柏木博『デザインの教科書』(7)
前回は、第6章 デザインを決める具体的な要素 第1節 色彩に関連して、本書ではとりあげていない「花嫁の母のドレスの色」と色彩学の基礎(光源色と物体色)についてふれた。今回はその続きであるが、入門者向けのすぐれた記事(色彩学講座、http://rock77.fc2web.com/main/color/color.html)があったので、それをテキストにしよう。「わかりやすく、楽しく」をモットーに解説されているので、文章の書き方としても勉強になる。
色彩理論は、画家やデザイナーのような特別な人が学ぶ抽象的な理論ではありません。…このコーナーの目的は「色の仕組みや色彩心理、配色などを学び、それらを生活に生かす。」です。色彩学に関して全く知らない方を対象にしています。難しい理論や科学は極力避け、事例をたくさん挙げ、楽しく色を学べるようにします。
色彩理論を学べば、
「どの服とどの服を着れば良いんだろう。」
「ホームページできれいな配色にするにはどうすれば良いだろう。」
「ファッションやインテリアなどのカラーセンスをアップしたい。」
これらに答えることができる。逆に、これらに答えられなければ、デザインのための色彩学を理解したことにはならないだろう。
このような問いや希望は、つまらない、些細なことだろうか。あなたは冠婚葬祭やさまざま行事やレジャーにどういう服装で出かけますか。場違いな服装で行けば、社会常識が疑われる。私は、生活の質(QOL)に関わる話であろうと考えている。
色の分類
なぜ「色」を分類・整理するのか。それは「色の扱い」を容易にするためである。(これは「色」に限った話ではない。Xを分類すれば、Xの扱いが容易になる。但し、分類の基準は常に問題である)
1.無彩色と有彩色
2.色の三属性
色の三属性は、最重要である(らしい)。…色相は「色み」の違いを指す。「色合い」とも呼ぶ。明度は、「明るさ」の度合いを指す。彩度は「色のあざやかさ」あるいは「色みの強さ」を指す。
3.純色、清色、中間色(濁色)
純色とは、各色相の中で最も鮮やかな[最も彩度が高い]色です。純色に白を混ぜてできた色を明清色(ティントカラー)、純色に黒を加えてできた色を暗清色(シェードカラー)と言います。両方を合わせて 清色と言います。純色にグレイを加えてできる濁った調子の色を中間色と言います。これらのトーンを中心に使った配色をトーナル配色と呼びます。トーナル配色のイメージとして、「地味、おだやか、落ち着き」などが挙げられます。
4.色相環
色相の総体を順序立てて円環にして並べたものを色相環と言う。色相環上では、補色を反対の位置に設ける。理論的には、境目がなく連続的なものである。しかし、一般的には20等分や40等分、RGBカラーでは6等分や12等分(時計で示した場合)、24等分で表現される。色相を角度で示すものもある。現代ではマンセル表色系などのように、赤から始まるものが多い。(Wikipedia、色相)
私は、この円環を見て疑問に思ったことがある。色相(色み)は、光の波長の違いによって変化するのならば、なぜ可視光の両端(赤と紫)を結び付けるのか。上図において「赤紫」は、自然界に存在しない色なのか? 私のような疑問を持った人はいるようで、OKWAVEにQ&Aがある。https://okwave.jp/qa/q1704281.html 参照。赤紫は、人間の視覚システムを理解するのに格好の色であるようだ。(…あの消えそうに燃えそうなワインレッドの心…)
黄色を中心に考えると、黄色から距離が近い色相は「黄緑」や「オレンジ」であり、逆に遠い色相は「青紫」です。 黄色と最も離れている色相は「青紫」であり、ちょうど黄色の対向に位置しています。このように色相環の反対側に位置する二色を補色と言います。補色は色相差が最も大きいので、お互いの色を目立たせる効果があります。赤-緑,青-橙色などの補色配色は非常に目立ちます。
5.トーン
上記3の説明でトーンというのが出てきたが、トーンとは何だろうか。
上の図の色は、青の色相のグループを集めたものです。 この中には鮮やかな青もあれば、くすんだ感じの青もあります。 また暗い青や明るい青、パステルっぽい青もありますね。
このように「明るい」「暗い」「あざやか」「くすんだ」などの 色の調子を、トーンと呼びます。トーンは「色の明るさの度合い」と「色味の強さの度合い」によって決まります。明度と彩度をひとまとめにして、直感的に色の印象を表したものがトーンなのです。…トーンを使えば、色を色相とトーンの二属性で表すことができます。「色相は青で、明度は8で、彩度が38」と言う代わりに、 「ペールトーンの青(パステルトーンの青)」と言えば、 色の印象が直感的に分かります。これは大きい。普段の生活で色を活用するときは、分析する色を色の三属性で見るより、色相とトーンで見た方が、はるかに楽であるし実用的です。
トーンについて、別の解説から引用しよう。
PCCS[日本色研配色体系]では同じような印象やイメージを持つ彩度・明度の領域をまとめて「トーン」または「色調(色の調子)」と呼びます。有彩色は各色相ごとに、12種類のトーンに分類されます。無彩色は灰色を「高明度」「中明度」「低迷度」の3種類に分類したものに、ホワイト(W)、ブラック(Bk)の2種類を加えて、5種類に分類しています。PCCSの、この色相とトーンをイメージごとに組み合わせ、表示したものを、ヒュートーンシステムと呼びます。(色相=Hue(ヒュー)、明度・彩度=Tone(トーン))
実は今回の記事で、「配色」にふれたいと思っていたのだが、その準備で長くなってしまったので、次回にまわそう。