長谷川寿一他『はじめて出会う心理学(改訂版)』(18)
今回は、第11章 知覚 のうち、「奥行きの知覚」である。
奥行きの知覚
「網膜の2次元像から、いかにして3次元像を知覚するのか?」というのが最初の問いである(写真や絵画やテレビなどは2次元)。平面画像の情報から奥行きの知覚に利用される手がかりには、単眼性のものと両眼性のものがある。
単眼性…相対的大きさ、重なり、線遠近法、大気遠近法、きめの勾配、運動視差
各項目の説明は、https://kagaku-jiten.com/cognitive-psychology/perception/depth.html を参照して下さい。
「遠近法」という言葉が出てきたので、これを見ておこう。以下、http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E9%81%A0%E8%BF%91%E6%B3%95/ による。
遠近法とは、我々の目の前に存在する3次元の空間を、2次元である平面(絵画や図面など)上に「遠い・近い」「高い・低い」「広い・狭い」などの空間的関係性を損なうことなく表現する方法です。
先ほどとは逆に、3次元→2次元の話である。従って、3次元空間がうまく2次元平面に表現されていれば、その2次元平面から3次元空間を推定する(構成する)ことができる。(2次元平面が網膜であれば、これを知覚と呼ぶ)
一般に「遠近法」という語は、狭義においては、ルネサンスの時代に確立された「線遠近法」を指します。広義においては、空気遠近法、色彩遠近法、消失遠近法、曲線遠近法、上下遠近法、重畳遠近法、斜投象法など、この他にも多数存在する遠近表現の総称として、この語が用いられます。
これらの遠近法がどういうものかは、次の図を見れば明らかである。下手な言葉による説明は不要である。*1
東洋においても独自の遠近表現があるという。
その代表的な考えとして「三遠」*2と呼ばれるものがあります。これは、高遠(高く仰ぎ見る)、深遠(向こう側を見通す)、平遠(水平の広がりを見る)により成り立つというもので、中国の宋代に確立した概念です。
空気遠近法の解説を見てみよう。
空気遠近法は、大気が持つ性質を利用した空間表現法です。例えば戸外の風景を眺めてみると、遠景に向かうほどに対象物は青味がかって見え、また同時に、遠景ほど輪郭線が不明瞭になり、対象物は霞んで見えます。こういった性質を利用して空気遠近法では、遠景にあるものほど形態をぼやかして描いたり、色彩をより大気の色に近づけるなどして、空間の奥行きを表現します。
(http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E7%A9%BA%E6%B0%97%E9%81%A0%E8%BF%91%E6%B3%95/)
以上のような知識を仕入れ、以下のビデオを見れば、これまでとは違って見えるかもしれない。
日本の秋景色
3 Hours Relaxing Music〜Part 3,Autumn Music,日本の秋景色,美しい風景
曲がいいですね。
*1:色彩遠近法だけは、ちょっとわかりにくいので、解説を見ておこう。
色彩遠近法は、色の持つ心理的な作用や視覚的な効果を利用した空間表現法です。色彩は主に暖色と寒色に分けられ、暖色系の赤や黄などは、前方に迫り出してくるような圧迫感を与えます。一方、寒色系の青などは、後方に向かって吸収されていくように感じます。こういった色彩が人間に与える視覚・心理的特質を利用し、それぞれの色彩を変化や対比させることで、遠い近いなどの空間を表現する方法です。(http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E8%89%B2%E5%BD%A9%E9%81%A0%E8%BF%91%E6%B3%95/)
例:
https://www.pixivision.net/ja/a/620
*2:三遠…山を描くのに三遠の法があり、山の下から山頂を仰いだ見方が高遠、山の手前から山の後方をうかがいみる見方が深遠、近い山から遠い山を望見したありさまが平遠であるとし、高遠の色は清く明るく、深遠の色は重く晦(くら)く、平遠の色は明暗さまざまであるという。…清代までにはさらに闊遠、迷遠、幽遠が加わり複雑化して六遠となる。(日本大百科全書)