浮動点から世界を見つめる

井蛙には以って海を語るべからず、夏虫には以て冰を語るべからず、曲士には以て道を語るべからず

「桜を見る会」問題 - ご飯論法、ANAインターコンチネンタルホテル東京の広報

桜を見る会」問題(6)

法政大学の上西充子教授は、「ご飯論法」の言葉を生むきっかけの指摘をしたことで知られる。*1

Q「朝ごはんは食べなかったんですか」

A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたがそれは黙っておきます)」

Q「何も食べなかったんですね?」

A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので」

働き方改革関連法案審議での高度プロフェッショナル制度でのヒアリングに関し、加藤勝信厚労相は「私もいろいろお話を聞く中で、その方は(略)そういった働き方をつくってほしいと要望をいただいた」と答弁[2018/1/31]。上西氏は「いかにも要望を聞いたように聞こえるが、その後、自分で話を聞いていないと分かった。指摘されると把握した例として紹介した』『直接話を聞いたとは言っていない』。加藤さんはずらし方が巧妙。高圧的な面を感じさせないだけに悪質さを感じた」という。

 不誠実さが指摘された安倍政権の主な答弁

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(上西充子氏「ご飯論法」で危機感 政府の説明力指摘、2018/12/24、日刊スポーツ https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201812240000197.html?Page=1

 

今回の「桜を見る会」問題では、次の動画のような「ご飯論法」が見られるという。

news23】「ご飯論法」を斬る (2020/2/11、TBS news23

www.youtube.com

この動画に出てくる山添拓の質疑応答については、2020/02/02「桜を見る会」問題 若手議員(石垣のりこ、山添拓)による質疑応答 で動画を紹介した(https://www.youtube.com/watch?v=zMHt0snRh2E&t=2343s)。

安倍首相の答弁は、しどろもどろであった。テレビのニュースだけではわからない。

 

2020/2/17大きな動きがあった。辻元清美議員による質疑応答である。

 辻元清美 予算委員会 質疑www.youtube.com

 

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 東京新聞(2020/2/19)

 

上記の辻元清美議員による質疑応答を、ハーバード・ビジネス・オンライン編集部は文字起しをしている。(2020/2/18、https://hbol.jp/213232

タイトルと見出しは次のとおりである。

総理答弁の虚偽を崩した辻元議員2月17日衆院予算委員会での質疑を全文文字起こししてみた

  • 「意味のない質問」呼ばわりされた辻元議員、安倍総理と再対決
  • 「辻元ごとき」に動揺し、憤慨する総理
  • 「政治資金の出入りはガラス張りにしないといけない」と過去に言ってた安倍総理
  • そして始まる辻元議員の「詰将棋
  • 明細もなしで、宛名なしの領収書をホテルが発行したのか?
  • 辻元議員が全日空ホテルに問い合わせた結果
  • 「政治家及び政治関連団体だから対応を変えたことは?」「ない」
  • 午後の答弁で「ホテル側は個別の客に対して守秘義務

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辻元清美ブログより)

(2020/2/19の記事「2月19日予算委員会で、安倍総理桜を見る会・前夜祭に関する安倍事務所とANAインターコンチネンタルホテル東京のやりとりメモが提出されました」も参照のこと)

 

上記は、ANAインターコンチネンタルホテル東京広報からの正式な文書回答である。安倍事務所によるホテル(営業担当)への(電話での)聞き取りとどちらが信憑性があるか、明白である。

念のために、「広報」とはどういう部署であるか見ておこう。

広報とは、広告・宣伝を担当する部署ではない。「広報とは」という記事(https://www.kkc.or.jp/plaza/basic/)では、広報(パブリックリレーションズ、Public relations)とは「具体的には、企業や国、NPO、学校などの組織が、その事業の活動や方針を、広く社会に伝え、共感を得ようとする行為をいう」としている。この記事に、「企業広報活動の変遷」なる図表が掲載されている。これによると、広報の中心は1960年代は「マーケティング」であったが、2000年代は「コーポレートガバナンス」、2010年代は「マスコミ対応、ソーシャルメディア対応、危機管理」とされ、主な広報対象は「社会全体」とされている。

 

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パナソニックANAインターコンチネンタルホテル東京に業務用ソフト「帳票OCR」、コンテンツ管理システム「CrossLead」を納入(https://news.panasonic.com/jp/topics/157738.html

 

今日(2020/2/20)の東京新聞記事によると、

  • 2020/2/18、ANAインターコンチネンタルホテル東京の関係者が、自民党本部を訪問
  • 2020/2/19、与野党協議や国会審議で、一連の経緯を踏まえ自民党がホテル側に圧力をかけた可能性が論点となった。
  • 立憲民主党安住淳国対委員長は十九日、自民党森山裕国対委員長と国会内で会談し、懇親会場となったANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)の説明と首相答弁との食い違いを受け、自民党内から同ホテルを「もう使わない」との声が上がっていると指摘。「圧力と受け取られかねず看過し難い」と批判した。
  • 森山氏は前日の2020/2/18、ホテル関係者が同党本部を訪れたと記者団に語った。これに関し、野党共同会派の山井和則氏(無所属)は訪問について「暗黙の圧力ではないか」と指摘した。菅義偉官房長官は「私たちがそうしたことをするはずがない」と否定した。
  • ホテル側は2020/2/19、首相答弁の真偽などを質問した本紙の取材に対し「回答を差し控えたい」と電子メールで回答した。20202/17までは本紙の質問項目に対する返答を寄せていた。

私はこの記事を読み、「死者」がでるかもしれないと思った。こうなるとサスペンスドラマの世界である。

 

ANAインターコンチネンタルホテル東京とは、どういうホテルか?

  • ANAインターコンチネンタルホテル東京は1986年に「東京全日空ホテル」として開業、当初は「インターコンチネンタル」という外資系ブランドを冠していなかったが、2007年ANAインターコンチネンタルホテル東京へリブランドした。
  • 外資系の強さは会員プログラムをはじめワールドワイドなブランド力といえるだろう。インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG)でいえば、世界約100カ国で5000以上のグループホテルがあり、会員プログラム(IHGリワーズクラブ)の会員数は全世界で1億人以上とされる。
  • ブランド名を冠するということは、同時に当該ブランドのクオリティに沿ったホテルであることが前提だ。各国から訪れるゲストは「ANAインターコンチネンタルホテル」というブランドへの信頼感でセレクトするという点からしても、ホテルの運営にも一定の外資系的なブランドのルールが落とし込まれている。
  • ホテル取材等でホテル側の窓口になるのが「広報」。外資系、日系、シティホテル、ビジネスホテルを問わず様々なホテルの広報担当者と接点があるが、概して外資系ホテルの広報については“ブランドイメージの徹底”という印象を持っている。

「“桜を見る会”で注目される「ANAホテル」と「ホテルニューオータニ」は何が違うのか?」(2020/2/19、瀧澤信秋、https://news.yahoo.co.jp/byline/takizawanobuaki/20200219-00163682/)より。

 

ANAインターコンチネンタルホテル東京の関係者がどういう人物かわからないが、今後、先の広報からの正式回答に言及しないという姿勢を貫くならば、ブランドイメージが落ちるだろう。コーポレートガバナンスに疑問符がつく。 

*1:「東大話法」というものもある。いずれ取り上げる。