浮動点から世界を見つめる (旧:気の向くままに)

井蛙は以って海を語るべからず、夏虫は以て冰を語るべからず、曲士は以て道を語るべからず

将来に対する不安 社会保障制度は機能しているのか?

久米郁男他『政治学』(7)

まず最初に、次のグラフを見てみよう。これは、全国の15~64歳の働く人の意識調査*1の一部で、「将来に対する不安」を聞いたものである。(n=1036)

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将来に対する不安を「非常に感じる」が38%、「やや感じる」が39%で、あわせて「感じる」人が、77%である。この「将来に不安を感じる」人(798名)の不安の内容を、を年代別に見ると、(10代は省略)

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年代別の特徴がよく表れているのは、「老後の生活」、「自身の健康状態」「仕事の有無」である。(なお、複数回答なので、合計しても100%にはならない)。とりわけ、「老後の生活」に不安を感じている人の多さは、特筆に値しよう。例えば、40代で70%の人が老後の生活に不安を感じているのだが、これは全体の54%である(798*70%/1036=54%)。

この「将来に対する不安」の多さは、いったい何を意味するのだろうか。私は、これは「社会保障制度が機能していない」ことの証左ではないかと感じている。

 

今回は、第4章 福祉国家 第1節 福祉国家の政策レパートリー の続きで、「社会保険」と「社会扶助」を取り上げようと思っていたのであるが(前回は「公的扶助」を取り上げた)、本書の説明では、社会保障政策がどういうものか全く理解できない。それ故、非常に良くまとまっていると思われる平成24年版厚生労働白書の第3章「日本の社会保障の仕組み」を見ることにしよう。

 

社会保障の目的と機能

社会保障の目的は、国民の生活の安定が損なわれた場合に、国民に健やかで安心できる生活を保障することである。…具体的には、傷病や失業、労働災害、退職などで生活が不安定になった時に、健康保険や年金、社会福祉制度など法律に基づく公的な仕組みを活用して、健やかで安心な生活を保障することである。

アンダーラインを引いたところ、「公的な仕組みを活用して、健やかで安心な生活を保障すること」を、繰り返し読み、頭に入れておきたい。冒頭のグラフをもう一度見ると、77%=約8割の人が将来に何らかの不安を感じている。とりわけ「老後の生活」に対する不安は大なるものである。これはすなわち「健やかで安心な生活を保障されていない」ということ、「公的な仕組み」に問題があることを示しているだろう。では具体的に何が問題であり、どう対処すればよいのか。それは本ブログ全体のテーマである。

社会保障の機能としては、主として、①生活安定・向上機能、②所得再分配機能、③経済安定機能の3つが挙げられる。

社会保障の「生活安定・向上機能」は、人生のリスクに対応し、国民生活の安定を実現するものである。…例えば、病気や負傷の場合には、医療保険により負担可能な程度の自己負担で必要な医療を受けることができる。現役引退後の高齢期には、老齢年金や介護保険により安定した生活を送ることができる。雇用・労働政策においては、失業した場合には、雇用保険により失業等給付が受給でき、生活の安定が図られるほか、業務上の傷病等を負った場合には、労災保険により、自己負担なしで受診できる。また、職業と家庭の両立支援策等は、子育てや家族の介護が必要な人々が就業を継続することに寄与することで、その生活を保障し安心をもたらしている。

社会保障の機能の第一に「生活安定・向上機能」を挙げることはよい。しかし、そのような抽象よりも、より具体的な制度の内容を知っておく必要がある。そしてそれが本当に機能しているのかどうか、「健やかで安心な生活を保障する」ことになっているかどうか問うことである。

社会保障の「所得再分配機能」は、社会全体で、低所得者の生活を支えるものである。…具体的には、異なる所得階層間で、高所得層から資金を調達して、低所得層へその資金を移転したり、稼得能力のある人々から稼得能力のなくなった人々に所得を移転したりすることが挙げられる。例えば、生活保護制度は、税を財源にした「所得のより多い人」から「所得の少ない人」への再分配が行われている。また、公的年金制度は保険料を主要財源にした、現役世代から高齢世代への世代間の所得再分配とみることができる。また、所得再分配には、現金給付だけでなく、医療サービスや保育等の現物給付による方法もある。このような現物給付による再分配は、報酬に比例した保険料額の設定など支払能力(所得水準)に応じた負担を求める一方、必要に応じた給付を行うものであり、これにより、所得の多寡にかかわらず、生活を支える基本的な社会サービスに国民が平等にアクセスできるようになっている。

