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COVID-19:神奈川県の「入院優先度判断スコア」について

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(48)-Q&A(7)

Q&A[素人の自問自答]の7回目です。

 

 

Q16:神奈川県は、下図のような「入院優先度判断スコア」を定め、「病床逼迫」に対処しようとしています。このような「要入院患者増加への対応」を、どう考えますか?

 

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A16-1:上図は、神奈川県の感染症対策協議会(2020/11/27)の(資料2)「第3波における新たな入院適応の考え方」(p.38)に掲載されています。2020/12/7より、この新たな入院基準が適用されています。この基準の各項目が妥当であるか否かは、専門家ではないのでわかりません。感染症法との関係については別途考えてみたいと思っていますが、ここでは、「第3波における新たな入院適応の考え方」が、特に目新しい考え方ではないことを見ておきたいと思います。

A16-2:入院の勧告・措置の対象を、以下(1)及び(2)の対象者に限定する旨の政令改正(施行:2020/10/24)が行われています*1

改正の趣旨は、「今般、これまでに把握されている医学的知見等を踏まえ、季節性インフルエンザの流行時期も見据え、医療資源を重症者や重症化リスクのある者に重点化していく観点から、新型コロナウイルス感染症に係る入院の勧告・措置について見直しを行うこととする」というものです。

(1)65 歳以上の者、呼吸器疾患を有する者その他の厚生労働省令で定める者

具体的には、以下のいずれかに該当する者である。

  1. 65 歳以上の者
  2. 呼吸器疾患を有する者
  3. 上記②に掲げる者のほか、腎臓疾患、心臓疾患、血管疾患、糖尿病、高血圧症、肥満その他の事由により臓器等の機能が低下しているおそれがあると認められる者
  4. 臓器の移植、免疫抑制剤抗がん剤等の使用その他の事由により免疫の機能が低下しているおそれがあると認められる者
  5. 妊婦
  6. 現に新型コロナウイルス感染症の症状を呈する者であって、当該症状が重度又は中等度であるもの
  7. 上記①から⑥までに掲げる者のほか、新型コロナウイルス感染症の症状等を総合的に勘案して医師が入院させる必要があると認める者
  8. 上記①から⑦までに掲げる者のほか、都道府県知事が新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するため入院させる必要があると認める者

(2)略

神奈川県の「入院優先判断スコア」の各項目が、改正政令に準じたものであることは明白ですが、各項目内容をより明確にしてスコアを付し、「患者急増期において、合計5点以上が入院の目安」としている点において使いやすいものになっていると思います。

しかし、私は医療関係者でも感染症専門家でもありませんので、この「入院優先判断スコア」を、別の角度から見てみたいと思います。

 

Q17:「入院優先度判断スコア」を、別の角度から見たら、何が見えますか?

A17-1:別の角度というのは、「要入院患者増加への対応策」として考えないということです。

この判断スコアは、重症化リスクの高い者の判定基準になっています。「合計5点以上にならなければ、重症化リスクが高くない」ということです。つまり、これは「検査を受けなくても、自己診断できる」ということです。

だから、「高齢者や基礎疾患のある人はリスクがある」というのではなく、「高齢者や基礎疾患のある人でも、この程度であれば重症化リスクはない」とポジティブにメッセージを発するべきだと考えます。

A17-2:例えば、腎不全の治療法に透析治療がありますが、このスコアが6点になっています。この腎不全の患者が重症化し死亡したとすると、死因は新型コロナウイルスでしょうか。新型コロナウイルス対策をしっかりとやればこの患者は助かるでしょうか。

75歳以上の高齢者(免疫力低下の代替指標と考えられる)のスコアが3点になっていますが、新型コロナウイルス対策をしっかりとやればこの患者は助かるでしょうか。「免疫力」強化の対策が必要なのではないでしょうか。

重症化リスク要因が特定されるのであれば、それに対する対策が重要なのではないでしょうかウイルス対策にのみ目がいって、大事なリスク要因を軽減する方策が考えられていないのではないでしょうか。