浮動点から世界を見つめる

井蛙には以って海を語るべからず、夏虫には以て冰を語るべからず、曲士には以て道を語るべからず

私たち

COVID-19: バイラル イミュノロジー(viral immunology)-ウイルスと免疫-

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(36) 今回は、分子ウイルス学・免疫学研究者である峰宗太郎氏へのインタビュー記事(日経BP、2020年9月16日、「新型コロナ、「ワクチン接種」の議論が始まる前にぜひ知っておきたいこと」)を読むこと…

「自助・共助・公助」 - それは違うでしょう

香取照幸『教養としての社会保障』(15) 菅義偉首相は、就任記者会見(2020/9/16)の最後のほうで、次のように述べていた。 私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合…

創造型あるいは合意形成型のディベート

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(14) 今回は、第3章 競争はより生産的なものなのだろうか-協働の報酬 第2節 競争がなにもならないものだという説明(p.91~)である。 課題をやり遂げることと、競争相手を打ち負かすこととは違う。これが競争が何…

COVID-19:「新型コロナで死ぬ」とはどういうことか?(3)- 「肺炎で死ぬ」のではないのか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(35) COVID-19は重症化すると、人工呼吸器が必要となり、肺炎で死ぬリスクが高くなるという。この表現に違和感を覚えないだろうか。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)という病気と肺炎という病気は…

COVID-19:「新型コロナで死ぬ」とはどういうことか?(2)- 死亡診断書

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(34) 以前(2020/7/16)にあげた数表を再掲する。 「令和元年年(2019) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚労省)より この数字は、市区町村が、「出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の届書」に基づ…

COVID-19:「新型コロナで死ぬ」とはどういうことか?(1)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(33) まず、死者数の推移をみておこう*1。(厚労省の「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向」の「年齢階級別死亡数」のグラフ数字から作成) 年齢階級別死者数(週別・新規) 週別にみた死者数は漸…

私の父親は誰?

立岩真也『私的所有論』(32) 今回は、第4章 他者 第5節 生殖技術について 第3項 偶然生まれる権利 である。「偶然生まれる権利」とはどういう意味か不明であるが、生殖技術で生まれた「子どもの立場」から何が言えるのかについて述べられているようであ…

挫折した絶対主義者

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(6) 今回も、第1章 正義論は可能か 第4節 相対主義 の続き(p.17~)である。 井上は、「相対主義者を自認することは、「開明的」な自己イメージを提供してくれるため、現代日本においてはなお支配的な知的フ…

各省庁の概算要求と財務省による予算査定

神野直彦『財政学』(18) 現在、第9章 予算過程の論理と実態 を読んでいる。予算過程は、(1)編成過程(立案過程と決定過程)、(2)執行過程、(3)決算過程に区分される。 今回は、「予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(概算要求基準)が閣…

COVID-19:風が吹けば桶屋が儲かる -コロナで死ぬということ-

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(31) 何度も同じような数表をのせているが、下表は2020/8/19現在のものである。(厚労省の「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向」の「年齢階級別死亡数」のグラフ数字から作成) 年齢階級別死者数…

「立法」とは

浦部法穂『全訂 憲法学教室』(5) 今回は、第7章 国民主権 第4節 国会 1国会の地位と性格 の続きである。 今回のテキスト(pp.527~529)は、あまり面白くない。…「現実」を見て、考えなければならないだろう。 ********** 国会は、国権の最高機関であっ…

COVID-19:冷静な分析を

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(30) テレビの番組表や新聞を見ていると、やや落ち着いてきたかなと思う(8/16現在)。全国の新規感染者数は1,000人規模が続き、全国各地でクラスターが発生しているが、通常のニュースの扱いになって…

COVID-19:「コロナ教団」のマインドコントロール

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(29) オウム真理教のマインドコントロールについて、西田公昭(脱カルト協会代表理事、立正大学心理学部教授)へのインタビュー記事(2018/7/12、オウム、改めて知っておきたいマインドコントロールの…

COVID-19:PCR検査-選別-殺処分

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(28) 2020年8月3日、アニコムホールディングスは、預かっていたペットの犬をPCR検査した結果、陽性が判明したと公表した。(https://www.anicom.co.jp/release/2020/200731.html) 新型コロナ、PCR検査…

COVID-19:小括

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(27) ここで少し、頭の整理をしておこう。 今回のメモ(目次) COVID-19は、「ただの風邪」なのか? 共通認識を確認しよう クラスター対策 PCR検査の大合唱 コロナ強迫神経症 私の処方箋 「発症前の感…

エコー・チェンバー、そして「部族社会」

山岸俊男監修『社会心理学』(6) 今回は、第2章 社会心理学の歴史的な実験 のうち「リスキー・シフト実験」の関連として、「エコー・チェンバー(Echo chamber)」をとりあげる。(本書に説明はない) echoは、こだま、反響、共鳴、付和雷同、模倣の意味…