所得再分配」については、別途詳しく検討したいと思う。ここでは一点だけ、「高所得層から低所得層への所得移転」とか、「現役世代から高齢世代への所得移転」とかの「表面的なお金の移動」をもって「所得再分配」と捉えて済ませるのではなく、なぜそのようなお金の移動が必要とされているのかを考えることの重要性を強調しておきたい。それは、「平等」、「公平」、「公正」といった概念に関わる話である。

社会保障の「経済安定機能」は、経済変動の国民生活への影響を緩和し、経済成長を支える機能である。…例えば、雇用保険制度は、失業中の家計収入を下支えする効果に加え、マクロ経済的には個人消費の減少による景気の落ち込みを抑制する効果(スタビライザー機能)がある。また、公的年金制度のように、経済不況期においても継続的に一定の額の現金が支給される制度は、高齢者等の生活を安定させるだけでなく、消費活動の下支えを通じて経済社会の安定に寄与している。

この経済安定機能は、結果的にそういう機能を果たすとみられる部分があるとしても、これを社会保障政策の目的とすべきものではない。

 

日本の社会保険制度

1 社会保険とは何か

社会保険は、人生の様々なリスクに備えて、人々があらかじめお金(保険料)を出し合い、実際にリスクに遭遇した人に、必要なお金やサービスを支給する仕組みである。…社会保険とは、誰しも人生の途上で遭遇する様々な危険(傷病・労働災害・退職や失業による無収入~これらを「保険事故」、「リスク」という。)に備えて、人々が集まって集団(保険集団)をつくり、あらかじめお金(保険料)を出し合い、それらの保険事故にあった人に必要なお金やサービスを支給する仕組みである。

まず「保険」とは何か。

火災,盗難,死亡,傷害などの偶発事故の危険にそなえようとしている不特定多数の人に,事故発生率そのほかを考えて合理的に算出した金銭 (保険料) を醵出させて共同の資金をつくっておき,事故にあった加入者にその資金から給付を行うもの。(ブリタニカ国際大百科事典)

保険はいろいろな基準により分類することができる。

①公保険と私保険、②物(ぶつ)保険ないし財産保険と人(じん)保険、③損害(不定額)保険と定額保険、④損害保険と生命保険、⑤企業保険と家計保険。(日本大百科全書

最初の「公保険と私保険」のみ見ておこう。(他は省略)

公保険とは、国家その他の公共団体が公的な政策の実現手段として運営する保険をいい、社会政策実現手段としての社会保険、経済政策実現手段としての産業保険などに分けられる。健康保険、雇用保険(失業保険)、厚生年金保険、労働者災害補償保険などは前者に、森林火災保険(森林保険)、中小企業信用保険、輸出保険などは後者にあたる。これらの公保険制度にあっては、国家その他の公共団体が自ら保険者となって、直接的に保険を引き受けることが多いが、保険の利益を受ける者によって結成された特殊の公法人または私法人たる保険組合をして元受保険を引き受けさせ、国家がその再保険を引き受ける方式によることもある。これに対し私保険は、関係者の純然たる私経済的見地から運営される保険をいい、国家その他の公共団体からの財政的補助・助成は予定されず、いわゆる加入強制はない。(日本大百科全書

私保険といえば、生命保険、火災保険、地震保険などが思い浮かぶだろう。これらは任意加入だが、リスクに備えるものとしてその必要性は理解されるだろう。同様に「社会保険」があり、社会政策的観点から適切な保険料を定め強制加入とされる。

現在、日本の社会保険には、病気・けがに備える「医療保険」、年をとったときや障害を負ったときなどに年金を支給する「金保」、仕事上の病気、けがや失業に備える「労働保険」(労災保険雇用保険)、加齢に伴い介護が必要になったときの「介護保険」がある。

