浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

幻のSTAP細胞3 誰が笹井を殺したのか(2)

f:id:shoyo3:20141229150439j:plain

 

9.若山

疑惑論文の共著者は、次のとおりである。http://stapcells.blogspot.jp/2014/02/nature-article.html

疑惑論文1: Nature Article

論文タイトル: "Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency"

Nature 505, 641–647 (30 January 2014) doi:10.1038/nature12968

著者: Haruko Obokata (小保方晴子), Teruhiko Wakayama (若山照彦), Yoshiki Sasai (笹井芳樹), Koji Kojima (小島宏司), Martin P. Vacanti (マーティン・バカンティ), Hitoshi Niwa (丹羽仁史), Masayuki Yamato (大和雅之), Charles A. Vacanti (チャールズ・バカンティ

疑惑論文2: Nature Letter

論文タイトル: "Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency"

Nature 505, 676–680 (30 January 2014) doi:10.1038/nature12969

著者: Haruko Obokata (小保方晴子), Yoshiki Sasai (笹井芳樹), Hitoshi Niwa (丹羽仁史), Mitsutaka Kadota (門田満隆), Munazah Andrabi, Nozomu Takata (高田望), Mikiko Tokoro (野老美紀子), Yukari Terashita (寺下愉加里), Shigenobu Yonemura (米村重信), Charles A Vacanti (チャールズ・バカンティ), Teruhiko Wakayama (若山照彦

共著者とはどういうものであるか、について確認しておこう。

次の記事に詳しい。http://www5d.biglobe.ne.jp/~hasumi/doc2/mono60.html 全文引用する。

学術雑誌に掲載された論文をみると、共著者が何名もいる場合が少なくない。プロジェクトチームを組んで共同研究をおこなえば、これは必然とも言える。このような多数の共著者を、私たちは、どう評価したら良いのだろう?

ここでは、話を単純にするために「ある論文の共著者が5名(A, B, C, D, E)であった」と仮定しよう。一般に第1著者(A)は、その研究に取り組み、主要なデータを採った人である。多くの場合、その論文を実際に書いた人でもある。ここまでは異論はないと思うが、問題は、第2著者(B)以降の取り扱いであろう。

米国の研究者が書いた論文をみると、研究分野にもよるとは思うのだが、共著者は、その研究への貢献順に並べられているのが普通である。共著者が5名の論文の場合、これは「第1著者(A)の研究を、他の著者(B-E)が手伝った」と考えられるもので、かなり公正な方法だと感心させられる。

これに対し、特に日本では、チームリーダーが論文の共著者の最後に名前を連ねる傾向が依然として強く、共著者が5名の論文では「第1著者(A)と第5著者(E)への評価が高い(1)」ということになる

ところで、学術雑誌に論文の原稿を投稿し、複数の匿名レフェリーによる査読(=専門分野が同じ研究者による評価: peer review)を受けるときには、責任著者(corresponding author [2])を決めなければならない。普通は、その論文を最も理解し、最終的な意志決定を下した人が果たす役割なので、共著者が5名の論文では、第1著者(A)や、チームリーダーである第5著者(E)と等しくなる場合が多い。そのため21世紀に入ってからの公募では、責任著者となった論文を明示することが、応募者に求められるようになってきた。これは、より貢献度の高いほうを、採用する側が知ろうとしての苦肉の策である。

これを逆手にとって、最近では、共著者が5名の論文の場合、第1著者(A)と第5著者(E)以外の著者(B-D)の誰かを責任著者にして、論文の点数稼ぎをする研究チームが急増しているようである。こういうのをみると、なにか研究業績評価方法のイタチゴッコを繰り返しているような気分にさせられ、誰もが生き残りに必死な情勢を理解しようと努めるより先に、情けなさがこみ上げてしまう。

[脚注]

