浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2021-01-01から1年間の記事一覧

競争を伴わないスポーツ(気晴らし、楽しみ)【デポルターレ】(下)

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(25) 今回は、昨日の「競争を伴わないスポーツ(気晴らし、楽しみ)【デポルターレ】(上)」の続きである。 コーンは、「競争を伴わないゲーム」を考え出した人物として、T.オーリック、J.ソ-ベル、T.F.レンツ、R…

競争を伴わないスポーツ(気晴らし、楽しみ)【デポルターレ】(上)

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(24) 今回は、第4章 競争はもっと楽しいものなのだろうか-スポーツ、遊び、娯楽について の続き(p.146~)である。 「競争を伴う気晴らし」を奨励することの論拠(利点)には、以下の〇で示したようなものもある。…

「所得税」理解の前提知識

神野直彦『財政学』(29) 今回は、第13章 人税の仕組みと実態 に進もうと思ったのだが、本章の理解のためには、前章までの説明を理解しておく必要があり、その復習と私見を少し述べるに終わってしまった。第13章は次回にする。 人税と物税 本章のタイト…

「青木まりこ」の香り

青木まりこ 今は昔、「大きな町」に住んでいた頃、「大きな本屋」に出かけると、そこには必ず「青木まりこ」がいました。 「大きな町」には、高層ビルがあり、赤提灯があり、スケート場やプールがあり、美術館があり、古書店があり、大きな公園があり、高級…

TOMOHIDE IKEYA のリアル

TOMOHIDE IKEYAのWEBサイト(https://tomohide-ikeya.com/)から、3枚の写真をピックアップしてみた。*1 https://tomohide-ikeya.com/adovertising https://tomohide-ikeya.com/moon https://tomohide-ikeya.com/wave IKEYAは述べている。 スキューバダイビ…

因果関係 ― ブラックボックス(内部構造不明の暗い箱)、フラクタル(無限入れ子)

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(31) 今回は、第4章 機械としての生命 第1節 生命の分析(p.164~)である。 前章 第4節(遺伝子は外的に観察された形質の情報を担うか)では、次のようなことが述べられていた。*1 前章の内容を覚え…

(コンピュータ)ウイルスとワクチン(ソフト)

この頃、パソコンの調子がおかしい。ブログの更新もままならないかもしれない。 しかし、今回はこの話ではなく、勤務先のパソコンの話である。 Windows 10を使っているのだが、このバージョンアップがうまくいかない。専門家に調べてもらったところ、アンチ…

存在に対して渋面をつくる人たち フラヌール(Flaneur、実存的遊歩者)

ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(7) 今回は、第2章 哲学のあらまし の続き(p.50~)である。 「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか?」という問いを巡り、思想家の見方は3つに分かれて現在に至っている、とホルトはいう。次の3つである。…

「種」と「類」のエゴイズム

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(16) 今回は、第2章 エゴイズム 第3節 正義とエゴイズム 2 エゴイズムの問題 の続き(p.54~)である。 前回までは (1)正のエゴイズムと負のエゴイズム だったが、今回は (2)「種」と「類」のエゴイズム であ…

COVID-19:オミクロン(omi-cyclone) 第6波?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(99) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 しばらくCOVID-19に関する記事を書いていません。書く必要がないからではなく、当面、言いたい…

「漱石枕流」と「枕石漱流」 … その意味は?

言葉(2) 漱石枕流(そうせきちんりゅう)は、「石に漱ぎ(くちすすぎ)流れに枕す」と読む。 これは、「石で口の中をきれいにし、川の流れを枕にする」という意味である。これは誰が聞いてもおかしい。 この言葉は、役人になる前の孫子荊(そんしけい)が…

集積分析(1)― ギザギザがもたらすもの

伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(7) 今回は、第4章 「階段状の変化」を賢く使う集積分析 である。 因果関係をデータ分析によって解き明かすための最良の方法は、ランダム化比較試験(RCT、Randomized Controlled Trial)である。RCT…

私は、いつまで生きるだろうか? いつ死ぬだろうか?

香取照幸『教養としての社会保障』(25) 今回は本書を離れて、番外編として「生命表」をとりあげる。 生命表とは、 年齢別、男女別などに類別し、生存数・死亡数および生存率・死亡率、平均余命(寿命)などを一括して示した表。日本では、厚生労働省が国…

ストリート・ミュージック ― さまざまな人生

1.NiziU「Make you happy」を踊る少女 www.youtube.com NiziUは、日韓合同のオーディションプロジェクト「Nizi Project」から生まれた9人組ガールズグループ。女子中高校生(小学生も?)を中心にファンが多いとか。NHK紅白にも出場(今年は2回目)。 「Ma…

