浮動点から世界を見つめる

「井蛙」には以って海を語るべからず、「夏虫」には以て冰を語るべからず、「曲士」には以て道を語るべからず

ハッピー・リタイアメント ― 敬老の日の妄想

総務省は、「敬老の日」(2022/9/19)にちなんで、統計からみた高齢者の状況(人口及び就業状況)を公表した。

www.stat.go.jp

2022年の高齢者(65歳以上)の人口推計は、

・総人口が減少する中で、高齢者人口は3627万人と過去最多

・総人口(12471万人)に占める割合は29.1%と過去最高

・日本の高齢者人口の割合は、世界で第1位(人口10万人以上の200の国・地域中)

2040年には、高齢者人口は3921万人、割合は35.3%になる見込み

 

この数字を見て、暗い将来を予想するだろうか? 明るい未来を展望するだろうか?

 

私は以前(2018/6/11)、「サバイバル・ロッタリー(臓器くじ) ハッピー・リタイアメント法(老人駆除法)」なる記事を書いた。この後半部分を再掲する。

 

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サバイバル・ロッタリー(臓器くじ)と違うところは、第1にくじで「健康な人」を選ぶのではなく、「老人」を選ぶという点、第2に臓器を、「臓器を必要とする人」に提供するのではなく、削減された予算を「子育て世代」にまわすという点にある。功利主義の立場からは、老人駆除法は支持されるだろう。

しかし、言うまでもなく、このような法案が現実に提出されるはずもない。「駆除」という言葉がいけない。そこで、そういう不穏な言葉を使わず、まともな議論の対象となるような法案を考えてみようというわけである。[脚注:以下の議論は、半分冗談です。]

まず、事実認識として、老人は「病気になって寝たきりになる」、「認知症になる」…そのような状態になってまで生きたいとは思わない。介護を考えれば、家族の負担はあまりにも重い。年金・医療費の増大は、財政を圧迫し、将来世代にツケをまわすことになる。しかし、自ら「自由に、死を選択することができない」。そこでこれを改めなければならない。まず心身共に健康な状態のときに、「自死」(自ら「死」を選択するという意味。自分を「殺す」のではない)を「公正証書」化しておけば、病死と同等とみなす、というような規定を盛り込む。(もちろん悪用されないように細かな規定は必要である)。これが第一段階である。

高齢になれば、心身が衰え、どうしても周りの人の負担が増え、また医療費が増大する。これは避けられないだろう。ならば、これを避けるために、「自死」を選択することは「社会貢献」することになる。感情抜きに冷静に考えれば、これは納得できる話だろう。「社会貢献」するということが、議論の上、多数の合意が得られるならば、「高齢」になった時点で、「自死を奨励する施策」を講じることに賛成できるはずである。これが第二段階である。

ここで自死が社会貢献することを理解できず、あるいは理解していても、「私は死にたくない」というような利己主義者にどう対処するかが問題となる。奨励だけでは実効性がないとすれば、「高齢」になった時点で、自死」を強制するようにしなければならない。これが第三段階である。法律名は、「老人駆除法」ではなく、「ハッピー・リタイアメント法」である。

なお、上記の「高齢」とは、どれくらいの年齢をいうかというと、大まかに言って、孫の世話が一段落するであろう70歳程度である。そこで、70歳になったら、ハッピー・リタイアメント(happy retirement)[脚注:幸せな引退。若くして富を築き引退する場合や、社会貢献を目的に引退する場合など(大辞林)。ここでは、後者の意味に使う。引退とは、人生から引退するという意味である。]の盛大な儀式を催し、表彰されることになるであろう。

 

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敬老の日の妄想>

1.4年前の記事に対するコメント

第1段階…ハッピー・リタイアメント法は、自死」を選択の自由として認める。家族や医師は、この自由を妨げてはならない。自死を「悪」とするのは一つの価値観(取り決め)である。

第2段階…高齢化は、年金や介護・医療費の増大をもたらす。現役世代(支え手)の負担が増える。これを軽減するため、自死」を「社会貢献」として奨励する。これには、「細胞レベルだけでなく、個体レベルでも新陳代謝が必要である」、言い換えれば「長生きは社会悪である」、という意識改革が必要である。私の推測では、高齢者の半数はそのように感じている。長生きは子ども世代に迷惑をかける と。

第3段階…人生定年を、例えば75歳と定める。75歳を過ぎたら、その年数に応じて「課徴金」を徴収する(75歳以前に自死を選択した者には、「奨励金」を支給する)

なお、人生定年というのは、それまでに「人生の楽しみ」を終えておくという意味である。

 

2.少子高齢化対策

グローバルに考えること…アジア、アフリカ諸国の飢餓で苦しんでいる人を受け入れること、また難民を受け入れること。彼らは日本にとっては、少子化対策となる。彼らの祖国の利益にもなる。交流を深めて、互いに信頼できるようになれば、国境をなくすことができる。出来ない理由を考えるより、どうすればできるかを考えること。

 

3.不老不死

私たちは「不老不死」を望んでいるだろうか。1000年生きたいと思うか。1万年生きたいと思うか。そんなに生きたいのなら、ツルやカメになればいいだろう。

ゲノム編集(遺伝子操作)技術の進展は、不老不死の世界を垣間見させる。私は無宗教なので、それが神を冒涜するものだなどとは思わないが、地球上のすべての生命のあり方の全否定につながるかもしれない、と漠然と考えている。

 

4.救世主「ウイルス」

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鹿の角を用いて、繊細な造形を表した作品。橋本雅也「ソメイヨシノ」( 2016年)/動物たちの生命がきらめく、「生きとし生けるもの」展へ

https://www.pen-online.jp/article/000611.html