香取照幸『教養としての社会保障』(9)
今回は、第4章 変調する社会・経済-人口減少、少子化、高齢化 第2節人口オーナスとライフスタイルの変化 である。
日本の将来人口を、年少人口(~14歳)・生産年齢人口(15~64歳)・老年人口(65歳以上)に区分して推計した表が載っているが、最新版でこれを見てみることにしよう。
人口ピラミッドの推移
これだけでは何のことかよく分からない。
人口ピラミッドとは、男女別に年齢ごとの人口を表したグラフのことである。 中央に縦軸を引き、底辺を0歳にして頂点を最高年齢者として年齢を刻み、左右に男・女別に年齢別の人口数または割合を棒グラフで表した「年齢別人口構成図」のこと。通常は、出生数が多く、死亡等により、だんだん年齢を重ねていくうちに人口が少なくなる。このため、三角形のピラミッド状の形になることから、こう呼ばれる(Wikipedia)。左右に、男女別に配置したところがミソである。単に、男性のグラフ、女性のグラフ、男女合計のグラフを描いてもピラミッドにはならない。ピラミッドの話はまた後でするとして、まずは2020年の推計値を見てみよう。(以下いずれも、国立社会保障・人口問題研究所のサイト http://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/PopPyramid2017_J.html より)
縦軸から自分の年齢のところを探し、横軸に沿って同年齢の人口を確認する。例えば、45歳の人は、男性で95万人、女性で93万人、合計188万人いる。*1
これが20年後の2040年になると、45歳の人は65歳になり「前期高齢者」の仲間入りとなる(オレンジ色の部分)。男性で87万人、女性で89万人、合計176万人の推計である。
20年前の2000年はどうだったかというと(25歳)、男性で96万人、女性93万人、合計189万人だった。
団塊の世代を考えてみよう。団塊の世代は、1947年~1949年に生まれとされているが、数表を見ると1950年、1951年生まれもかなり多い。そこで、団塊の世代を1947年~1951年生まれとして、上記グラフに赤線で付け加えてみた。2000年、2020年、2040年に、団塊の世代がどこに位置しているかが明確になる。同様に、「団塊ジュニア」(1971年~1974年生まれとされる)や「就職氷河期世代」(大卒で概ね37~48歳、高卒で概ね33歳~44歳)*2について考えてみるのも良いだろう。
生命には、「老化」「死」の遺伝子が組み込まれているので、次第に「おっさん」、「おばさん」になり、やがて「爺さん」「婆さん」になる。
65歳までの死亡は少ないが、65歳を過ぎれば次第に死亡率が高くなり、100歳以上生きる人はほとんどいない。
この人口ピラミッドを登り、自分が何をしているのかを想像したらよい。親が生きているのであれば、いずれは親の介護が必要となる事態を想像したらよい。明るい未来か、暗い未来か。
「年齢別人口構成図」のかたちを考えてみる。ピラミッド型1種[増加]、ピラミッド型2種[増加]、釣り鐘型[安定]、つぼ形[減少]。どれが理想型か。
日本の年次・性・年齢別人口ピラミッド
1920年から2065年までの年齢別人口構成の推移であり、なかなかの優れものである。かたちの変化がよくわかる。
人口問題は、世界レベルで考えるべきだろう。インド、中国、アフリカの人口をどう考えるべきか。…本書は、日本に限定しているので、世界レベルの問題はふれないでおく。
https://www.unicef.or.jp/kodomo/teacher/pdf/sp/sp_48.pdf
*1:グラフで読み取ることは難しいが、数表がある。→http://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/PopPyramid2017_J.html
*2:厚労省、2019/8/30「就職氷河期支援施策の取組について」→ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06487.html