浮動点から世界を見つめる

井蛙には以って海を語るべからず、夏虫には以て冰を語るべからず、曲士には以て道を語るべからず

COVID-19:船が沈没します。助かりたかったら、海に飛び込んでください。もう皆さん飛び込みましたよ!

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(93)

※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000

今回は、興味深い記事を読んだので、コメントしてみたい。

その記事というのは、永末アコ『フランスで吹き荒れる抗議デモ、背景にある反ワクチン以外の理由』(2021/9/11)である。

jbpress.ismedia.jp

フランスで、コロナ対策の「衛生パス」導入反対のデモが吹き荒れているという内容である。

 

次のようなジョークがある。

船が沈没しそうになり、乗客は海に飛び込まなくてはならない状況になった。船長は乗客の国籍ごとに違った説得をし、全員を飛び込ませることに成功した。

 アメリカ人には「さあ飛び込んでください、ヒーローになれますよ!」  

 イタリア人には「さあ飛び込んでください、女性にモテますよ!」  

 日本人には「さあ飛び込んでください、もう皆さん飛び込みましたよ!」  

 フランス人には「飛び込まないでください!」  

座布団(もしくはクッション)1枚送呈したい、各国民の人柄を上手く言い当てたジョークだ。フランス人のオチもまさにそうで、フランス人も笑って納得。フランスは自由の国、個人が尊重される国で、上から強制されることが大嫌いだ。

私は何人(なにじん)だろうかと考えてみた。フランス人と日本人のハーフかな?(フランス人に似ているかも…)

 

衛生パス(pass sanitaire)とは

フランス国内においては、以下の証明書をもって衛生パスQRコードが付されたデジタル証明書 あるいは QRコードが付された紙の証明書)と認められます。

A.ワクチン接種証明書(EU共通フォーマット)[詳細略]

B.72時間以内に取得したRT-PCR検査または抗原検査に基づく陰性証明書EU共通フォーマット)

C.72時間以内に取得した医療専門家の監督下で行われる自己検査キットを用いた検査に基づく陰性証明書

D.過去11日前から6ヶ月前の間に、RT-PCR検査または抗原検査に基づき新型コロナウイルスに感染していたことを示す証明書

衛生パスの提示義務対象施設…(略)

提示義務違反に対する罰則…(略)

(2021/9/10、衛生パスの提示義務について、在フランス日本国大使館)

即ち、①ワクチン接種証明書、②検査陰性証明書、③感染証明書*1が、衛生パスである。

どういう施設が衛生パスの提示義務対象になるか。…大型ショッピングセンター、交通機関、スポーツ施設、動物園、映画館、美術館、図書館、宗教施設、クラブ・バーなど、広範囲に及ぶ。(なぜか、「飲食店」はリストにはない)。

衛生パスが無ければ、大きな行動制限が課せられるということである。これはワクチン接種等が強制ではないと言いながら、実質的に強制されるということを意味する。

 

フランスの感染者数(cf.日本)

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フランスの死者数(cf.日本)

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動画:フランス各地で「衛生パス」に抗議 25万人参加(AFP)より

【2021年8月8日 AFP】フランス全土で7日、新型コロナウイルス対策で適用範囲が拡大される「衛生パス」に抗議するデモが行われ、同パス関連では最大規模の約25万人が参加した。

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https://www.afpbb.com/articles/-/3360823 (動画あり)

 

間違えてはならないのは、このデモがコロナワクチン反対をうたったものではないということ。中にはコロナワクチン反対派もいるが、デモの趣旨はあくまで「衛生パス導入の反対」を政府に訴えることである。  

フランスの市民は分かっているのだ。三度も続いたロックダウンを再び繰り返すわけにはいかない。人とふれあい、街で空の下で生きる日常を取り戻さなくてはならない。経済をこれ以上停滞させて家賃の払えない人や食べられない人を増やしてはならない。レストランやカフェやホテルや映画館や劇場などの閉鎖をこれ以上続けて愛する街をゴーストタウンにしてはならない。鬱の人々をこれ以上生み出し続けてはならない。子供たちをこれ以上家に閉じ込めさせておくわけにはいかない──と。

「人流抑制」、「ロックダウン」とは、正反対の主張である。人とふれあい、街で空の下で生きる日常を取り戻すこと!

