恐れる ■冷静な頭脳と温かい心 現時点で、今後のために考えておかなければならない…

「経済財政運営と改革の基本方針」について

神野直彦『財政学』(16) 今回は、第9章 予算過程の論理と実態 の続きである。予算過程は、(1)編成過程(立案過程と決定過程)、(2)執行過程、(3)決算過程に区分される。 第1段階は、毎年6~7月に出される「経済財政運営と改革の基本方針」(上図右上)…

COVID-19:人を見たらコロナ患者と思え!? (「PCR検査」再論)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(13) 「PCR検査が不十分」という批判は、メディアのみならず、「政治家」や一部の「専門家」の間にもあるようだ。 私は前々回の記事でPCR検査についてふれたが、読み返してみるとどうも不十分で、説得…

国会議員は、全国民を代表しているか?

浦部法穂『全訂 憲法学教室』(3) 今回は、第7章 国民主権 第4節 国会 1国会の地位と性格 の続き(p.520~)である。 国会議員は、その選挙区の代表(地元の利害の代弁者)ではなく、全国民の代表である。 選出母体の意思・指令に拘束されないという意味…

COVID-19:自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(12) ■正しく恐れる ■冷静な頭脳と温かい心 (A) COVID-19は、(新型かもしれないが)一つの感染症に過ぎないのだから、緊急事態宣言など出さずに、粛々と対策を講じれば良いものを、どこで間違ったか、…

5人以上が見上げていると、通りがかった人の8割以上が同じ行動をとる

山岸俊男監修『社会心理学』(4) 今回は、第2章 社会心理学の歴史的な実験 のうち、「同調実験」である。「同調」については、第5章で説明があるので、そこで詳しく見ることにして、ここではごく簡単にコメントするにとどめたい。 本書の説明では、「同…