浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

明鏡止水 ― ほかの人の妻となるよりも、この人の妾になりたい

言葉(4) 明鏡止水(めいきょうしすい) 曇りのない鏡[明鏡]と、静止している水[止水]のことで、邪念が無く、明るく澄み切った心境をいう。(真藤建志郎、四字熟語博覧辞典) これが一般的な辞書の説明であり、出典は、『荘子』徳充府編である。 徳充…

北欧の成長モデル (2)

香取照幸『教養としての社会保障』(27) 今回は、第8章 【新たな発展モデル】北欧諸国の成功モデルから学べること 第2節 北欧の成功―新たな成長モデル の続きである。 北欧は製造業モデルから脱却し、人的資本の充実に力を入れ、知識産業を中心とした産業…

市場化テスト 公共サービスの質は?

久米郁男他『政治学』(34) 今回は、第12章 官僚制 第1節 NPMの中の官僚制 をとりあげる*1。 本節のサブタイトルは、「民間活力の利用と競争原理の導入」である。 先進諸国において1970年代末から、官僚制改革を方向付けるキーワードとして、ニュー・パ…

認知的不協和理論(辻褄合わせの理論)

山岸俊男監修『社会心理学』(18) 今回は、第3章 社会の中の個人 のうち、認知的不協和理論 である。 色々な言葉が出てきて紛らわしいが、まず認知的斉合性理論という言葉を覚えておこう。 その認知的斉合性理論の代表的なものに、(1) F.ハイダー(1896-…

なぜ競争するのか?

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(26) 今回から、第5章 競争が人格をかたちづくるのだろうかー心理学的な考察 である。 コーンは、競争に伴う心理的な犠牲について述べている。 競争が有効であるという決まり文句を一度も疑ってかかったことのない…

結婚への刑罰とギフト

神野直彦『財政学』(30) 今回は、第13章 人税の仕組みと実態 のうち、「所得税の課税単位:結婚への刑罰とギフト」(p.192~)をとりあげる。 税金(公的な支出に必要なお金)は、「経済力に応じて分担しよう」という考え方には、(各論はともかく総論と…

プレミアム世代の懐メロ?

先日、車の運転中何気なくラジオを聞いていたのだが、奇妙にも印象に残る曲があり、帰ってから何という曲か調べてみたら、次の曲だった。 Safe From Harm (1991) www.youtube.com 私は普段このような曲を聴かないのだが、どうもプレミアム世代の懐メロらし…

生命の分析に対するカンギレムの批判

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(32) 今回は、第4章 機械としての生命 第1節 生命の分析 の続き(p.170~)である。 我々は「あるがままの記述」を理解できない 生命を構成するすべての分子の運動を記述することができれば、それは…