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COVID-19:尾身発言に対する感想

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(96)

※ 当ブログのCOVID-19関連記事リンク集 → https://shoyo3.hatenablog.com/entry/2021/05/06/210000

新規感染者数&新規死者数(100万人当り、7日移動平均

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左縦軸は、人口100万人あたりの新規感染者数(実線)、右縦軸は、人口100万人あたりの新規死者数(点線)。死者数のスケールが感染者数の10分の1になっているので注意願います。(札幌医大の「人口あたりの新型コロナウイルス感染者数・死者数の推移【世界・国別】」より)

 

今回は、菅総理の記者会見*1における尾身分科会会長の発言に対する「感想」です。

第6波にどう備えるかということに関して、今回なぜ感染が急激に拡大して、なぜ感染が急激に落ちてきたかを分析することが非常に重要。

なぜ、第1波から第4波までの分析をして、第5波に備えるということをしてこなかったのでしょうか。

夏休み、4連休、お盆というものが重なって、急激に感染を上昇させる要素が一時期に集まりましたね。その感染上昇する要素が取れてきた。

なぜ、夏休み、4連休、お盆が重なると、感染が急拡大するのでしょうか。人の流れ(人流)が増えると、感染拡大すると言いたいのでしょうが、なぜ人流が増えると感染拡大するのでしょうか。

それに加えて、また最終的な結論を出すにはデータが不足していますが、現時点では、私は大体大きく分けて5つぐらいの感染減少の要素があったと考えています。ただし、それぞれの5つの要素が感染減少にどれだけ寄与したかを今のところでは数量的に定量的に分析することは、まだこれからの課題だと思います。

過去に4つの波を経験したにも関わらず、なぜ、感染拡大、感染減少の要因が何でどれだけ寄与したのかの数量的、定量的な分析をしてこなかったのでしょうか。感染症専門家なら、そのような分析をした上で、意見を述べるのが仕事ではないでしょうか。

[感染減少の]1番目は、今まで以上に人々が感染対策に協力してくれたことがあったと思います。

私たちは、政府や感染症専門家のために「協力」などしていません。自分が感染しないように、また人に感染させないように気をつけているだけです。(「協力」などという言葉を聞くと、上から目線の発言のように聞こえます)

ここで言う「感染対策」が何を指しているのか全くわかりません。

2番目は人流、特に夜間の滞留人口の減少というのがあったと思います。特に繁華街における夜間滞留の人口…が低く維持されていたことがあると思います。それと、これはまだ分析中で、こういう仮説を今我々は持っていますが、ワクチン未接種者の人たちが、夜の滞留人口なんかにより集中的に避けてくれたと、減少してくれた部分があったと思います。

(特に繁華街における)夜間の滞留人口の減少がどの程度で、どれだけ感染者減少に寄与したのでしょうか。また夜間の滞留人口の増加がどの程度で、どれだけ感染者増大に寄与したのでしょうか。データ分析もせず、推測で言っているだけでは、感染症専門家とは言えないのではないでしょうか。ワクチン未接種者については、さすがに「仮説」と言っているが、こういう仮説をたててデータ分析できると考えているのでしょうか。(単なる憶測にすぎないものを、「仮説」などと称することは専門家とは思えないですね)

3つ目は…ワクチン接種の効果というのが…あったと思います。…本当の意味の詳細な分析は、ワクチンだけではなくて自然感染した人も一定程度いるので、そうした意味では、抗体保有率の厳密な調査がこれから待たれると思います。

「本当の意味の詳細な分析」を期待したいところです。免疫とは関係なく、ウイルス自体の自然減(アポトーシスのような)は考えられないでしょうか。

4番目…ワクチン接種があったために、そして、院内の感染防止対策も以前に比べて進展した。高齢者の感染があまり増えなかったことで医療機関、高齢者施設での感染者の減少があった。

ワクチン接種と院内の感染防止対策により、医療機関、高齢者施設での感染者の減少があったということですが、これもデータ分析をした上での見解ではなく、素人でも言えるような意見ですね、

[5番目]…これは証明は難しいのですけれども、気温や降水などの気象の要因も関与したのではないかと思います。

またもや単なる憶測。気象の要因も関与したと考えるなら、なぜこれまで分析してこなかったのでしょうか。これから分析するつもりはあるのでしょうか。

今回のワクチンは感染予防効果は…重症化の予防という効果があって、感染防止効果も一定程度あるということで、今回、感染が急激に減少してきた一つの要因だと思います。

ワクチンは、「重症化予防の効果はあるが、感染を防止するものではない」のではなかったでしょうか。「感染防止効果も一定程度ある」というのは、実証されているのでしょうか。

今日の分科会で5つの点について、これはコンセンサスとして合意しました。…最初の2つは、一般市民への皆さんへのお願いということで、…これからも基本的な対策は続けていただきたい。

5つの点が分科会メンバーのコンセンサスを得たということですが、ということは何らデータ分析することなく、憶測にすぎないものに意見の一致をみたということでしょうか。(分科会議事録は公開されていない)

最初の2つ、つまり「人流抑制」を「皆さんにお願いすること」を、「基本的な対策」と考えているということですね。

次の点は非常に重要だと思うのですけれども、重点という、法律がツールだけではなくて、それは一部でもっと本質的な総合的な感染対策を、それはワクチンであり、検査であり、その他、我々は前から申し上げている科学技術を使ったQRコード[感染者追跡]だとか、CO2のモニター[換気]だとか、健康アプリあるいは下水、こういうことも総合的にやらないと、1つのツールだけでは難しいと、これを今、緊急事態宣言を解除するわけですから、少し11月ぐらいまでの間に、これを今までも国は、あるいは地方自治体は努力していただきましたけれども、これを冬に向けて徹底的にこの期間を利用してやっていただきたいということです。

「本質的な総合的な感染対策」とはいったいどういう対策なのでしょうか。これまで分科会が提言してきたことを指すのでしょうか。

 

これまで感染症専門家の意見とそれを聞いてきた政府の政策により、いったいどれほどの社会・経済・文化的な被害が生じたことでしょう。これを「命か経済か」などというナンセンスな二者択一でしかとらえず、「感染者」さえ減らせば良いなどという視野狭窄に陥ってきたのではないでしょうか。