浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2022-01-01から1年間の記事一覧

生物の輪郭(内部と外部)

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(39) 今回は、第4章 機械としての生命 第4節 さまざまな力学系モデル の続き「パターンの生成と個体の生成」(p.203~)である。 山口は次のようなことを述べている。 DNA分子が担う情報には、タンパ…

社会保障改革の方向性、社会保障の給付と負担

香取照幸『教養としての社会保障』(32) 今回は、第9章【改革の方向性】「安心」を取り戻すために、どう改革を進めるべきか 第3節 社会経済の変化に対応できるシステムへと自らを改革する(p.266~)と第4節 成長に貢献する制度を作る(p.275~) をとり…

「無」は神より偉大である

ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(9) 今回は、第3章 無の小史(p.72~)である。(久しぶりに本書を読むことにします*1)。 ホルトは、「何もない(無)とはどういうことだろう?」と問い、「存在しないもの」と答えている。 貧乏人はそれ(無)…

行為主体は、自由と順境に対する権利主張にコミットしているのか?

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(23) 今回は、第2章 エゴイズム 第4節 ディケーの弁明 2 普遍化可能性 の続き(p.78~)である。(D:正義論者、E:エゴイスト。緑字は傍点の代わり) 第3の疑問 Eが提起する第3の疑問は、「なぜエゴイストは…

非言語コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)

山岸俊男監修『社会心理学』(23) 今回は、第4章 対人認知と行動のうち、「表情の認知」(p.104)である。 表情は、非言語コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション、non-verbal communication)の一つである。非言語コミュニケーションとは…

朝の散歩、思考ドローンを飛ばす

ここ2週間ほど、毎日、朝の散歩(ウォーキング)をしている。冷気が心地よい。頭がスッキリしてくる。 一日の始まり ジョギングをしている人を見かけることがある。 歩道のゴミを拾っているおじさんがいる。 中学生が自転車通学をしている。 店は開店の準備…

「競争」と「心理的な健全さ」について

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(31) 今回は、第5章 競争が人格をかたちづくるのだろうかー心理学的な考察 第2節 勝利、敗北、自尊心 の続き(P.180~)である。 「協力は自尊心を高めるのに役立つが、競争はそれとは全く逆の効果をもたらす」と…

〇〇の音楽アラカルト

最近聴いた曲です。 1.靴音/川野夏美 www.youtube.com 2.秋止符/アリス www.youtube.com https://s.awa.fm/track/cccc431552d79c660c33 3.大事なものは目蓋の裏/KOKIA www.youtube.com

国士無双

久米郁男他『政治学』(38) 久しぶりに本書を読むことにする。 本人-代理人関係論(プリンシパル・エージェント理論、Principal-Agent Theory) 国会改革-委任の終わりか 日本官僚制論 迷える官僚 国士無双 利害調整 アイヒマン 今回は、第12章 官僚制…

朝の散歩

環境の変化により、このごろ朝の陽光を浴びることがめっきり少なくなった。これは良くない傾向だ。 これからは、「朝の散歩」(ウォーキング)をすることにしようかな。 今朝はたまたま、道路沿いにある畑の草花を眺めながら、そして町中(まちなか)に入っ…

☻ 人生に意味なんてあるわけないでしょ ☹

戸田山和久『哲学入門』(1) 読みたい本は多々あるのだが、本書もその1冊である。 哲学系としては、ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』の次にとりあげようかと思っていたのだが、忘れないようにここにメモしておこう。 本書の内容は、次の通りである…

「~は、陰謀論である」とまでは言えない

野矢茂樹『新版 論理トレーニング』(8) 今回から、第Ⅲ部 演繹 である。第7章 否定、第8章 条件構造、第9章 推論の技術 となっている。 冤罪 陰謀論 and の意味 野矢は「演繹」について次のように述べている。 演繹は、論証のための基本技術である。 正し…

輸出取引に係る消費税の処理は不合理ではないか?

神野直彦『財政学』(36) (前々回の続き) 1.輸出取引に係る消費税の処理 2.「消費税」再考 3.「輸出取引に係る消費税の処理」再考 4.取引高税の可能性 5.取引高税の逆進性 1.輸出取引に係る消費税の処理 今回は「輸出取引に係る消費税の処…

インボイス制度 → 個人事業主の受難(続)

神野直彦『財政学』(35) (前回の続き) 免税点制度 1.「消費税」と「売上税」と「付加価値税」 2.「消費税」という言葉の誤用 3.国税庁による「消費税」の説明は正しいか? 免税事業者の大部分は個人事業者や自営業者であり、一部小規模企業が含…

インボイス制度 → 個人事業主の受難

神野直彦『財政学』(34) 「インボイス制度」の導入(2023/10)が話題になっている(※)。今回は、第14章 生産物市場税の仕組みと実態 の続き(p.202~)であるが、インボイス制度にも言及がある。 (※)課税事業者が消費税を算定するにあたり、仕入控除…

