浮動点から世界を見つめる

井蛙には以って海を語るべからず、夏虫には以て冰を語るべからず、曲士には以て道を語るべからず

討論の広場-議会と議員の活動原則

浦部法穂『全訂 憲法学教室』(2)

今回は、第7章 国民主権 第4節 国会 1国会の地位と性格 の続きの予定でしたが、関連の話題として、「議会と議員の活動原則」についてとりあげることにします。

国会の他、各種組織において会議や打合せ等による「意思決定」が、どのように為されるべきかを念頭に置きながら、次の文章を読んでみて下さい。

 

<議会の活動原則>

  1. 国会は、国民主権を基礎とする国民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性、信頼性を重んじた国民に開かれた議会及び国民参加を不断に推進する議会を目指して活動する。
  2. 国会は、正副議長の選出に当たり、本会議においてそれぞれの職を志願する者に対して所信を表明する機会を設け、その選出の過程を国民に明らかにしなければならない。
  3. 国会は、国会が「議員・国民等の交流と自由な討論の広場」であるとの認識に立って、その実現のために、この法律に規定するもののほか、この法律をふまえて別に定める会議規則の内容を継続的に見直すものとする。
  4. 議長は、別に定める傍聴規則に定める国民の傍聴に関し、傍聴者の求めに応じて議案の審議に用いる資料等を提供するなど、国民の傍聴の意欲を高める議会運営に努める。
  5. 国会は、会議を定刻に開催するものとし、会議を休憩する場合には、その理由及び再開の時刻を傍聴者に説明するよう努める。

 

<議員の活動原則>

  1. 議員は、国会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない。
  2. 議員は、国政の課題全般について、課題別及び地域別等の国民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研鑽によって、国民の選良にふさわしい活動をするものとする。
  3. 議員は、個別的な事案の解決だけでなく、国民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。

 

<自由討議による合意形成>

  1. 国会は、議員による討論の広場であることを十分に認識し、議長は、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。
  2. 国会は、本会議、常任委員会、特別委員会等において、議員提出議案及び国民の提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、国民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
  3. 議員は、前2項による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、法令、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。

 

この文章は、北海道夕張郡栗山町議会基本条例*1(令和元年10月1日公布のもの)の第2条、第3条、第9条を一部改変したものです。

キーワードは、「討論の広場」、「合議制」、「メンバーの意見」、「メンバー対する説明責任」です。

「質疑応答」ではなく、「お互いに議論した上で、物事を決める」ということが肝要です。こんなことは当たり前のように聞こえますが、現実は必ずしもそうはなっていないようです。。

これは、国会(国の議会)、県会(県議会)、市会(市議会)、町会(町議会)のみならず、ほとんどすべての組織にあてはまるのではないかと思われます。私たちが何らかの組織に属し、何らかの取り決めをしようとするとき、それをどのように行うかは大変重要なことです。特定の個人あるいは集団の利益のために、意思決定が為されるべきではないことは言うまでもないでしょう。

私は、この「国会」や「町会」などの言葉を「コミュニティ(共同体)の議論の場」と言い換えます。「国民主権」は、コミュニティ・メンバー(共同体の成員)各自が主体となって、コミュニティに関わる物事を決めること、と言い換えられます。

また、「国家」が最上位レベルではなく、「グローバルなコミュニティ」(「国際連合」と同義ではない)が最上位レベルと考えます。

*1:議会基本条例…議会のあり方を市民に対して宣言するもので、議会の「最高規範」といえる。北海道夕張市の破綻で、議会が監視機能を果たせなかったことを受け、襟を正そうと隣町の栗山町議会が2006年に制定した。以来、議会改革の柱として全国各地の議会が制定。執行部とのなれ合いを廃して競い合うといった趣旨で議会の役割を再定義し、公開度を上げて説明責任を果たすなど、活性化のための運営ルールを定めることが特徴となっている。(2011-02-24 朝日新聞「キーワード」)

f:id:shoyo3:20200309155617j:plain

旅の思い出 3 北海道 夕張炭鉱 http://blog.livedoor.jp/vino2007/archives/1534010.html