健康保険、雇用保険(失業保険)などの必要性は誰もが理解できるだろう。ところが「年金保険」(老齢年金)に関しては、問題含みである。

社会保険の財源は、加入者や事業主が払う保険料中心であるが、国・地方自治体や利用者も一部負担している。

社会保険方式」と異なる社会保障の仕組みとしては、租税を財源とする「税方式」がある。

税方式とは,保険料ではなく専ら租税を財源にして給付を行う仕組みであり、国や地方公共団体の施策として、国民や住民に対して現金または現物(主にサービス)の提供が行われる仕組みである。その典型は、公的扶助としての生活保護制度であるが、その他に、児童福祉、障害者福祉といった社会福祉制度も含まれる

社会保障の給付を、税を財源とするか、保険料を財源とするかは、重要な論点である。保険料を財源とする「社会保険方式」とはどういうものか、よく理解しておく必要がある。

社会保険方式は、自立・自助という近現代の社会の基本原則に即した仕組みである。…社会保険方式は、保険料の拠出と保険給付が対価的な関係にあり、保険料負担の見返りに給付を受けるという点において、税方式の場合よりも,給付の権利性が強いといえる。実際、医療保険で医療サービスを受けるように、給付を受けることが特別なことではなく、当たり前のことというイメージをもち、その受給に恥ずかしさや汚名(スティグマ)が伴わないというメリットがある。また、財源面でも、会計的に保険料負担(収入)と給付水準(支出)とが連動していることから、一般財源としての租税よりも、給付と負担の関係について、国民の理解が得られやすい側面がある。

次の文章を、熟読しておこう。

社会保険制度は、保険料を支払った人々が、給付を受けられるという自立・自助の精神を生かしつつ、強制加入の下で所得水準を勘案して負担しやすい保険料水準を工夫することで、社会連帯や共助の側面を併せ持っている仕組みである。社会保険の導入は、保険によるリスクの分散という考えに立つことで、社会保障の対象を一定の困窮者から、国民一般に拡大することを可能としたものといえる。このように、自立・自助という近現代の社会の基本原則の精神を生かしながら、社会連帯の理念を基盤にして、共に支え合う仕組みが社会保険であり、自立と連帯という理念に、より即した仕組みであるといえる。

社会保険とはこういうものである。ところが、例えば「年金」を「貯蓄預金」と同様なものと勘違いしている人がいる。「年金は将来もらえないだろうから、払いたくない(払わない)。年金制度など無くなればよい」と言うのである。社会が共に支え合って成り立っていることを理解していない。自立とか自己責任を強調する人に対しては、「社会連帯や共助」の精神があるのかどうか確認する必要がある。

 

2 国民皆保険・皆年金

日本では、国民皆保険・皆年金により、国民誰もが医療を受ける機会や老後の生活の保障を実現させている。…日本では、国民全てが公的な医療保険に加入し、病気やけがをした場合に「誰でも」、「どこでも」、「いつでも」保険を使って医療を受けることができる。これを「国民皆保険」という。社会全体でリスクをシェアすることで、患者が支払う医療費の自己負担額が軽減され、国民に対して良質かつ高度な医療を受ける機会を平等に保障する仕組みとなっている。また、老後の生活保障については、日本では、自営業者や無業者を含め、国民すべてが国民年金制度に加入し、基礎年金の給付を受けるという仕組みになっている。これを「国民皆年金」という。基礎年金は、老後生活に必要な収入の基礎的部分を保障するため、全国民共通の現金給付を支給するものであり、その費用については、国民全体で公平に負担する仕組みとなっている。こうした国民皆年金制度を実現することにより、社会全体で老後の所得保障という問題に対応していくことが可能となっている。

社会全体でリスクをシェアする」という考え方を、よく理解し、発展させる必要があるだろう。

 

諸制度の概要

以下、コメントしないが、諸制度の概要を理解しておきたい。とりわけ、9~11の社会福祉制度については、当事者でないと関心を持てないかもしれないが、社会保障の一分野なのである。

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http://tezuka-jcp.com/?p=9334

 

1 医療制度

医療保険制度は、全ての国民に医療を提供するための基盤である。

高額な医療費に対しては、高額療養費制度により自己負担が軽減される。

国庫補助などによって保険者間の財政力の格差を是正することにより、国民皆保険を担保している。

医師等の専門職の養成や医療機関の適正配置などを通じた医療提供体制の整備も重要である。

 2 公衆衛生

国民が健康的な生活を送れるようにするため、保健事業を行っている。…保健所や市町村保健センターでは、保健指導または保健サービスと呼ばれるサービスが提供される。その例としては、がん等の生活習慣病の検診、妊産婦・乳幼児に対する健康診査や保健指導、エイズの検査、相談、啓発、結核などの感染症対策、保健師による健康相談、一般的な健康診断、精神保健福祉に関することなどが挙げられる。

