浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

恋の季節 蛙のめかり時

夜、ウォーキングに出かけると、この頃カエルの鳴き声が騒々しい。こんな感じである。

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この鳴き声、どう表現しようか?

  ケロケロケロケロケロケロケロ  これは全然違う。

  ガッガッガッガッガッガッガッ  ちょっと違うね。

  ギッギッギッギッギッギッギッ  これもどうかな。

なかなか難しい。

  グィッグィッグィッグィッグィッ これが近いのではなかろうか。これの多重奏か。

 

蛙の目借時/妻狩時/媾離時/雌駆時(かわずのめかりどき)…暮春(晩春)の頃の昼でも眠い季節。春の季語。

春は陽気のせいか、ついうとうとしてしまうことがあります。春に眠気をもよおす理由は、蛙が人の目を借りるためだという俗説が古くからあり、これから出た季語だといわれます。居眠りの理由をていよく蛙のせいにしているとも言えますが、水温む頃、温んだ水から覗く蛙の目を見ると、なんだか眠たくなる気がしますから、最初に眠気を蛙のせいにした人の気持ちも分からないではありません。

「めかり」は本来は「妻狩り」あるいは、「媾離り」であるといわれます。「妻狩り」は、蛙が配偶者を求める行動を指し、「媾離り」は交尾が済んだ後、雌雄が離れてしばらく草陰に隠れるなどする行動を指しているといいます。http://koyomi8.com/cgi/magu/index.php?date=20070328

 蛙(かわず)が人の「目を借りる」というよりは(何のために人の目を借りるのかよく分からない)、妻(め)を狩(か)るために夜中じゅう鳴きたてるので人は眠れず、昼間眠いという「妻狩時」のほうが良い。ただ、この漢字は適切ではない。雌駆時のほうが良いように思う。

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http://www.arkive.org/common-frog/rana-temporaria/image-A22650.html

私は、蛙が実際に鳴いているところをみたわけではないが、たぶん上の写真のような感じだろう。

蛙の産卵期には、様々な行動が見られるそうで、

最も一般的なものでは、雄は鳴き声で雌を呼び、雌が近づくと後ろから胸部を前足で抱きかかえるようにして産卵を促し、産卵と同時に放精して受精させる。集団で繁殖するものでは、俗に「かわず合戦」といい、産卵場所でオスがメスを奪い合って互いを押しのけたりする光景が見られる。卵は、水の中に産むものが普通であるが、水辺近くの植物の葉の上などに産むもの、泡巣を作るものなどもあり、背中や口の中などで卵や幼生を保護する習性を持つものも知られている。

蛙は良く鳴くことで有名である。特に配偶行動に関わって大きな鳴き声を上げるものが多くあり、世界各地で古くから注目された。日本では水田が多い地方などでは、夜にたくさんの蛙が一斉に鳴き出し、「蛙の大合唱」といって夏から秋の風物詩となっている。夜、家の外から静かに響いてくる蛙の鳴き声の美しさは、多くの俳句や歌に詠まれている。(Wikipedia)

私には区別がつかないが、鳴き声にもいろいろあるそうだ。

求愛音…繁殖期にオスがメスを呼び、産卵を促すための鳴き声。これまで求愛音とされてきた鳴き声には、実際にはメスに対してだけではなく、他のオスに対する縄張り宣言の意味も含まれていることが多いため、最近では求愛音と縄張り音を両方含んだ広告音という言葉が使われることが多い。

縄張り音…繁殖期にオスが他のオスに対し、縄張りを宣言する鳴き声。他のオスとの距離や行動によって縄張り音を複雑に変化させる種類もある。

広告音…繁殖期にオスが他の個体に対し、自分の存在をアピールして、メスを引き付け、オスを排除するための鳴き声春から夏にかけて田んぼでよく聞かれるカエルの合唱が、これにあたる。非常に近縁な種が、肉眼では見分けられないほど似通っていても、広告音が明確に違うこともある。

解除音…他のオスにメスと間違われて抱接されたオスが、間違った抱接を解除させるための鳴き声。繁殖期のヒキガエルのオスを背後から軽く握ると体を震わせながら解除音を発する。

他に、警戒音、危険音、雨鳴き等がある。(Wikipedia)

私はこの記事を読んで、「めかりどき」は「雌駆時」の漢字が適切であると思った。雌を呼び寄せ、産卵を促す(駆りたてる)イメージである。

 

蛙の記事を検索していたら面白い記事が見つかった。

恋は盲目?

