レリーフ(浮彫り)とは、
元来は、丸彫りや透(すかし)彫りに対応する彫刻の形式あるいはその技術の意であるが、転じて事物を際だたせて表現することの意味にも用いられる。
図柄部分を盛り上げる通常の浮彫りを陽刻とよぶのに対し、彫り込んで窪(くぼ)ませる形式のものを陰刻という。
現代美術では、彫って肉づけしたものではなく、各種の素材で構成した半立体作品もレリーフの名でよぶ。それは構成主義者のタトリンが木片や金属板を用いて壁面から突出した「反レリーフ」(1914)や、室の隅に釣り渡す「コーナー・レリーフ」(1915)を試みて以来、盛んになった形式である。その後、モアレを用いたオプチカルなレリーフ、光や動きを取り入れたレリーフも一般的となり、さらに絵画とレリーフの中間形式とでもいうべきコンバイン・ペインティングなども現れ、レリーフの概念はいっそう広がりつつある。(日本大百科全書)
レリーフの歴史は古いが、その歴史をたどるようなことはしない。
コンピューテーショナルデザインを提唱している豊田啓介は、次のように述べている。
建築や都市のデザイン領域はルールのレイヤが固定された囲碁よりはるかに複雑で、僕らが探索できていない可能性は相当あるはず。その未踏の領域に行ける可能性を高めるものが、デジタル技術であるということです。
もちろん、コンピュータが弾き出した設計図でそのまま施工や開発に進めるとは限りません。法規制や地盤との兼ね合いなど、異なる指標を複合的に、かつ建築実務でするような判断で評価することは今のところAIの苦手な領域です。ただ、実世界に存在するさまざまなタガのうち、どれか1つを仮定的に外すことで爆発的に視界が広がり、その外したタガを後からつなげる工夫ができればとてつもなく大きな価値が生じる可能性はいろんなところにあるはずです。デジタル技術は常識のタガをうまい具合に外して、僕らを未踏の世界に適合させてくれる道具でもあるのです。(https://www.worksight.jp/issues/1348.html)
「壁」に関連してのレリーフとして目についたものをいくつか見てみよう。
5.「Central Taiwan Innovation Campus」の外装/豊田啓介