浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

美女遺伝子 ミス・キャンパス DNA婚活 イモ掘り婚活

山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(4)

今回は、第1章 生命科学の急発展と「遺伝子」概念の揺らぎ 第2節「遺伝子」概念の揺らぎ の続きである。

本書ではふれていないが、まず「美女遺伝子」の話題から。次の画像を見て下さい。

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https://www.pinterest.jp/lessthan5pct/creation-of-non-existent-faces-by-averaging-%E5%B9%B3%E5%9D%87%E9%A1%94/?lp=true

大部分の日本人は、この女性を美人だと思うでしょう。これは(特定の若い女性の)合成した「平均顔」らしい。(AKB48乃木坂46の平均顔に興味ある方は検索してみて下さい)

平均顔とは、

米テキサス大の研究者らによると、男性は「平均顔」を美人と判断するそうだ。これは複数の顔を合成する実験で明らかになったもので、人数を増やせば増やすほど顔は平均に近づくが、それにつれて「魅力あり」と受け止める人は増えるのだという。魅力的な顔=平均的な顔であると結論づけている。似たようなことは大阪電通大でも研究されていて、男性はバランスのいい「均整顔」と「平均顔」の両方が魅力に影響するが、女性の場合は「平均顔」のみが魅力に関係すると報告している。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/219467

このような美人の「両親」も、恐らく若い頃は美男美女だったであろう。つまり美女は遺伝する。パーツとその全体バランスが遺伝するのである。もちろんこの主張は厳密なものではなく、直観的に(経験的に)明らかな事実である。子は親に似るのである。

 

以前、ミス・キャンパスの選考基準を示したことがある(2016/06/10、手続的正義(1) ミス・キャンパスを選考する)。再掲しておこう。

身長:頭部の7.1倍、トップバスト:身長の0.51倍、アンダーバスト:身長の0.432倍、ウエスト:身長の0.34倍、お腹周り:身長の0.457倍、ヒップ:身長の0.542倍。

乳房は豊満で垂れていてはいけない。左右の乳房の大きさ、形状、位置は均一であるべき。乳頭を基点とした両乳房間の距離は20センチ以上。乳房の底面直径は10~12センチ、胸板から乳頭までの高さは5~6センチ。ふっくら盛り上がり、トップとアンダーの差は17~20センチが望ましい。

目:左右の瞳孔の距離は両耳間の距離の46パーセント、口:口と目の間の距離は顔の長さの36パーセント、また瞳孔から垂直線をひいたところに口角があるのが良い、唇:上唇は8ミリ、下唇は9ミリ、鼻:鼻の長さは額の長さの3分の1。

これは、2012年の中国・湖北省ミス・キャンパス コンテストの選考基準であり、「中国古代の美女の基準と現代科学の研究成果を総合したものだ」という。まさにジョークである。

しかしこの基準は、なかなか興味深い。知性などというわけの分からないものを含めていない。客観的なものである。誰が測定しても同じ結果が得られる。美女をこのような意味に定めれば、そしてもう少し改良すれば、「経験則と現代科学の研究結果を総合したもの」と言いうるだろう。であれば、これは「美女は遺伝する」と言ってよい!

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http://spam8888.com/china/china_miss_campus/ 

 

美人遺伝子と関係ないが、最近「DNA婚活」が話題になっているそうなので、ちょっとだけふれておこう。DNA婚活という言葉をきいただけで、いかにも胡散臭いと感じるのだが、NHKがとりあげていたので、調べてみることにした。

婚活サービス会社がDNAの相性を診断する根拠としているのが、免疫をつかさどる「HLA遺伝子」です。一万以上の型があり、この型が「似ている」男女は異性としての相性が悪く、「似ていない」男女ほど相性がいいとされています。そうした研究が進むきっかけとなったのが、スイスでおよそ100人の男女を対象に行われたTシャツ実験です。人はHLA遺伝子の違いを匂いとして感じ取ります。そこで、汗や食べ物などの影響を受けない環境で男性が2晩着たTシャツの匂いを女性に嗅いでもらい、どう感じるか答えてもらいました。すると、女性は、自分と型が似ていない男性の匂いほど魅力を感じ、ひきつけられることがわかったのです。HLA遺伝子の型が似ていない人どうしが結婚すると、免疫の強い子どもが産まれやすいとされています。専門家は、そうしたことが感覚的な「合う」「合わない」といった相性にも影響するのではないかと見ています。

https://www.youtube.com/watch?v=B_S8f4QiTgo&t=144shttps://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2018/11/1113.html

要は、<HLA遺伝子の型が違う→免疫に強い→相性が良い>というのが、科学的な根拠らしい(素人でも、これはおかしいと思う)。WIREDは述べている。

デートアプリの多くが謳うごまかしの行動心理学より、よほど信頼できると思うかもしれない。なんといっても「生物学」なのだ。だが、専門家によれば、これは都合のいい客引きの手段にすぎない。恋愛の相手探しにまで客観性を求めたい、われわれの文化的欲求を利用しているだけだという。2018年になったいまも、愛は遺伝子だけで片付けられる話ではないのだ。…人の周りに漂って、引かれ合いを定義するような魔法の遺伝子があるという意見は、まったくのでたらめです。人間のフェロモンがほかの哺乳類と同じ行動を誘発するのであれば、ニューヨークの地下鉄では毎日、互いが互いに飛びつきあって大騒ぎになるでしょう。…ワイヤットのような専門家たちは、免疫システムに関連する遺伝子が異なる者同士をマッチングする科学的根拠は、あくまで理論的な仮説にとどまっていると話す。彼が挙げたのは、「International HapMap」というプロジェクトだ。これは、世界各地の数千人の遺伝子の違いをマッピングしたもので、対象のなかには夫婦も多く含まれている。2つの異なる研究チームがカップル同士のMHCの違いを調べたところ、ひとつのチームは影響を見出し、もうひとつのチームは見出さなかった。(https://wired.jp/2018/03/06/dna-dating-app/

NHKは、DNA婚活が何がしかの科学的根拠があるらしいというイメージで番組作りをしていたように思われる。そうであれば、客引きの手伝いをしたことになるだろう。

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https://otonasalone.jp/90645/

 

こんな「DNA婚活」よりも、「イモ掘り婚活」のほうが良いように思うのだが…。

日本で今話題になっているのは「イモ掘り婚活」。日本人からすると、イモ掘りでの合コンにはさまざまなメリットがある。例えば、農作業をするため、動きやすいシンプルな服装をしなければならないため、男女共に服に気を使う必要はない。また、話題がなく、シーンとしてしまうことを心配する必要もない。そして、男女が協力して作業をすると、2人の相性もすぐに分かる。その他、お目当ての人が見つからなかったとしても、掘りたてのイモを持って帰ることができるため、「手ぶら」で帰ることもない。日本には、たけのこ掘り婚活やイチゴ狩り婚活、ダイコン掘り婚活などもある。(2015/9/16、https://www.recordchina.co.jp/b119016-s0-c30-d0051.html

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https://www.recordchina.co.jp/b119016-s0-c30-d0051.html