恋は盲目という言葉がありますが、繁殖期のカエルも盲目的です。繁殖期のオスは、カエルぐらいの大きさで動いているものならなんでも、とりあえず飛びついて、抱きついてみるという性質を持っています。これは反射的な行動で、赤ちゃんが、なんでも手に取ったものはとりあえず口に持っていく動作と同じです。他種のカエルだろうが、オスのカエルだろうが、ゴム長靴だろうが構いません。そのため、繁殖期の水辺は騒々しくなります。なにせ、繁殖の情熱の炎にかられたオスがいきなりたくさん現れるのですから・・・。

産卵を既に終えたメスは、「解放コール」と呼ばれる独特な鳴き声の信号を発します。それを聞いたオスは相手を離してやります。抱きつかれても解放コールを発しない個体は卵を抱えたメスというわけです。しかし、そう単純でもありません。抱きついても鳴かず、しかも弾力のあるものだと間違いに気付かないこともあります。卵を抱いた他種のカエルのメスに抱接した例、メスと間違えて魚やサンショウウオなどの他の生き物に抱きついた例、さらにはオスに抱きつかれてもなぜか解放コールを発しないオスの例、水の溜まったビニールの買い物袋をしきりに抱きしめていたヒキガエルの例などが観察されています。

 カエル合戦とカエル相撲

ヒキガエルの場合、繁殖期間が短いため、狭い範囲に多数のオスとメスが入り交じって産卵が行われます。この光景は、あたかもカエル同士が争っているように見えるので、「カエル合戦」と呼ばれます。いにしえの人々は、この様子を異常の前兆と考えて注目し、平安・鎌倉時代に記された「続日本紀」や「古今著聞集」などにも記録が見られます。また「やせガエル負けるな一茶これにあり」という小林一茶の有名な句は、ヒキガエルのカエル合戦を見物して詠んだ句と言われています。近年、カエルの個体数の減少が著しく、カエル合戦に参加する個体数が少なくなり、2~3つがい、あるいは5~6つがいのカエルしか見られないことも多くなっています。これでは「合戦」と言うより、ただの「喧嘩」です。一方、トノサマガエル、ダルマガエルトウキョウダルマガエルカジカガエルなどは、長い繁殖期間を持つため、動き回ってメスを探すことはなく、大きな声で鳴いてメスを誘う方法を採ります。オスたちは互いに牽制しあいながら距離を置いて鳴くことになりますが、鳴くのに都合の良い場所やメスが来てくれそうな場所はたくさんあるわけではありませんので、鳴き場所を巡ってオス同士の喧嘩が起こることになります。通常、喧嘩は鳴き声で行い、鳴くのを止めた方の負けとなります。たまに、どちらもあきらめないことがあり、激しく鳴き交わしながらお互い近づき、あげくには相撲さながらの取っ組み合いをする場合があります。なお、平安時代末に鳥羽僧正によって書かれたといわれる「鳥獣戯画」には、トノサマガエルとウサギの相撲が描かれています。

http://www.cbr.mlit.go.jp/tenjyo/hyaka/publication/pbl_vertebrate/pdf/009_06.pdf

この記事の出所は、国土交通省中部地方整備局 天竜川上流河川事務所の「天竜川上流の主な両生類・爬虫類・哺乳類2001」である。お役所もなかなか粋な記事を載せるものだと感心した。

 

次の動画は、アズマヒキガエルの繁殖行動であるが、実に面白い(笑える)。

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こういうのを見ていると、ヒトの繁殖行動も蛙(かわず)と大して違わないなと思ってしまう。

蛙(かわず)の世界は、ルールに縛られず自由なようだが、結構大変そう。テリトリー争いやら何やら、DNAのルールがある?