浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「漱石枕流」と「枕石漱流」 … その意味は?

言葉(2) 漱石枕流(そうせきちんりゅう)は、「石に漱ぎ(くちすすぎ)流れに枕す」と読む。 これは、「石で口の中をきれいにし、川の流れを枕にする」という意味である。これは誰が聞いてもおかしい。 この言葉は、役人になる前の孫子荊(そんしけい)が…

集積分析(1)― ギザギザがもたらすもの

伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(7) 今回は、第4章 「階段状の変化」を賢く使う集積分析 である。 因果関係をデータ分析によって解き明かすための最良の方法は、ランダム化比較試験(RCT、Randomized Controlled Trial)である。RCT…

私は、いつまで生きるだろうか? いつ死ぬだろうか?

香取照幸『教養としての社会保障』(25) 今回は本書を離れて、番外編として「生命表」をとりあげる。 生命表とは、 年齢別、男女別などに類別し、生存数・死亡数および生存率・死亡率、平均余命(寿命)などを一括して示した表。日本では、厚生労働省が国…

ストリート・ミュージック ― さまざまな人生

1.NiziU「Make you happy」を踊る少女 www.youtube.com NiziUは、日韓合同のオーディションプロジェクト「Nizi Project」から生まれた9人組ガールズグループ。女子中高校生(小学生も?)を中心にファンが多いとか。NHK紅白にも出場(今年は2回目)。 「Ma…

粘性流体 ― ネバネバとサラサラ

久米郁男他『政治学』(32) 今回は、第10章 議会、第2節 日本の国会 第3項 国会についての2つのイメージ をとりあげる。 対決と裏取引 2つのイメージとは、①与野党が激しく対立する対決のイメージ、②与野党が舞台裏で本音の交渉をして妥協を図る裏取引の…

社会的アイデンティティ(2)― 自己カテゴリー化理論

山岸俊男監修『社会心理学』(16) 今回の記事の自己評価は、「自己カテゴリー化理論」を理解していないので、「ごみ箱」入りです。 ********** 今回は、第3章 社会の中の個人 のうち、社会的アイデンティティ② である。 山岸は、J.C.ターナ(1947-2011)…

社会を覆っている「不安」

香取照幸『教養としての社会保障』(24) 今回は、第7章 【国家財政の危機】「将来不安」を払拭するために何をすべきか 第2節 社会を覆っている「不安」である。*1 「将来不安」を払拭するために何をすべきか というタイトルであるが、日本社会を覆ってい…

競争と娯楽と満足感

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(23) 今回は、第4章 競争はもっと楽しいものなのだろうか-スポーツ、遊び、娯楽について の続き(p.143~)である。 S.ウォーカーは、こう述べている。「スポーツ選手がここで声を大にして強調する哲学は、ゲームの…

「遺伝子」から「形質」への因果関係

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(30) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第4節 遺伝子は外的に観察された形質の情報を担うか(p.154~)である。 現在、一口に「遺伝子」と言われるものが、何らかの情報を担うものである点、その物質的実体…

個人所得税、累進税率を考える

神野直彦『財政学』(28) 今回は、たぶん後で出てくるであろう「累進課税」について考えてみよう。といっても、累進課税の意義・根拠の話ではなく、「税率」の話である。消費税率については、皆さん関心が高く誰もが知っているが、所得税の税率については…

盗めるアート展、最後に「ホワイトキューブ」を盗んだ男

「展示作品を盗んでも良い」というユニークな展覧会『盗めるアート展』が、same gallery(東京)で、2020/7/10~7/19の予定で開催された。 展示にあたり、次のようなルールが設定された。*1 作品を持ち帰られる方をアート泥棒様と呼ばせて頂きます。 本展示…