浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

COVID-19:新型コロナウイルス感染症の「死者」の定義

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(25)

※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000

追記あり(2020/7/26)

事例1:新型コロナで学校が休校となり妊娠してしまい、親の反対で中絶手術をしたが心に深い傷を負った。これはコロナが原因だろうか?

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https://children.publishers.fm/article/7321/

 

事例2:第一次世界大戦は、1914年6月28日、オーストリア皇太子フランツ=フェルディナント大公夫妻が、サラエボセルビアの汎スラブ主義者に暗殺されたこと(サラエボ事件)により勃発したのだろうか?

事例3:2018年6月18日、大阪府高槻市立寿栄小学校のブロック塀が倒れて登校中の女児が亡くなったのは、大阪北部を襲った地震が原因なのだろうか?

 

事例1については、【特集】新型コロナで休校中に10代の妊娠相談急増 そして今…中絶を選択する少女も(2020/6/18)参照。

事例3については、なぜなぜ分析 RCA 事例 トヨタは誤り を参照してください。

 

これらは、いずれも「原因」とは言わず、「契機」(きっかけ)と言う。事例3について言えば、地震がきてもすべての小学校のブロック塀が倒れることはなく、仮に倒れたとしても、すべての登校中の女児が亡くなるわけではない。問題がブロック塀の強度、建築基準法(ルール)の妥当性とその順守にあることは明白である。従って、女児の死亡を、地震に起因するものであるとは言えないだろう。

 

厚労省は、2020/6/18付の事務連絡で、「新型コロナウイルス感染症患者が死亡したとき」には、厳密な死因を問わず、「新型コロナウイルス感染症の陽性者であって、入院中や療養中に亡くなった人」を死亡者数として厚労省に報告することを求めることとした。

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これは、正確には「新型コロナウイルス感染症の陽性者」ではなく、「新型コロナウイルス存否判定のPCR検査等の陽性者であって、入院中や療養中に亡くなった人」である。

COVID-19の死者に「高齢者や基礎疾患のある人」が多いのは何故か? 「新型コロナウイルス」が存在したからでは説明にならない。「高齢者や基礎疾患のある人」に特有の「何か」のためである。つまり「検査陽性者」が死亡したからと言って、「新型コロナウイルス」による死亡とは言えないのである。

新型コロナウイルス」は「契機」(きっかけ)になったかもしれないが、「原因」とは言えないであろう。

「予防」や「治療」の観点からは、この区別は重要である。

「人口動態統計月報年計」で、死因別の死亡数が公表されているが、このような死亡数が、「新型コロナウイルス感染症」の死亡数として公表されることになるのだろうか。

事例1の少女が中絶失敗で死亡した場合に、コロナウイルスの検査陽性だったら、COVID-19死者数にカウントされるのだろうか?

 

<追記>

一部訂正します。(2020/7/26)

COVU-19を、肺炎あるいはそれぞれの疾病(死因)の内訳項目とするのであれば、何も問題はない。

厳密な死因を問いません」と言っているのだから、上例のような極端なことにはならない。

感染症の陽性者」というところだけがおかしいが、言葉尻をとらえるほどのこともない。

記事を削除しようかとも思ったが、このように考えたこともあるということで、残しておくことにする。