浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

認知的斉合性理論 ― 食後のデザートは別腹よ

山岸俊男監修『社会心理学』(19)

今回は、第3章 社会の中の個人 のうち、認知的不協和理論 の続きである。

「認知的斉合性理論」の代表的なものに、「認知的不協和理論」と「バランス理論」があるとされる。私は、認知的斉合性理論を「辻褄が合わない事柄に対して、辻褄が合うように認知/態度/行動を変えようとすること」(辻褄合わせの理論)と理解した。

前回引用の科学事典は、「態度や信念を変えてまで一貫性を維持しようとする欲求はどこから生まれてくるのかという問題は、社会心理学における重要なテーマである」と言っている。今回は、この問題についてみていくことにする。

科学事典は、一貫性を維持しようとする要因(欲求)を3つあげている。①不快な覚醒状態、②社会的承認、③コミットメント であるが、ここでは③②①の順に見ていこう。

③コミットメント

特定の物事に対して自分がどれだけ関与しているのかということも、一貫性を動機づける強さに影響を与える。時間や労力、お金をかけたものほど、良いものであるという態度を強めるのである。これを利用したものはマーケティングなどでも多く見られるし、詐欺の手口としても使われる。例えば、入会費用が異常に高かったり、入会手続きが複雑で時間がかかるなど、高いハードルを越えさせることによってその集団への忠誠心が高まりやすくなるという研究もある。

これはよくわかる。時間、労力、おカネをかけたものは、重要であり価値があると考えたからそうしたのであり、それを否定するような情報を拒否する(一貫性を維持しようとする)だろう。後で、冷静になって考えてみると、巧妙な広告宣伝や詐欺に引っ掛かったと気付く。

いわゆる専門家の意見もこれに類するものだろう。仮に反証事実が明らかになっていても、それを軽視したり無視したりする。

社会的責任がなくても、後戻りできない意思決定の後には、自分の選択は正しいという態度を強めることがわかっている。

意思決定前にはいささかの迷いはあっても、意志決定後には自分の選択は正しいという態度を強める。選択を誤ったらしいことが明らかになってきても、誤りを認めたくないので、いろいろ屁理屈を考える(一貫性を維持しようとする)

②社会的承認

例えば、昨日と今日で言っていることが異なっていたり、発言と行動が真逆である人を信用することは難しい。信用とは、行動や態度を予測できること、あるいは何らかの問題を解決してくれるという期待である。行動に一貫性がなければ、行動を予測したり期待することはできないし、評価が定まらないわけだから社会的に認められることも難しい。…周りの人から嫌われたり拒絶されるような行動をとれば、その集団の中で生活することが困難なものとなる。一貫性を保つことは、集団の中で生活する上で重要なものであることを集団生活の中から読みとっているのである。

集団の中で(=社会の中で)生活していくためには、一貫性を保つことが必須である。発言の一貫性、行動の一貫性、言行一致、これらが求められる。もし、昨日と今日で発言や行動が異なっていれば、合理的な(納得できる)理由が必要である。その理由に説得力が無ければ、屁理屈とみなされよう。

①不快な覚醒状態

行動と態度の食い違いが不快な覚醒状態をもたらすことは、これまでの研究から多くの証拠が見つかっている。また、態度の変容が不快な覚醒を引き下げることも明らかとなっている。ただし、意識的にせよ無意識的にせよ、行動と態度の矛盾に気づいていなければ不快な覚醒状態にはならない。この点に関してもいくつかの研究結果から、矛盾を明らかにするようなメッセージに接すると、態度を変容させやすくなることがわかっている。

「行動」と「態度」をどういう意味で使っているのか分からないので、これは何を言おうとしているのか理解できない。

次のような事例が、「不快な覚醒状態」に相当するかもしれない。

<食後のデザート>

満腹になった後に、「甘いもの」を食べることは健康によくないことは分かっている。でも、食べたらおいしいのでつい食べてしまう。「分かっちゃいるけど、やめられない」。認知的不協和。辻褄が合わない。これはある意味「不快」である。そこで、「辻褄が合わない事柄に対して、辻褄が合うように認知/態度/行動を変えようとする」。「別腹論」はその一つである。

 

【衝撃!!】別腹は本当にあった!?~”ついつい食べちゃう”を防ぐ方法を管理栄養士が伝授!

www.youtube.com00

https://ameblo.jp/5330066/entry-12724358891.html