浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

STAP細胞 法と倫理(4)(補足)「ガイドライン」と「村の掟」

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(前回記事の補足1)

<「科学研究上の不正行為の防止等に関する規定」が、「立法府が制定する法令」に準ずるものであるかどうかを検討しなければならないかもしれない。> と書いた部分の補足。

理研調査委員会は、理研の「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程(平成24年9月13日規程第61 号)」に基づき、調査を実施した。この理研の規程は、文科省の「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて 研究活動の不正行為に関する特別委員会報告書」(H18.8.8)の第2部「競争的資金に係る研究活動における不正行為対応ガイドライン」に準拠しているようだ。理研の調査委員は、文科省ガイドライン(指針)に従っているので、調査の正当性を主張するかもしれないが、そのようなガイドラインは「立法府が制定する法令」には該当しないので、不正行為を認定して、刑罰を与える根拠にはならないと思う。

ガイドラインとは、

ガイドライン」というものも目にしますが、これも法令ではありません。ガイドラインとは指針とか基準とかを意味する言葉で、それ以上の意味もなければそれ以下の意味もありません。「こういう基準で具体的な法律の運用をしなさい」という通達として出されることもあれば、民間事業者に向けて要望として出されることもあります。誰に向けての、何のためのガイドラインなのか、まずその性格を確かめたいところです。http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201209_11.pdf

ちなみに「通達」とは、

まず、法令と間違われるものに「通達」があります。通達は国民に向けられたものではなく上司である行政機関が部下である行政機関に出す命令や指示です。ただ、民間事業者などにとって通達はとても「ありがたい」ものです。法令を運用するうえでの注意点などが述べられているため、条文を読んだだけでは分からない詳しい解釈を示してくれているからです。民間事業者が「虎の巻」として読み込むのも、こんなところに理由がありそうです。

(注)これだけの補足では、まだまだ不十分なので、別途、文科省の「ガイドライン」について取り上げたい。

 

(前回記事の補足2)

村の掟」について補足しておこう。私は「村の掟」が不合理だとか、「村」だから駄目だと言っているのではない。現代の「村の掟」は、村内部では、恐らく合理的に・民主的に定められていると思う。しかし、村の外にも世界があることを考慮していないことが問題だと言っているのである。「村八分」にされた者が、どう生きていくのかを考慮しない掟が問題だと言っているのである。

村八分」の「法的評価」について、wikipediaはこう述べている。

民事的責任…民事的には、村八分を受けることにより、社会的生活に困難を生ずるため権利侵害である違法な不法行為を構成し、差し止め請求や慰謝料を含めた損害賠償請求の対象となる

刑事的責任…村八分即ち、一定地域の住民が結束し交際を断つこと自体が刑事罰に触れるものではない(罪刑法定主義)。しかし、その旨を通告する行為は、『被絶交者の人格を蔑視し、その社会的価値である名誉を毀損するものであって、名誉に対する脅迫罪を構成するものとされている』

(続く)