私たちは、なぜ生きているのか? 「人流抑制」、「ロックダウン」とは、生のはく奪ではないのか?

効果を証明することもない「お呪い」(おまじない)が、何度も繰り返されることに辟易している。

街をゴーストタウンにしたいのだろうか?

この通称「衛生パス反対デモ(Manifestation Anti Passe Sanitaire)」とは、…政府による衛生パスを介した市民へのコントロールや自由の縛りに断固とした拒否を示すものだ。…「リベルテ」はデモで一番共有されるスローガンで、それは「自由を!」を意味し、政府からの一方的な命令に市民は服従しないという思いが込められている。同じ船に乗って大波に揺られようと、船長の独断的な命令に簡単には従わないのがフランス人だ。

リベラリズム自由主義)とリバタリアニズム自由至上主義)、私は未だこの違いについて、詳細を理解していない。デモ参加者の「リベルテ」は、リベラリズムだと思うがどうだろうか。

そこは詮索しないで、「政府からの一方的な命令に市民は服従しない」という一点において、つまり「政府からの一方的な命令」(強制と処罰を伴う)は「独裁」につながるが故に、「市民へのコントロールや自由の縛り」には賛同しかねる。

このデモは決して攻撃的なものではない。子供がいて、犬がいて、音楽があり、会話のある、自由なフランスを守りたいという前向きな行進だ。この法案導入に怒り、「リベルテ!」と声がかれるまで叫び続ける人も少なくない。それは心の奥底から湧き上がり抑えきれずに叫びとなった懇願だ。自由な国だからこそ20年以上この国に住む私が初めてこのデモに参加すると決めた前日、「できるだけ白い服装で来てくださいね、白い服は平和の象徴ですから」と、先輩の参加者が伝えてくれたその言葉は、まさにデモに参加する人々皆が持つスピリットであることを、私は翌日実感する。

「白い服装」は、平和の象徴。デモ隊は決して武器を持たない。子供や犬を連れて、おしゃべりしながら行進する。

今回の衛生パス導入反対デモが政府と市民を驚かせたのは、参加者の莫大な数だけではなかった。あらゆる年齢、職業、社会階級の人々が同じ思いで混ざり合っていたのだ。学者、知識人、化学者、起業家、教師、警官、看護婦、主婦、販売員、清掃員、受付員、学生、スポーツマン、ミュージシャン、エンジニア、イエローベスト運動の参加者、失業者・・・。スーツスタイルのムッシューと、ガレージから出てきたようなティーシャツの男性と、優雅なワンピースを着たマダムと、ビーチサンダルを履いたヒッピー風の女の子が、肩を並べて行進する。  

なにしろ、このデモには組織や団体が存在しない各々がソーシャルネットワークやメディアを介して開催を知り、一人の人間として自由意志で参加しているリーダーもいない。誰もが同じ立場で、同じ力を持って、自由を訴え、政府に立ち向かっている。

組織や団体が存在せず、リーダーもいない中で、多種多様な人が、一人一人「自由参加」で、これだけの「平和の行進」が可能とは、…日本では考えられないことである。

なお、私はフランスのコロナ対策が間違っているとも正しいとも言っていない。フランスのコロナ対策は正しいかもしれない。しかし、説得力ある根拠をもって政策を提示せず、一方的な命令(強制と罰則を伴う法制化)をしようとするところに、根本的な問題があるように思われる。

権力による「市民へのコントロールや自由の縛り」に対して、平和裡に抵抗できる人たちがいること、そして行動が可能な状況にあること、日本のリベラルが学ぶべきことではなかろうか。

*1:感染証明書は、COVID-19:感染者急増は、望ましい事態である!(2021/8/1)で述べた仮説の論拠1「SARS-CoV-2感染者は、年齢を問わず、回復すれば「抗体」(免疫記憶)を生成する。これは、機能的にはワクチン接種と同等である。「抗原」が他者からのものか、ワクチンによるものかの違いだけである」と、同旨だろう。