「マイナンバー」考

マイナンバーカードと健康保険証の一体化(現行保険証は2024年秋に廃止)方針(更には運転免許証との一体化)が話題になっているが、ここでは「マイナンバー制度」の基本から理解することにしよう。 マイナンバー制度の目的 マイナンバー制度とは何であり、…

砂山くずし

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(38) 今回は、第4章 機械としての生命 第4節 さまざまな力学系モデル の続き「自己組織化臨界」(p.202~)である。 カウフマンは、「生物圏の共構築を支配する法則の候補」を、「カオスの縁」や「自…

青春の光と影

1.Musician of the Night/Zade Dirani www.youtube.com 2.아득히 먼 곳8/양혜승 www.youtube.com 3.Together/Giovanni Marradi www.youtube.com 4.Light And Shadow/Judyesther www.youtube.com

価値判断/規範を結論とする論証

野矢茂樹『新版 論理トレーニング』(7) https://classy-online.jp/fashion/176426/ 1.マスクをすべきである/マスクをする必要はない。(規範) 2.マスクを外しても美人である/美人ではない。(価値判断) この主張の根拠は何であるか? そして説得力は…

普遍化可能性の原理は、当為言明に妥当するのか?

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(22) 「正義の理念が含意する禁止」、「集団的エゴイズム」の概念を念頭に、下の写真を見てみよう。 8日、キーウ(キエフ)の街角に飾られた「クリミア橋」爆破を描いたアート作品を前に記念撮影するウクラ…

「3歳児神話」と経済成長

香取照幸『教養としての社会保障』(31) 今回は、第9章【改革の方向性】「安心」を取り戻すために、どう改革を進めるべきか 第2節 持続可能な社会をつくる である。 香取は、次のようなことを述べている。 経済成長を遂げて日本社会と社会保障を維持する…

行動の原因帰属(個人の特性か環境か)と帰属バイアス

山岸俊男監修『社会心理学』(22) 前回は、第3章 社会の中の個人 のうち、「内発的動機付け」であった。次に「自己効力感*1」、「セルフ・モニタリング*2」と続くが、これは面白くないので省略する。 次は、第4章 対人認知と行動 である。最初に「対人認…

人生は夢の中

Mapa De Soledad/Jacob Gurevitsch www.youtube.com Dance Me to the End of Love/Leonard Cohen www.youtube.com Vision Intérieure/Michel Pépé www.youtube.com

ハッピー・リタイアメント ― 敬老の日の妄想

総務省は、「敬老の日」(2022/9/19)にちなんで、統計からみた高齢者の状況(人口及び就業状況)を公表した。 www.stat.go.jp 2022年の高齢者(65歳以上)の人口推計は、 ・総人口が減少する中で、高齢者人口は3627万人と過去最多 ・総人口(12471万人)に…

出版バイアス、介入の「波及効果」分析

伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(13) 今回は、第7章 上級編:データ分析の不完全性や限界を知る の続き(p.249~)である。 外的妥当性[一般化可能性]の問題と関連して、「出版バイアス」と「パートナーシップ・バイアス」の問題…

『なぜ? どうして?』という謎に答えるには

野矢茂樹『新版 論理トレーニング』(6) 今回は、第Ⅱ部 論証 第5章 演繹と推測(p.71~)である。 演繹と推測はどう違うのだろうか? 演繹も推測も、ある事柄を根拠として何らかの結論を導くものである。 演繹と推測は、その使われる目的が全く異なってい…

競争から共創へ

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(30) 今回は、第5章 競争が人格をかたちづくるのだろうかー心理学的な考察 第2節 勝利、敗北、自尊心である。 コーンは、次のように述べている。(p.179) ①アメリカ社会のような競争社会においては、ふつう協力に…

秋晴れ

ブログ再開します。 これまでは、3日に1回を目処にブログ更新してきましたが、これはやめ「不定期」とします。 この頃、私事多忙なため、更新頻度は落ちます。 ********** 朝夕涼しくなってきました。 秋晴れの日に、公園に出かけるのもいいですね。 「日常…

夏休み

夏休みです。 ブログ更新を、今月いっぱい休みます。 Sweet Moments of Life www.youtube.com https://www.youtube.com/watch?v=NP9jT0zClD8 stef2012bg Paintings - Aleksander Averin Sweet moments of life - Arseniy Yakshiyants

ジュディエスター(Judyesther)(3)

カテゴリー「アート」は、「リアリティ」と「私たち」の間にあります。 各カテゴリーは、以下の内容を扱います。*1 ジュディエスター(Judyesther)の曲は、カテゴリー「アート」にふさわしいもののように思われます。 1.Those Beautiful Days www.youtube.c…