浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

「桜を見る会」問題 政治家の資質

桜を見る会」問題(5)

桜を見る会」で、何を問題とすべきなのだろうか?

私は、(1)政治家の資質、(2)国家公務員の資質、(3)立法と行政の関係 を問題にすべきではないかと考えている。しかし、これらを本格的に論じるほどの素養がないので、断片的に、マスコミやネットの情報を参考に見ていくことにしよう。

上記分類を法的に見れば、(1)公職選挙法政治資金規正法、(2)情報公開法、公文書管理法、(3)憲法、内閣法などが関係してこよう。

(1)については、『桜を見る会』を追及する弁護士の会・宮城の動きが注目されるが、刑事告発民事訴訟が起こされるかどうかはまだわからない。(2)については、(本ブログの)<「桜を見る会」問題>のシリーズでとりあげたい。(3)については、読書ノート(「久米郁男他『政治学』や浦部法穂『全訂 憲法学教室』」で、とりあげることにしたい。

 

今回は、(1) の「政治家の資質」について。

安倍首相は、桜を見る会の招待客について、「私は、幅広く募っているという認識だった。募集しているという認識ではなかった」(募ってはいたが、募集はしていない)と回答したのだが(下記動画参照)、それに対して内田樹*1ヤクザ供述の矛盾をいくら指摘しても、平気である)のようなものであると言っている。

 

国会騒然!安倍総理が❝珍答弁❞~「募ると募集は違う」・・・!?

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 首相は「自分は論理的に思考しないので、『論理的にあり得ない』ことがあっても別にそれが不思議だと思わない。言葉の語義はわかるけれども、それが含意しているコノテーションはわからない」という「おのれの知性が普通の人よりも不調である」という主張によって有罪性を免れようとしている。裁判において弁護人が被告の「心神耗弱」で無罪を勝ち取ろうとするのと同じである。…これから後も首相は有罪を免れるために、あらゆる「申し開きのできない証拠」に対して、「論理的に思考できないふり、日本語がわからないふり」をしてみせるだろう。

動画での回答ぶりを見ていると、安倍は「論理的に思考できないふりをしている」ようには見えない。非論理的であろうが何であろうが、何らかの弁明をしていれば、時間が経てば皆忘れてしまうと考えているように思える。

小田嶋隆*2は、次のように述べている。

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なんという肝の太さだろうか。あるいは、人並み外れて肝が据わっているのでなかったのだとすると、著しくアタマが悪いのか、あきれるほど神経が鈍いのかのどちらかということになるわけなのだが、あるいはそれらのすべてなのかもしれない。私にはわからない。どっちにしても私の持ち歩いているちっぽけな物差しで測れる人物ではなさそうだ。

内田の「ヤクザと検察官」の話はおもしろいが、ヤクザとみなすよりは、小田嶋のように「ちっぽけな物差しで測れるような人物ではない」としておいたほうがよいだろう。

 

内田も小田嶋も、安倍晋三特異性を強調して「評論」している(皮肉を言っている)ようだが、安倍あるいは自民党支持者には決して響かないだろう。反発を食らうかもしれない。だとすると、この「評論」は、安倍あるいは自民党支持者との政策上の対立点を巡って(議論をへて)合意を目指そうとするものではない。「評論」とはそういうものだと言われればそれまでだが、それではシニカルな議論に終わるのであり、事態が改善されることはないように思われる。

私は安倍の特異性を云々するのではなく、なぜ安倍が支持されるのか、なぜ議論が成立しないのかを考える必要があると思う。

 

昨日(2020/2/7)の衆議院予算員会で、黒岩宇洋が公文書の保存期間について、北村誠吾内閣府特命担当大臣)に対して質問をしたのであるが、この答弁ぶりは「政治家の資質」の興味深い一例となるだろう。

衆議院 2020年02月07日 予算委員会 #09 黒岩宇洋(立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム)

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この動画は、約2時間ものであるが、40分あたりから中断している。議長は「休憩しない」と言い、約1時間を経過した後、休憩を宣言している。

この1時間の様子が写し出されていてなかなか面白い。菅義偉内閣官房長官麻生太郎副総理の様子が興味深い。 

*1:内田樹桜を見る会再論」(2020/2/1)(http://blog.tatsuru.com/2020/02/01_1152.html) は、安倍首相とその仲間は

*2:小田嶋隆「「募集」と「募る」の違いはどうでもいい」(2020/1/31)(https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00055/?P=1