浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

人口減少社会を乗り切る…

香取照幸『教養としての社会保障』(33) 本書の付章は、[提言]人口減少社会を乗り切る持続可能な安心社会のために である。 日本の将来推計人口(平成29年推計)人口ピラミッドの推移 *1 国立社会保障・人口問題研究所(https://www.ipss.go.jp/index.a…

現代の美人画

「現代の美人画」らしきものを4点紹介します。各作家のインスタグラム等も見て下さい。 現物を見るのはもっと良いでしょう。(スマホやパソコンで見るのと現物を見るのとでは大きく違うことも多いですね) 1.坂根輝美 ART VILLA:https://artovilla.jp/ar…

条件連鎖 - 「尊敬される人は判断を誤ることはない」と言えるのだろうか?

野矢茂樹『新版 論理トレーニング』(10) 今回は、第8章 条件構造 の続き、「条件連鎖」である。 例題から見ていこう。例3と例4をまとめて書いてみる。 1.論理的な人は理屈っぽい。 2.議論を好まない人は理屈っぽくない。 それゆえ 3-1.議論を好まない…

お知らせ

<2023/10/17> 2021/7/1の記事「態度と行動の一貫性、合理的行動理論」に記述誤りがありましたので、訂正しました。 <2023/10/1> 私の「夏休み」は昨日で終わりましたが、ブログ再開はまだ先になります。 1か月後か1年後か10年後か分かりません。 たまには…

記事作成方針

<記事内容> テーマ*1に沿った記事を書くこととし、下記のような記事は書きません。 宗教(既存・新興とも)、精神世界(オカルト、スピリチュアル)への誘いと受け取られるような記事。…生命論や宇宙論はこれらと近縁関係にあるようで、気をつける必要があ…

このブログのテーマ

このブログのテーマは、次のイメージ図で表されます。 備考 これは、各カテゴリーの関連図でもあります。*1 「リアリティ」の中には「バーチャル」を含み、「私たち」の中には「私」を含みます。 各カテゴリーは独立しているものではなく、相互に関連してい…

春休み

春休みです。 3月は、ブログ更新を休みます。 再開は、n月を予定しています。 書きたいテーマは無数にありますので、できるだけ早期に再開したいと思っています。 昨日今日と、久しぶりの快晴で、朝の散歩が心地良かったです。 CHOPIN - SPRING WALTZ BEAUT…

空間とは何か? 実体説と関係説

ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(10) 今回は、第3章 無の小史 の続き(p.86~)である。 空間とは何か 哲学者の間では、空間(時空)とは本当は何なのかについて、2つの対立する見方がある。 1) 実体的な見方は、ニュートンに遡る。その見方で…

ドーナツの穴 - 言語学からのアプローチ(2)

芝垣亮介・奥田太郎編『失われたドーナツの穴を求めて』(2) 今回は、下記記事の続きである。 shoyo3.hatenablog.com 穴の例示 芝垣は、「穴と呼ぶ空間」と「穴と呼ばない空間」を、下記a.b.のように例示していた(p.156)。 a.穴と呼ぶもの・穴を用いた表…

大人への問題:1+3=? について

先日の記事「大人への問題:1+3=□ の空欄を埋めよ。(認知症テストではありません)」に、匿名さん(以下、Aさん)のコメントがありましたので、私の疑問について教えてください。また私の考えを少し述べたいと思います。(私は、数学に疎い文系人間です…

ハルヴォルセンのパッサカリア

ヨハン・ハルヴォルセン(Johan Halvorsen、1864-1935、ノルウェーの作曲家、指揮者、ヴァイオリニスト) 最近聴いた曲です。 (1) www.youtube.com (2) www.youtube.com (3) www.youtube.com (4) www.youtube.com (5) www.youtube.com ※パッサカリア(passac…

エイリアンの「理知における卓越性」テスト

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(25) 今回は、第2章 エゴイズム 第4節 ディケーの弁明 3 本質主義の彼岸 の続き(p.86~)である。(D:正義論者、E:エゴイスト。緑字は傍点の代わり) D:正義の問題を真剣に考えようとする者には想像力が必…

本質主義の彼岸 人間中心主義の正当化?

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(24) 今回は、第2章 エゴイズム 第4節 ディケーの弁明 2 普遍化可能性 の続き(p.80~)である。(D:正義論者、E:エゴイスト。緑字は傍点の代わり) Eが提起する第3の疑問は、「なぜエゴイストは当為言明を…

新しいカレンダー【七十二候暦】を考える

今年最初の記事 「グレゴリオ暦」と「気候」(2023/1/4)で、 「1年」の定義は何か? 「1日」の定義は何か? 1年も1日も「時間」に関わる概念であり、同一の基準で定義されていれば、上記のような調整[閏年の調整]が必要ないのではないか。 と問うた。…

「ステレオタイプ」と「今川焼」

山岸俊男監修『社会心理学』(24) 今回は、第4章 対人認知と行動のうち、「社会的カテゴリーとステレオタイプ」、「偏った対人認知」(p.106~)をとりあげる。テーマは「ステレオタイプ」である。 ステレオタイプとは、「多くの人に浸透している固定観念…