(1) その人の研究業績を評価するひとつの方法として、論文を点数化するものがある。一般に、第1著者(A)は「×1」の評価で、持ち点が10点の学術雑誌では、そのまま10点をもらえる。この方法によると、第2著者(B)以降は、著者の頭数で割った点数が与えられる。そのため、共著者が5名の論文では、他の著者(B-E)は「×0.2」の評価で、2点ずつしかもらえない。ところが、チームリーダーである第5著者(E)に関しては、特別に「×0.6」の評価で、6点をもらえることになる。これは「京大医学部方式」と呼ばれるもので、M教授が新潟大学理学部生物学教室に着任したときに持ち込んだものである。

(2) 責任著者(corresponding author)とは、論文の投稿原稿(manuscript)の改訂や査読者コメントへの応答、投稿原稿がアクセプト(accept: 掲載許可)された後の雑誌への著作権譲渡や校正刷り(page proofs)への対応、論文が冊子体で出版された際の別刷り部数の注文、等々に関して、雑誌の編集部や出版社、更には読者との連絡窓口となる責任者のこと。共同研究者の研究への貢献度を評価し、論文の共著者を決める(つまり、共著者に誰を加えて誰を加えないか、あるいは誰に謝辞するかを決める)のも、責任著者の仕事とされている。ちなみに、これまで私が出した学術論文は、全て私が責任著者になっている。

論文取り下げの際には、次のような事情があったらしい。http://www.sankei.com/life/news/140528/lif1405280006-n1.html

2014.5.28 18:42 産経ニュース 「他著者に取り下げ伝える 小保方氏の代理人が明かす」

理化学研究所小保方晴子氏(30)の代理人は大阪市内で28日、STAP細胞に関する2本の論文のうち「レター」と呼ばれる1本について、小保方氏が「取り下げには特に反対しない」との意向を他の著者にメールで伝えていたと明らかにした。

代理人の三木秀夫弁護士は「レター論文は若山照彦・山梨大教授が責任著者で、若山教授が全て実験し、指導のもとで小保方氏が作ったものだ」と指摘した。もう1本の論文は撤回する意向はないとあらためて述べた

若山教授から5月20日前後に、レター論文を取り下げたいとのメールが小保方氏に届いていたことも明らかにした。小保方氏は詳細な説明を求めたがこれまで回答がなかったため、26日にもう1人の主要著者である理研笹井芳樹氏に「若山教授が取り下げたいのなら特に反対しない」とメールで連絡したという。

こんな話もある。「STAP細胞,怪しすぎる若山教授」。この報道が真実かどうかわからないが、一部引用する。http://matome.naver.jp/odai/2140819703105433501

◆記録はしっかりとられていたのか

若山教授は小保方さんのノートをみたことがなかったと主張しています。ところが、別のインタビューでは、「我々は全ての記録をとった」と主張しています。「我々」と書いているので小保方さんと若山さんが共に記録をとり確認していたのではないでしょうか。報じられてるように小保方さんのノートが本当に杜撰なのであれば、若山教授が書いた完璧なノートを調べるべきです。●「命の次に大事」な実験ノートをチェックせず「実験ノート一度も見たことない」http://news.livedoor.com/article/detail/8944520/

 

◆投稿直前になって笹井さんと若山教授で 責任著者の栄誉の押し付け合い

笹井さん「責任著者は若山さんに強く頼まれた」若山教授「笹井さんにひきとめられてコレスポに残った」。論文発表前のこのやりとり、普通でしょうか。●若山「笹井さんに言われたのでコレスポとして残った」。実際に(論文を)書いて下さったのは笹井先生(笹井芳樹理研発生・再生科学総合研究センター副センター長)です。データの多くは、自分自身が理解できなくなってしまったような難しい論文になってます。2013年の8月には笹井先生に「コレスポンデンス(主要著者)をやめたい」というメールを送っています。ただ、笹井先生は僕の今後のことを考えて下さって、僕がコレスポンデンスをもっていた方がいいんじゃないか、と言う話になり、僕はコレスポンデンスをやめたい、と言ったんですけれども、やっぱりそこに魅力もあって。そういうことで、僕自身、コレスポンデンスに残るという結果になってしまいました。(http://www.asahi.com/articles/ASG6J6SBQG6JULBJ01H.html