COVID-19:PCR検査 -地獄への道は、善意で舗装されている-

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(26) (2020/8/1) 訂正箇所あり 全国各地で感染が広がっていると報じられている。相変わらずのマスメディアの「煽り」である。 「煽り」というのは、「無症状者」から「重症者」まで、ごちゃまぜで、新…

COVID-19:新型コロナウイルス感染症の「死者」の定義

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(25) ※ 追記あり(2020/7/26) 事例1:新型コロナで学校が休校となり妊娠してしまい、親の反対で中絶手術をしたが心に深い傷を負った。これはコロナが原因だろうか? https://children.publishers.fm/…

賃金格差の現状

香取照幸『教養としての社会保障』(14) 今回は、第4章 変調する社会・経済 第4節 長期不況・デフレのインパクト-格差社会の出現 である。 香取は、「デフレは賃金を直撃しており、実質賃金が下落している」と述べているが、「デフレ」が「賃金」とどの…

「芸術的な創造性の問題」と「ジャーナリズムの競争的な構造」について

アルフィ・コーン『競争社会をこえて』(13) 今回は、第3章 競争はより生産的なものなのだろうか-協働の報酬 の続きである。 いくつかの研究事例が紹介されているが、ここでは2つだけとりあげよう。 芸術的な創造性の問題 7歳から8歳の少女たちが「…

COVID-19: 疑わしきは排除せよ!

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(24) 7月初め頃から、東京を中心とした「新規感染者」の増大傾向が報道されている。 最初にエクスキューズしておきたいが、これから述べることは「日本」に限定した話であり、主観的に25%は誤りであ…

ベビーM事件

立岩真也『私的所有論』(31) 今回は、第4章 他者 第5節 生殖技術について の続き(p.160~)である。 ベビーM事件 1985年2月、スターン夫妻(夫は38歳の生化学者、妻は38歳の小児科医)とメアリー・ベス・ホワイトヘッド(当時28歳、無職、白人、子ども2…

価値相対主義(狭義の相対主義)とは?

井上達夫『共生の作法-会話としての正義-』(5) 今回は、第1章 正義論は可能か 第4節 相対主義 の続きである。 価値観の多様性(相対主義)を安易に認めてよいのか? 誰もが納得できる価値判断はあり得ないのか? これが私の問題意識である。 https://…

概算要求から予算案提出まで

神野直彦『財政学』(17) https://www.mirasapo.jp/budget/guide/process.html 予算過程は、(1)編成過程(立案過程と決定過程)、(2)執行過程、(3)決算過程に区分される。 予算編成の立案過程について、神野は「転倒する立案過程」と呼んでいる。これは、…

COVID-19:「症状なき感染者」は、「未病」である。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(23) COVID-19を広い視野で考えるために、前回に引き続き「病気」について少し勉強しよう。 ■正しく恐れる ■冷静な頭脳と温かい心 病気の3つのカテゴリー 医師で医学博士の岡本裕は、病気は3つのカテ…

行政機関が規範を定立して良いのか?

浦部法穂『全訂 憲法学教室』(4) 今回は、第7章 国民主権 第4節 国会 1国会の地位と性格 の続き(p.525~)である。 国会は、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である 国会は、「国権の最高機関」である。…国会中心主義の統治システムを宣言したも…

COVID-19:「感染者」は「疾病の患者」なのか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(22) COVID-19とは、Corona-virus disease 2019の略であり、 <2019年に発見されたコロナウイルス(SARS-CoV-2)を原因とした疾病(disease)> である。 以前より落ち着いたとはいえ、日々「感染者数…

リスキー・シフトとコーシャス・シフト

山岸俊男監修『社会心理学』(5) 今回は、第2章 社会心理学の歴史的な実験 のうち、「認知的不協和実験」が順番であるが、第3章で説明があるようなのでパスし、「リスキー・シフト実験」をとりあげる。(リスキー・シフトは、ストーナーが1961年に提唱し…

COVID-19:ユヴァル・ノア・ハラリの論考(3)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(21) 今回は、「新型コロナウイルスで、死に対する私たちの態度は変わるだろうか? 否、じつはその正反対だ」 (2020/4/20 「ガーディアン」紙)(訳:柴田裕之)です。 ハラリは、「新型コロナウイル…

COVID-19:制御された状況下での感染は許容する

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するメモ(20) 今回は、分子ウイルス学・免疫学研究者である峰宗太郎氏へのインタビュー記事(日経BP、2020年5月29日、「神風は吹かない、でも日本は負けないよ」)を読むことにします。 引用中、(Y)は日経ビジ…