医薬品や医療機器の有効性や安全性を確保するために、薬事行政を行っている。

海外からの脅威から国民の健康や安全を守ることも重要な課題である。 

3 公的年金制度

公的年金制度は、賦課方式による世代間扶養の仕組みである。…日本の公的年金制度(厚生年金保険及び国民年金等)は、サラリーマン、自営業者などの現役世代が保険料を支払い、その保険料を財源として高齢者世代に年金を給付するという賦課方式による「世代間扶養」の仕組みとなっている。将来、現役世代が年金を受給する年齢層になったときには、その時の現役世代が拠出した保険料が年金に充てられることになっており、貯蓄や個人年金のような、自分が積み立てた保険料が将来年金として戻ってくる「積立方式」とは異なる仕組みをとっている。

核家族化や長寿化が進行した現代社会において、高齢者が私的な貯蓄等のみで老後生活を送るのは困難になっている。…かつて高齢者は、自分の子どもによる私的な扶養や老後のための私的な貯蓄等を支えにして老後生活を送っていた。貯蓄については、誰もが自分の寿命を正確には予測できないし、老後の生活に必要十分な貯蓄額を事前に確定することは困難である。しかも、若いころから引退時、さらに寿命を全うするまでには何十年という長い時間があり、その間に、経済変動が激しくその動きが不確実な市場社会、とりわけ金融市場の不安定さの中で、予想を超えるインフレなどのリスクにより貯蓄の実質的な目減りが生じる可能性もある。また、子どもによる私的な扶養も不安定である。頼るべき子どもが全ての人にいるわけではないし、扶養能力は子ども自身の所得水準等に左右されることになる。戦後の日本の社会の構造変化、特に第1次産業で働く人の激減や若者の都会への集中、核家族化(老親との別居)等により、私的な扶養に頼ることはさらに難しくなった。また、平均寿命が大幅に伸び、かつての時代に比べ、現役引退後の老後生活が長期化したことも、私的な扶養や貯蓄等に頼って老後生活を送ることを困難にしている。

世代間扶養」は、一人ひとりが私的に行っていた老親の扶養・仕送りを、社会全体の仕組みに広げたものである。…現役世代が全員で保険料を納付し、そのときそのときの高齢者全体を支える仕組みは、私的な扶養の不安定性やそれをめぐる気兼ね・トラブルなどを避けられるというメリットがある。また、現役世代が稼ぎ出す所得の一定割合を、その年々における高齢者世代に再分配するという「賦課方式」の仕組みをとることにより、物価スライド(物価の変動に応じて年金支給額を改定すること)によって実質的価値を維持した年金を一生涯にわたって保障するという、私的な貯蓄では不可能な、老後の安定的な所得保障を可能にしている。このような社会全体での世代間扶養の仕組みは、支えられる側の高齢者世代にとってはもちろんのこと、支える側の若い世代にとっても、自分の老親への私的な扶養に伴う経済的負担や自分自身の老後の心配を取り除く役割を果たしている。

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公的年金は、国民全てに共通の国民年金と勤め人が加入する厚生年金などから構成される。