競争と自尊心

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(32) 今回は、第5章 競争が人格をかたちづくるのだろうかー心理学的な考察 第2節 勝利、敗北、自尊心 の続き(P.186~)である。 競争における焦点は、他の人々に対する自分の優位性を証明することにあり、このこ…

大人への問題:1+3=□ の空欄を埋めよ。(認知症テストではありません)

先日、たまたま次の記事を読んだ。 sukusuku.tokyo-np.co.jp この記事及びコメントを読んで、考えさせられた。 それは、ほとんどすべての人が、「3+1=5」は間違いで、「3+1=4」が正しいということを当然のこととして議論していることに、視野狭窄を感じ…

集権と分権、共管領域と機能的集権

久米郁男他『政治学』(39) 今回は、第13章 中央地方関係 をとりあげる順番であるが、その記述を引用してコメントしたいとは思えなかった。 福祉国家における中央地方関係-新中央集権 地域の自己決定権 機能的集権化 機関委任事務制度 共管領域 本章タ…

(ヴァイオリニスト)廣津留すみれの演奏を聴く

下の動画を見ていて、何か見たことのある顔だと思っていたら、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」の金曜コメンテーター廣津留(ひろつる)すみれであった。(どういう人物かは、Wikipediaやオフィシャルサイトを参照) https://sumirehirotsuru.com/ 1…

条件文-逆・裏・対偶

野矢茂樹『新版 論理トレーニング』(9) 訂正(2023/5/13) 全称文の対偶に引用ミスがありました。 (誤)鳥でないものは(すべて)ペンギンである。 (正)鳥でないものは(すべて)ペンギンではない。 ********** 前回の最後に、 「と」を考えることによ…

ドーナツの穴 - 言語学からのアプローチ

芝垣亮介・奥田太郎編『失われたドーナツの穴を求めて』(1) 先日、BOOKOFFでぶらぶらしていたら、面白い本が見つかった。『失われたドーナツの穴を求めて』という本である。 タイトルに惹かれて手に取ってみると、右上に穴があいている。実際には、 こん…

収益税、流通税、金融取引税

神野直彦『財政学』(37) 今回は、第15章 要素市場税の仕組みと実態(p.213~)をとりあげる。 神野は、生産物市場税(前章)と要素市場税(本章)に大きく区分している。次の説明は、唐渡広志による*1。 生産物市場:財・サービスを売買する市場。…企業…

「グレゴリオ暦」と「気候」

卓上カレンダーを2023年分に置き換えていて、ふと気づいた。 今年の元日は、「日曜日」から始まっている。前回はいつだったか、次回はいつだろうか? 【問題】次回に、元日が「日曜日」となる「年」はいつか? 最初にこの問題を考え、その後、「二十四節気と…

生物の輪郭(内部と外部)

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(39) 今回は、第4章 機械としての生命 第4節 さまざまな力学系モデル の続き「パターンの生成と個体の生成」(p.203~)である。 山口は次のようなことを述べている。 DNA分子が担う情報には、タンパ…

社会保障改革の方向性、社会保障の給付と負担

香取照幸『教養としての社会保障』(32) 今回は、第9章【改革の方向性】「安心」を取り戻すために、どう改革を進めるべきか 第3節 社会経済の変化に対応できるシステムへと自らを改革する(p.266~)と第4節 成長に貢献する制度を作る(p.275~) をとり…

「無」は神より偉大である

ジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』(9) 今回は、第3章 無の小史(p.72~)である。(久しぶりに本書を読むことにします*1)。 ホルトは、「何もない(無)とはどういうことだろう?」と問い、「存在しないもの」と答えている。 貧乏人はそれ(無)…

行為主体は、自由と順境に対する権利主張にコミットしているのか?

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(23) 今回は、第2章 エゴイズム 第4節 ディケーの弁明 2 普遍化可能性 の続き(p.78~)である。(D:正義論者、E:エゴイスト。緑字は傍点の代わり) 第3の疑問 Eが提起する第3の疑問は、「なぜエゴイストは…

非言語コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)

山岸俊男監修『社会心理学』(23) 今回は、第4章 対人認知と行動のうち、「表情の認知」(p.104)である。 表情は、非言語コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション、non-verbal communication)の一つである。非言語コミュニケーションとは…

朝の散歩、思考ドローンを飛ばす

ここ2週間ほど、毎日、朝の散歩(ウォーキング)をしている。冷気が心地よい。頭がスッキリしてくる。 一日の始まり ジョギングをしている人を見かけることがある。 歩道のゴミを拾っているおじさんがいる。 中学生が自転車通学をしている。 店は開店の準備…

「競争」と「心理的な健全さ」について

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(31) 今回は、第5章 競争が人格をかたちづくるのだろうかー心理学的な考察 第2節 勝利、敗北、自尊心 の続き(P.180~)である。 「協力は自尊心を高めるのに役立つが、競争はそれとは全く逆の効果をもたらす」と…