浮動点から世界を見つめる

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COVID-19:ICTの活用、休業補償、生活支援について

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(9)

今回もCOVID-19についてメモしておこう。

<正しく恐れる>

<冷静な頭脳と温かい心>

 

1.ICTの活用 *1

2020/4/4の記事、COVID-19:「行動監視」か「セキュリティソフト」か? で書いたICT活用になぜ積極的に取り組まないのか不思議に思う。

PCR検査をやかましく言っているが、検査以前に、「感染しているかもしれない人」との接触を避けるために、スマホ用アプリ「トレース・トゥギャザー(一緒に追跡)」やGPSリストバンドなどの先行事例を参考に、なぜ対策できないのだろうか。これからソフト開発しているようでは手遅れだろう。(ただ、外出制限緩和の局面では有効になるかもしれない)。

日本国内のソフト開発者は、政府からの発注がなければ、ソフト開発しないのだろうか。それともソフト開発しているが報道がされないだけだろうか。

 

*1

コロナ濃厚接触をスマホで通知 AppleとGoogle (2020/4/11、日経新聞)、

個人追跡でコロナ封じ込め 「総監視化」の危うさも(2020/4/9、日経新聞)参照。

「数カ月前は従業員の監視システムを導入した企業をばかにした人々が、今や隔離対象者を自動追跡すべきだと主張する」(ヴィエヴィオロフスキー)…軽症者で自宅療養者(隔離対象者)、未検査の濃厚接触者は、イエローである。

 

2.休業要請(実質強制)と休業補償、橋下徹の欺瞞

TV番組*2で、橋下徹は庶民の味方のようなことを言ってアジっていた。ゲストによばれた錚々たる(?)メンバーが橋下の弁舌におそれをなしたのか、まともに反論せず、弱々しく自説を述べているように見受けられた。

橋下はまず、休業要請(実質強制)と休業補償をセットにせよという中小事業者の要望に寄り添い(家賃など固定費の面倒をみよと言う)、そして財源を問われると、日銀が輪転機を回してお札を配ればよいと言う。足りなくなればまた輪転機をまわせばよい、と。こういう話(赤字国債を発行して、日銀に引き受けさせる)を聞くと直ちにインフレーションが思い浮かぶ。インフレがどれだけ庶民に酷なものになるかを知っている者であれば、当然の反論があり、橋下はそれに対して、この局面ではインフレにならないことを説明しなければならないのだが、こういう錯綜した議論はアジテーションにふさわしくない。

だが輪転機云々は橋下の本意ではないだろう。それは後半の「給付ではなく借入(政府による貸付)」と主張していることに現れている。ここで、ただ単に借入と言うと抵抗があるので、無制限に借入できるようにし、収入額に応じた返済で良いようにし、20年、30年の超長期の返済で良いようにするという。しかもこれは納税している人だけが対象で、納税していなければ生活保護を受けよと言う。

事業の将来が見通せない現状で、自分が生きているかもわからない長期の借入など可能なはずがない。

これは結局のところ、「緊急経済対策」のⅡ.雇用の維持と事業の継続(1 雇用の維持、2 資金繰り対策、3 事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援、4 生活に困っている世帯や個人への支援、5 税制措置)よりお粗末な対策である。政治家や官僚たたきの受け狙いの発言に拍手喝采していると、どうなることやら。

 

なお、家賃支払いをなぜ絶対のものと考えるのだろうか。家主に負担を求めてはいけないのだろうか。借主の惨状をみて、助けようという気にならないのだろうか。借主には家賃を支払わなくてもよいとする時限立法をし、家主がそれに伴い生活に支障を来すようであれば、それを補償するようにすれば良いのではないか。

 

*2 2020/4/12、「日曜THEリアル! Mr.サンデー発 宮根×太田 今こそニッポン変えませんか」(MC: 宮根誠司太田光)、ゲスト:橋下徹ひろゆき2ch開設者)、菊間千乃(弁護士)、古市憲寿社会学者)、石戸諭(記者)、三鴨廣繁(愛知医科大感染症科教授)