国民年金は、20歳以上の全ての国民が加入する1階部分の年金制度であり、保険料や年金支給額は定額である。

勤め人やその被扶養配偶者の国民年金保険料は、厚生年金保険料等の中からまとめて拠出している。

第1号被保険者の国民年金の保険料は定額だが、低所得者のための「免除」、「減免」や、学生のための「納付猶予」の仕組みがある。

厚生年金は、被用者を対象とした2階部分の制度であり、報酬に比例して、保険料や年金支給額が決まる。

公的年金制度の財源は、保険料収入のほか、積立金の運用収入や国庫負担により賄われている。

4 介護保険制度・高齢者福祉

介護保険は、介護が必要になった場合に、かかった費用の1 割の利用者負担で、介護サービス事業者の提供する介護サービスを受けることができるものである。

介護保険制度は、市町村などが運営主体であり、40歳以上の人が加入している。

介護保険には、利用前に市町村が調査し要介護度を認定すること、ケアマネジャーがケアプランを作成することなどの特徴がある。

介護保険のサービスを利用した場合、利用者はかかった費用の1割を負担する。 

5 雇用保険制度

雇用保険は、解雇等により、失業するリスクに対する保険である。

基本手当は、再就職活動中の生活を支えるために支給されるものである。

ハローワークでは、雇用保険の手続きのほか、職業に関する相談や紹介を行っている。

 6 求職者支援制度

求職者支援制度は、雇用保険を受給できない人のための新たなセーフティネットとして、2011年10月から実施している制度である。…この制度は、雇用保険を受給できない求職者を対象に、民間教育訓練機関等を活用して、知識・技能を身につけるための職業訓練を実施するとともに、訓練期間中に、訓練の受講を容易にするために給付金の支給を行うこと等により求職者の早期の就職を支援することを目的としている。

7 労災保険制度

労災保険制度は、仕事中や通勤の際の災害に遭遇した場合に、医療費や休業中の賃金の補償を行う制度である。

労災保険制度は、使用されている全ての労働者を対象とした制度である。

労働基準監督署では、労災保険制度に関する業務のほか、事業場において労働法令が守られているかチェックする業務を行っている。 

 8 生活保護制度

生活保護制度は、憲法で定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)を国が最終的に保障するための制度である。

生活保護制度は、その利用できる資産、能力その他あらゆるものを活用しても、なお生活に困窮する方に対し、必要な保護を行うとともに、自立を助長する制度である。

生活保護制度は、市等の設置する福祉事務所への申請によって行われ、国の定めた基準によって計算された、世帯の最低生活費の額に不足分を保護費として支給する仕組みである。

受給者が自立した生活ができるように支援することが課題となっている。

 9 社会福祉制度① 社会福祉制度の仕組み

社会福祉制度は、子どもへの保育や、障害者等への福祉サービスなどを社会的に提供することにより、生活の安定や自己実現を支援する制度である。

福祉サービスには大きく分けて施設サービスと在宅サービスがある。…社会福祉制度は、税金を財源として運営されており、医療保険のようにあらかじめ制度に加入したり、一定のお金(保険料)を拠出したりすることは必要とされないが、高齢者、児童、障害者、母子家庭というように対象者が特定された上で個別に制度化されている点が特徴的である。

社会福祉制度は、社会保険と公的扶助(生活保護)の中間に位置する制度であるともいわれる。

 10 社会福祉制度② 保育・児童福祉

保育所は、児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあったときに、児童に保育を提供するものである。…保育所(保育園とも呼ばれる。)は、保護者または同居している親族等が、就労または病気であるなどの理由により乳幼児を十分に保育することができない場合に、児童福祉の観点から、乳幼児を預かり、保護者に代わって保育することを目的とするものである。

保育所を利用する場合は、希望する保育所を選択したうえで、市区町村に申請する。

保育所の費用の大部分は、公費負担によりまかなわれ、利用者が負担する保育料は子どもの年齢や所得状況に応じて異なる。

手当を支給する制度として、中学校卒業までの児童を養育する人を対象とした児童手当や、ひとり親家庭を対象とした児童扶養手当がある。

乳児院児童養護施設、自立支援施設などの施設が社会福祉制度で運営されている。 

 11 社会福祉制度③ 障害者福祉

障害者自立支援制度は、障害者の日常・社会生活の支援を行う制度である。

障害者自立支援法では、市町村が支給決定した後に、利用者が事業者などと直接契約を結び、「障害福祉サービス」を利用する。

障害福祉サービス利用時の費用の大部分は、公費負担によりまかなわれ、利用者の負担は応能負担が原則となっている。

「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」が2012年6月に成立し、障害者自立支援法は、障害者総合支援法となり、2013年4月から施行される。

現金を給付する制度として、20歳未満の障害児を育てている親などを対象とした特別児童扶養手当や、20歳以上の重度障害者を対象とした特別障害者手当などがある。 

*1:連合が、働く人が持つ生活意識や社会の理想像を把握するため、2017年4月21日~4月26日の6日間、「日本の社会と労働組合に関する調査」を、インターネットリサーチにより実施した(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)。対象は、ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする 15歳~64歳で働いている人(自営業・フリーランス、役員・経営者を除く)で、有効回答数は1,036サンプルであった。(https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20170831.pdf