新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(62)-「指定感染症」から「新型インフルエンザ等感染症」へ(2)
※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000
新型コロナウイルス感染症は、「指定感染症」から「新型インフルエンザ等感染症」になったのであるが、これが意味するところを検討していきたい。
前回は、新型コロナウイルス感染症を「指定感染症」として定める政令(2020/1/28公布)が制定される直前の状況を、第35回感染症部会(2020/1/24)の議事録及び資料に即してみてきたのだが、今回は政令の内容を見ることにする。
第36回感染症部会(2020/1/27)
第36回感染症部会は、新型コロナウイルス感染症の指定感染症への指定について、持ち回り審議により、了承したのであるが、その資料を見ていく。P.1~4は、前回部会の資料1~3と同じである。P.5~7に、指定内容の説明がある。
新型コロナウイルス感染症の指定感染症等への指定について(P.5)
政令は2つある。
(1) 新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令案
(2) 検疫法施行令の一部を改正する政令
検疫法についてはあまり注目されないが、感染症を拡大させないための法律として、よく検討されなければならない。
検疫法についてはあまり注目されないが、感染症を拡大させないための法律として、よく検討されなければならない。
指定感染症:既に知られている感染性の疾病であって、感染症法上の規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの(感染症法第6条)
検疫感染症:国内に常在しない感染症のうちその病原体が国内に侵入することを防止するためその病原体の有無に関する検査が必要なものとして政令で定めるもの(検疫法第2条第3号)
検疫感染症という言葉を覚えておきたい。検疫感染症としては、上記第3号のほか、1類感染症(第1号)、新型インフルエンザ等感染症(第2号)がある。
では、指定感染症に指定した場合に実施可能な措置は何か?
検疫感染症に指定した場合に実施可能な措置は何か?
質問、診察・検査、消毒等が可能となる。(隔離・停留はできない。)
https://www.miraic.jp/online/8tips/category/tip01/3328.html
感染症法の対象となる感染症の概観とその措置 (P.6)
指定感染症は、1~3類感染症に準じた対人・対物措置がとられるのだが、1~3類に分類する際の考え方は、(1)ヒトからヒトに感染、(2)感染力と罹患した場合の重篤性から危険性を判断 というものである。
※1~5類感染症の主なものは次のとおり。
1類…エボラ出血熱、ペスト、ラッサ熱
5類…インフルエンザ、梅毒、はしか
※1~3類感染症に準じた対人・対物措置は、次のとおり(第37回感染症部会資料より)
・疑似症患者への適用
・入院の勧告・措置
・就業制限
・健康診断受診の勧告・実施
・死体の移動制限
・ねずみ、昆虫等の駆除
・汚染された物件の廃棄等
・汚染された場所の消毒
・医師の届出
・積極的疫学調査の実施
赤字にした部分が注目される。
検疫法に基づく隔離・停留等の措置の概要(P.7)
検疫法第2条第3号に基づき政令で指定する感染症には、鳥インフルエンザやマラリアなどがある。実施される措置は、質問、診察・検査、消毒等であるが、隔離・停留はできない。
第37回感染症部会(2020/2/12)
第37回感染症部会は、(1) 新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令等の一部改正、(2) 令和元年度に備蓄すべきワクチン株 について、持ち回り審議の結果、これを了承した。
新型コロナウイルス感染症対策について (P.1)
政令改正の概要は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に万全を期するため、
・検疫法上の隔離・停留を可能とするための措置を新たに講ずる。
・無症状病原体保有者を入院措置・公費負担等の対象とする。
というものである。
2020年1月31日のWHOの緊急事態宣言(PHEIC)等を受け、政令改正の施行日を2月1日に前倒しした、とあるように、国内での感染状況を見たうえでの政令ではなく、WHOの緊急事態宣言をうけての政令であると考えられる。
感染症法に基づく主な措置の概要(政令による準用の有無)(P.2)
新型コロナウイルス感染症について、感染症法のどの規定が準用されているかというと、上記「※1~3類感染症に準じた対人・対物措置」にあげた措置に、
・無症状病原体保有者への適用
が追加されている。