●笹井「若山さんから強く頼まれたのでコレスポになった」
レター論文については投稿時には責任著者ではなく一共著者として加わりましたが、2013年9月の改訂論文の投稿直前に、若山さんから『責任著者に加わってほしい』という強い依頼を受け、3人目の責任著者として加わることにしました

http://blog.goo.ne.jp/ryouko70/e/af4e0163a0b249a23142a9ee0b433ebe

 

◆80実験のうち75が小保方さんと若山教授を中心に行った

笹井さん会見より抜粋…「私は論文投稿までの約2年間の過程の中で、最後の2カ月強の段階で参加しました。これは調査委報告にあるように、論文の最終段階で加わった形。私はセンター長の依頼で執筆のアドバイザーとして協力をしていたつもりでしたので、当初は著者には加わらずに、協力指導のみにしていた」(http://blog.goo.ne.jp/ryouko70/e/af4e0163a0b249a23142a9ee0b433ebe

 

◆若山教授は査読者と情報をやりとりしながら論文を執筆していた

若山教授は論文に関しての笹井さんの責任を強調していました。しかし、笹井さんは論文に2ヶ月しか関与していませんが、若山教授は1年かけて査読者とやりとりをしていました。論文の大部分は笹井さんではなく、若山教授と小保方さんによって作られました。なぜ若山教授は最後の仕上げの2ヶ月間だけ論文を確認する作業を急に怠ったのでしょうか

なぜ、若山教授は論文執筆のわずか2ヶ月間の作業に不正の大部分があるようなことをほのめかすのでしょうか

2012年のサイエンス誌投稿の際には、査読者にはES細胞コンタミや、死細胞の発光の可能性を指摘されていました。査読者の疑問に答えたのは若山教授と小保方さんではなかったのでしょうか

理研は、笹井さんの参加する前の初期のSTAP草稿を開示するべきです。

若山教授『実際に実験で確実に証明できている』→「ネイチャーが認めれば誰も否定できません。ところが、そのネイチャーの審査がすんなり通らない。提出する度にここはどうだ?あれはどうだ?と全部で4回かな? 突き返されたんです」「だって、実際に実験で確実に証明できているわけですから後は審査員の方達の注文に一つひとつ応える。時にはキッチリ反論する。この作業を1年ぐらいやりましたかねえ

http://bizacademy.nikkei.co.jp/business_skill/shaberi/article.aspx?id=MMACi8000011042014&page=1

何が真実かはわからない。ただ確実に言えることは、若山が責任著者であるということだ。

私の推測はこうだ。笹井は2か月だけ論文作成の指導をした。実験結果については若山を信用している。それで、第2論文の責任著者は当然若山であり、若山の依頼により3人目の責任著者として加わった。なお、この第2論文はSTAP細胞の万能性を最終確認するものである。

1月30日:STAP細胞の論文が英科学誌ネイチャーに掲載

2月18日:疑義の指摘を受け、理研が「研究論文の疑義に関する調査委員会」を設置

3月10日:共著者の若山照彦・山梨大教授が論文撤回を呼びかけ

論文発表後間もない3月10日に論文撤回を呼びかけたのは、責任著者となったので、自らの担当部分の不備に気づき(責任を取れないと感じ)、論文撤回を言い出したようにみえる

笹井にとってこれはショックだったろう。せっかく論文をしあげ、理研に貢献してきたのに、画像の疑義を指摘されただけで、若山が責任放棄するとはいったい何事か。自分(若山)が理研を離れたから、そういう無責任な行動をとるのか。同じ研究者として許される話ではない。しかしいまさら若山を責めても仕方がない。自分が責任をもって事態の収拾を図らなければならない。

しかるに事は笹井が思うようには進まなかった。既にみてきたように、四面楚歌の状態に陥ってしまった。救いの手を差しのべるものは誰もいない。叫んでも応答するものはいない光が見えてこない。…「もう限界を超え、精神が疲れはててしまった。もう心身とも疲れ、一線を越えてしまった。」