粘性流体 ― ネバネバとサラサラ

久米郁男他『政治学』(32) 今回は、第10章 議会、第2節 日本の国会 第3項 国会についての2つのイメージ をとりあげる。 対決と裏取引 2つのイメージとは、①与野党が激しく対立する対決のイメージ、②与野党が舞台裏で本音の交渉をして妥協を図る裏取引の…

社会的アイデンティティ(2)― 自己カテゴリー化理論

山岸俊男監修『社会心理学』(16) 今回の記事の自己評価は、「自己カテゴリー化理論」を理解していないので、「ごみ箱」入りです。 ********** 今回は、第3章 社会の中の個人 のうち、社会的アイデンティティ② である。 山岸は、J.C.ターナ(1947-2011)…

社会を覆っている「不安」

香取照幸『教養としての社会保障』(24) 今回は、第7章 【国家財政の危機】「将来不安」を払拭するために何をすべきか 第2節 社会を覆っている「不安」である。*1 「将来不安」を払拭するために何をすべきか というタイトルであるが、日本社会を覆ってい…

競争と娯楽と満足感

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(23) 今回は、第4章 競争はもっと楽しいものなのだろうか-スポーツ、遊び、娯楽について の続き(p.143~)である。 S.ウォーカーは、こう述べている。「スポーツ選手がここで声を大にして強調する哲学は、ゲームの…

「遺伝子」から「形質」への因果関係

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(30) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第4節 遺伝子は外的に観察された形質の情報を担うか(p.154~)である。 現在、一口に「遺伝子」と言われるものが、何らかの情報を担うものである点、その物質的実体…

個人所得税、累進税率を考える

神野直彦『財政学』(28) 今回は、たぶん後で出てくるであろう「累進課税」について考えてみよう。といっても、累進課税の意義・根拠の話ではなく、「税率」の話である。消費税率については、皆さん関心が高く誰もが知っているが、所得税の税率については…

盗めるアート展、最後に「ホワイトキューブ」を盗んだ男

「展示作品を盗んでも良い」というユニークな展覧会『盗めるアート展』が、same gallery(東京)で、2020/7/10~7/19の予定で開催された。 展示にあたり、次のようなルールが設定された。*1 作品を持ち帰られる方をアート泥棒様と呼ばせて頂きます。 本展示…

COVID-19:感染者増減の原因を定量分析しない専門家

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(98) ※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000 尾身茂(新型コロナ感染症対策分科会会長)は、2021/9/28の菅総理の記者会見*1において次のよう…

パーティーガールがケーキから飛び出してきた

ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(6) 今回は、第2章 哲学のあらまし の続き(p.45~)である。 是非もない事実 五感が捉えることのできる証拠に基づく経験的真理は、科学研究の領分に属する。そして、なぜ世界が存在するのかという問いは、科学の…

上海の街

1.上海の街、日本ブーム襲来! www.youtube.com 2.【上海】日本人が中国現地の美容院で髪を切ってみた www.youtube.com 3.中国の屋台朝食 www.youtube.com

かけがえのない存在

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(15) 今回は、第2章 エゴイズム 第3節 正義とエゴイズム 2 エゴイズムの問題 の続き(p.51~)である。 井上は、正義は道徳的価値のすべてではなく、一つの道徳的価値であると述べている。そして衡平の概念に…

OTTAオーケストラ、ロック演奏

OTTAオーケストラは、オーケストラ(管弦楽団)と称しているものの、大規模な楽団でクラシックを演奏するものではなく、ごく小規模なオーケストラで、ロックを演奏している。 以下、私の好みの5曲を選曲してみた。最初のRoyal Safary が、ベストかな? 1.R…

租税の公平性と直間比率

神野直彦『財政学』(27) 今回は、第12章 租税の分類と体系 の続き(pp.175-180)である。 直接税と間接税 「税法入門」*1によれば、直接税と間接税の区分は、「税金を負担する者と税金を納める者が、同じか異なるかによる分類」である。直接税の代表的な…

RDデザインの強み・弱み、広島の「黒い雨」

伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(6) 今回は、第3章 「境界線」を賢く使うRDデザイン の続きである(p.131~147)。*1 RDデザインにおける仮定が崩れるのはどんな場合か 前回の復習から。「回帰・不連続」(回帰曲線が不連続)の意味…

「議員立法」を考える

久米郁男他『政治学』(31) 今回は、第10章 議会、第2節 日本の国会 第2項 法案審議の流れ の続きである。 国会に提出される法案には、内閣が提出する法案(閣法)と、議員が提出する法案(衆法、参法)があり、議員が提出する法案は「議員立法」と呼ば…

社会的アイデンティティ(1) ― 私は「集団」に所属する

山岸俊男監修『社会心理学』(15) 今回は、第3章 社会の中の個人 のうち、社会的アイデンティティ① である。 「アイデンティティ」と言えば、ID card(identity card、身分証明書) を思い浮かべる人が多いだろう。システムにログインするときの「ログイ…