 

3.休業補償の意味

休業補償、損失補償、雇用調整助成金, 感染拡大防止協力金等、さまざまな言葉があり、混乱させられる。

「政府は休業補償をしようとしない」という報道は要注意である。この点に関しては、藤和彦(経済産業研究所上席研究員)の「休業補償、西村経済担当相「実施しない」、厚労省「手厚くやっている」…なぜ食い違い?」という記事が参考になる。以下のような内容である。

  • 休業補償の対象は企業と従業員である。
  • 西村経済再生担当大臣[新型コロナウイルス感染症対策本部副本部長?]は、企業に対して休業補償をしないと言っている。
  • 厚生労働省は、従業員に対して休業補償(雇用調整助成金)を行うと言っている。
  • 英国・フランス・ドイツの3カ国が、休業補償を行っているのは従業員に対してである。
  • ドイツが企業に支給している給付金は、休業補償ではなく、あくまでも支援金である。
  • 西村大臣が言う休業補償とは、企業ごとに実際に発生した損失を算定した上で支給されるものである。
  • 実際の損失額を確定する作業は容易ではなく、企業間の不公平も生じやすい。
  • 企業に対する支援金ということであれば、緊急経済政策に織り込まれている。
  • 東京都が休業要請に応じた中小企業に対して支給する「感染拡大防止協力金」は支援金である。
  • 欧州で当たり前となっている「貧民を救済することによって社会秩序が保たれる」との認識が日本では希薄である。

このようであれば、「個別企業に対する損失補償を行わないが、中小・小規模事業者には給付金を支給することとしている」というのが「緊急経済対策」の内容である、と理解しておけばよい。

  

4.一律10万円支給のナンセンス

2020/4/15 公明党が、所得制限を設けず、国民に一律10万円を給付するよう要請した。給付に関しては、「富裕層にまで配る必要はない」、「薄く広く配るより、本当に困っている人に手厚く配るという政府の考え方は正しい。問題点は、給付条件をややこしくしたことで、給付が遅れるという点にあるのであり、その対策として「一律10万円」給付というのはナンセンスである。

私は、前回の記事で、生活保障(個人)のための給付は、「簡易な手続きで、所定の金額を迅速に振り込む(仮給付とする)。例えば、健康保険の制度を利用する。確定申告(年末調整)で調整する」とした。ここであえて曖昧にしたのは「所定の金額」とした点である。いろいろな考え方があるかと思うが、「所定の金額」は、支給希望者の「申請金額」通り(チェック無し)でよいのではないかと思う。但し、「必要金額以上の申請をしたら、確定申告で返還しなければならない可能性が大きい」ことを周知徹底する。

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ワーママに疲れた…しんどい。子育てと仕事の両立は無理?解決法は?https://epark.jp/kosodate/enjoylife/k-working-mother-tired_13949/

 

現在の、1世帯30万円の「生活支援臨時給付金(仮称)」

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https://getnews.jp/archives/2493224

 

当初案より要件は簡素化された。どのような受給要件・金額が妥当かは、いまの時点で確定する必要はない。大まかな目安としては、上表の金額で良いかと思う。 

 

【追記】

毎日新聞によると、「安倍晋三首相は16日(2020/4/16)、新型コロナウイルス対策として国民1人当たり10万円の現金を一律給付するため、今年度補正予算案を組み替える方針を自民党幹部に伝えた。補正予算案に盛り込まれていた困窮世帯限定の1世帯当たり30万円の現金給付は取りやめる方向。公明党の要求を受け入れたもので、閣議決定後の予算案組み替えは異例だ」。

またしても、おかしな政策が実行されるようだ。「生活支援」のおカネではないとしたら、何のための給付金か。いつ支給されることになるのか。